モデルカーズ

ノスタルジックなムードに浸って楽しむ「1948年型フォード・セダンクーペ」のレベル製プラモデル【モデルカーズ】

熟成を極めた戦前型フォードの最終モデル

1948年型フォードは、1941年型から続くモデルの最終年式である。アメリカの自動車メーカーは、第二次大戦中は戦車などの製造に協力する戦時体制に組み込まれており、そのため1943~1945年は一般向け自動車の生産は停止されていた。再開されたのは1946年型からだが、どのメーカーも1942年型の細部を変更したモデルにすぎず、フォードもこの例に漏れない。’42年型では左右2分割の縦桟基調だったフロントグリルが、1946年型では水平基調の太いバーのグリルに変更されたほか、スペシャル(所謂スタンダードに相当するグレード)がラインナップから外れたのが大きな変化と言える。翌‘47年型では、グリルのすぐ上にあったパーキングランプがヘッドライト下に移され、形も長方形から円形に変わった。

1948年型ではルックスにはほとんど変更がないが、セダンデリバリーがラインナップから落ち、エンジンの出力が直6のみ5hpアップされている。グレードはデラックス(スペシャルなき後はこれがベースモデルに相当)とスーパーデラックスの2本柱が基本で、エンジンはそれぞれに直6とV8の組み合わせが用意された。ボディバリエーションは2ドアと4ドアのセダン、2ドアのビジネスクーペとセダンクーペおよびコンバーチブル、そして4ドアのステーションワゴンが存在。コンバーチブルには通常のモデルのほかに、“スポーツマン”(ドアやトランクを木枠で飾った所謂ウッディ仕様)があった。ステーションワゴンではこのウッディ仕様が標準となる。

6気筒搭載のスーパーデラックスにはコンバーチブルは用意されず、またデラックスは2ドアと4ドアのセダン、そしてクーペのみとなっていた。ビジネスクーペは3人乗り、セダンクーペは6人乗りとして区別され、ボディ形状も異なる(前年まではクーペセダンと呼ばれていた)。エンジンは6気筒は226-cid(3.7L)/95hp、V8は239.4-cid(3.9L)/100hpで、デラックス/スーパーデラックスともに同じものが搭載される。

フルディテールキットとして申し分のない内容
ここでお見せしている模型は、2016年に発売されたレベル製1/25スケールの、1948年型フォード・セダンクーペのプラモデルを完成させたものだ。同社ではそれより以前から同年型フォードのコンバーチブルやウッデイワゴンをリリースしており、このキットはそのバリエーションとして製品化された。箱には明記されていないが、再現されているのはスーパーデラックスだ。パッケージ写真からも分かる通りポリス仕様にも組める内容で、デカールや赤色灯だけでなく、無線機のパーツも付属。元々のワゴンのキットが、現代的なフルディテールモデルとして申し分のない内容を持つものだったこともあり、このクーペもボディのプロポーションから細部の再現性まで、素晴らしいものである。

ボディは柔らかな曲面で構成された重厚な形状をよく再現しているが、筋彫りがすこし太めな印象。制作の注意点としては、リアウィンドウのパーツを接着する際に、ウィンドウ上側の接着しろがあまりないので気をつける必要があることが挙げられる。作例ではウィンドウを透明プラ板に置き換えた。ボディカラーは実車の「BARCELONA  BLUE」を再現。クレオスのC65インディーブルーにGX2ウイノーブラックを混ぜたが、実車用カラーチップそのままに合わせるとかなり濃い色になるので、若干明るめに調整した。グリルの下側の4本のバーの部分は表面以外ボディカラーなので、プライマーを塗布後マスキングしてボディ色をペイント。インテリアはダッシュのインサート部分の合いが若干良くないので、要調整だ。それ以外のシートなどの部品の合いはとても良好で、パテ埋めなども不要なくらいである。

シャシーは横置きリーフの古臭い足周りがしっかりと再現されている。フレームのXメンバーの合いが良くないので、作例ではメンバーを先に接着して成形、塗装後エキゾーストパイプを3分割して接着した。リアアクスルは両端に隙間ができるので、ここはプラ板を接着して補強しておくが、車高やトレッドはキットのままで問題ない。バンパーステイは前後ともにしっくりしないので、調整しながら接着するとよい。タイヤはホワイトウォールがプリントされていて、良い雰囲気。ホイールキャップのロゴの部分には、タミヤのエナメルのブルーを墨入れの要領で塗っている。

エンジンもシャシー同様に細かめのパーツ分割で、フォードのフラットヘッドV8が良く再現されている。ヒケを防ぐためかオイルフィルターの下の部分が1/4ほど欠けているので、プラ材などで修正しておくとよい。デスビはプラグコードを追加する場合、角状の部分が細く、そのままではコードを付けることが難しい。作例では、この角の部分に内径1mmの真鍮パイプを付けてから、コードのパイピングを行っている。ファイアウォールの左側にある2本の棒状のものは、コンバーチブルのトップモーター用の取り付けピンなので削除する。ヒンジ用の穴が大きく開いているので、できれば塞いでおこう。

作例制作=周東光広/フォト=服部佳洋 modelcars vol.250より再構成のうえ転載
CARSMEET web編集部

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