
スタンダードモデルですら「駆けぬける歓び」を貫くBMWラインナップで、究極の高性能を謳うBMW M2。従来のM2にはスペシャル感が少し希薄だったが、M2コンペティション/CSは正真正銘のMモデルであり、過激なパフォーマンスを有している。
M2が登場した時絶対に欲しいと思った
昔からM3が好きだった。けれどもベースの3シリーズが代々に大きくなってしまった。それは良し悪しではあったものの、M3クーペをM4と言わなきゃいけなくなったあたりから、心底欲しいとは思わなくなっていた。
だからFRの2シリーズクーペがベースのM2が出た時、もう絶対に欲しいと思った。果たして国際試乗会では一発でノックアウト。速さでは2ペダルだけど、後から試乗した3ペダルに惚れてしまった。これぞ、ボクがずっと欲しかった“M3”の後継だ、と。
とはいえ最初はエンジンがS型ではなかったので買うには至らなかった。性能的には申し分なかった。でもやっぱり丸ごとMがいい。そうこうしているうちに、真性Mのコンペティションが現れたのだ。
正直に言って、普段乗りでそんなに性能差があるわけじゃない。けれどもM謹製のS型エンジンを回しているというだけで、気分が良い。なにより高回転まで引っ張って楽しむというマニュアルミッションの美点が際立っていた。相変わらず、2ペダルのほうがサーキットでは早く走れたけれども。
昨年末にわが家にやってきた。案の定、京都の山奥を走りまわるにはもってこいの大きさだ。タイヤの大きさが目立つアピアランスもお気に入りのひとつだった。
西川 淳/J.Nishikawa
満足度は、ポルシェのスポーツモデルにも比肩
その歴史や名声もあって、絶対的なパフォーマンスを常に期待され続けるM3/4に対して、M2はドライビングファンの追求を優先できる。そんな立場の違いはあるにせよ、扱いやすいサイズがいかにスポーティネスを高めてくれるかを改めて思い知る。全長と全幅の関係をみれば、992型の911よりもやや小さいその体躯の鼻頭に直6を縦置きし、さらに911よりも使えるリアシートとトランクルームも備えるなど、M2のパッケージングは小さくとも想定されるライバルに対してもアドバンテージは充分だ。

前後フェンダーパネルを拡幅した専用ボディに、官能的な吹け上がりと圧倒的なパワーを併せ持つ3L直6ツインターボエンジンを搭載する。この高性能エンジンのポテンシャルを最大限引き出すため、M4クーペと同等の冷却システムやオイルクーラーを採用する。
現在のベースグレードに相当するコンペティションの搭載するエンジンはS55系の3L直6で、パワーは410psと大台を超えている。トルクも550NmともはやアウトプットはM3/4と大差ない。その速さは強烈で、シャシーバランス的にはなんとか釣り合うかというところだ。上位グレードとして450psのCSも用意されるが、未試乗ながらその火力を鑑みるに、こちらはトラックユース前提と考えた方がいいだろう。
M2の良さは走る場所を選ばず楽しめて、デイリーユースもカバー出来るなど、E30時代からのMらしさを色濃く継承している点だ。その総合満足度は、ポルシェのスポーツモデルにも比肩すると思う。
渡辺敏史/T.Watanabe
【Specification】BMW M2 COMPETITION
■全長×全幅×全高=4475×1855×1410mm
■ホイールベース=2695mm
■車両重量=1630kg
■エンジン種類/排気量=直6DOHC24V+ツインターボ/2979cc
■最高出力=410ps(302kW)/6250rpm
■最大トルク=550Nm(56.1kg-m)/2350-5230rpm
■トランスミッション=7速DCT
■サスペンション(F:R)=ストラット:5リンク
■ブレーキ(F:R)=Vディスク:ディスク
■タイヤサイズ=245/35R19:265/35R19
■車両本体価格(税込)=9,230,000円
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BMWジャパン 0120-269-437