プジョー

遂にVWゴルフを超えた…!? 精悍さが格段にアップしたスタイルに一層洗練されたハンドリングを備えた新たなCセグメントの決定版、新型プジョー308国内試乗

2022年3月、過去最高の販売台数を記録したプジョーに、さらなる躍進を約束する新型308が加わった。近年プジョーの迫力あるフロントマスクに、しなやかなでスポーティな乗り味は、Cセグメントのベンチマークとなるか?

ディーゼル車の完成度はVWゴルフを凌ぐ

シャープかつボリューム感溢れるリアビュー。左右一体型のリアコンビランプなど、昨今のデザイントレンドも積極的に取り入れている。

9年ぶりのフルモデルチェンジとなるプジョーの308はひと言、「新たなCセグメントの頂点」と呼ぶに相応しい仕上がりだった。

そんな第一印象を語る前に成り立ちを記すと、プラットフォームはEMP2と呼ばれる電動化まで対応するマルチエナジー型。今回もプラグインハイブリッドを頂点に、ディーゼル、ガソリンと3種類のパワートレインを用意する。

ステランティスでは、このプラットフォームをすでにDS7クロスバックやシトロエンC5エアクロスSUVなどでも用いる。そんな信頼のプラットフォームが新型308に与えられたことで、先代から大幅な進歩を見せたのだ。

デザインに関しては好き嫌いもあると思うが、最近の208や他のモデルでも見られる手法をより強めた印象。全体的にラインが多く煩い印象もあるが、彫刻的かつ未来的という意味ではVWゴルフなどとは対極にあるデザインだ。

ロントはライオンの牙をモチーフにしたLEDデイタイムランニングライト、リアもライオンのかぎ牙デザインのライトが特徴だ。

これはインテリアでも同様で、他のプジョー車でも見られるiコックピットをさらに押し進めた未来的運転空間を作り上げた。加えて内装では目に付くパーツの質感が高いのも特徴で、このあたりはVWゴルフに大きく差を付けている部分といえるだろう。

すっかりお馴染みとなったプジョーのコックピットは、機能の充実化が図られるなど一層進化。フロントシートはレザーとスウェードのコンビネーションで、リアは居住性も良好だ。コンソール部はシフトレバーを廃し、スイッチ感覚で操作するタイプへと変更された。

今回はディーゼルおよびガソリン搭載モデルを試乗したが、率直にいってどちらも走り出しの上質さが際立つ。フロントの駆動輪が滑らかに周り、スッキリとした回転を感じつつ、さらに室内が高い静粛性によって構築されていることに気付く。よってこの時点ですでにCセグメントでも群を抜く上質さを感じさせるのだ。

もちろんディーゼル搭載車でもエンジンの騒音振動がしっかりと抑えられており、始動時と発進時にはそれと確認できるが走行中はほぼ判別できないレベルだ。

パワートレインは1.6L直4ガソリンにモーターを組み合わせたPHEVを筆頭に、1.5L直4ディーゼルと1.2L直3ガソリンを用意。

1.2Lの直列3気筒ターボは120ps/230Nmと数値は平凡だが、お馴染みの8速ATが組み合わされるため、想像以上に上質だし力感も低くは感じない。ただ豊かさを望むなら130ps/300Nmを発生する1.5Lの直列4気筒ディーゼルターボが間違いない。先の8速ATの良さに力強さが加わり、上級モデルを思わせる走りの余裕がある。

また乗り味にも大幅な進化が感じられた。プジョーはもともとその乗り味をしてネコ足と評されるしなやかなサスの動きが特徴。しかしながら近年はしなやかさが薄まり、ドイツ系の路面に踏ん張る感覚に移行しつつあった。しかしながら新型308は、ある程度路面をホールディングしつつもサスがしなやかに動く領域が増しており、路面に対してほどよい吸着感のある上質さを手に入れているのだ。

タイヤはGTが225/40 R18、アリュールが225/45 R17サイズを装着。

ただ今回試乗したガソリンのアリュールは17インチタイヤを装着しており、乗り心地志向かと思えたが、走るとややポンポンとしたボディの上下動が気になる。

それに比べるとディーゼルのGTは車両重量の重さも相まって、18インチタイヤながらもしなやかな感触と重厚さも併せ持つ乗り味を生み出しており、筆者はこちらのほうが好みだ。

荷室は深さもあり、必要十分な容量を確保している。

とはいえ、どちらのモデルも相当に高レベルな仕上がりにあるのは間違いなく、このクラスの王者といわれるVWゴルフを凌ぐ仕上がりを見せているのが新型308最大の特徴といえるだろう。

特に最近のVWモデル群は、内装のクオリティが以前ほど高くないこともあって、特にGTグレードではこのあたりで差をつけたと感じる。加えて今回走りの進化が著しく、この部分でもVWゴルフを超える乗り味を持っているのは乗れば誰もが感じるはずだ。

お薦めは308GTディーゼル。400万円を切る価格も「新たなCセグの頂点」に相応しい要素として高く評価できる。

【Specification】プジョー308 GT BlueHDi
■全長×全幅×全高=4420×1850×1475mm
■ホイールベース=2680mm
■トレッド(F:R)=1560:1555mm
■車両重量=1420kg
■エンジン種類/排気量=直4DOHC16Vディーゼル+ターボ/1498cc
■最高出力=130ps(96kW)/3750rpm
■最大トルク=300Nm(30.6kg-m)/1750rpm
■燃料タンク容量=53ℓ(軽油)
■トランスミッション=8速AT
■サスペンション(F:R)=ストラット:トーションビーム
■ブレーキ(F:R)=Vディスク:ディスク
■タイヤサイズ(F&R)=225/40R18
■車両本体価格(税込)=3,969,000円

【Specification】プジョー308 アリュール
■全長×全幅×全高=4420×1850×1475mm
■ホイールベース=2680mm
■トレッド(F:R)=1550:1545mm
■車両重量=1350g
■エンジン種類/排気量=直3DOHC12V+ターボ/1199cc
■最高出力=130ps(96kW)/5500rpm
■最大トルク=230Nm(23.4kg-m)/1750rpm
■燃料タンク容量=52ℓ(プレミアム)
■トランスミッション=8速AT
■サスペンション(F:R)=ストラット:トーションビーム
■ブレーキ(F:R)=Vディスク:ディスク
■タイヤサイズ(F&R)=225/45R1
■車両本体価格(税込)=3,053,000円

プジョー308公式サイト

フォト:郡 大二郎/D.Kori CARSMEET WEB編集部 ルボラン2022年7月号より転載

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