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今旬のコンパクトSUVはこれ! 奥様目線で選ぶ使い勝手のいい4モデルをイッキに比較試乗してみた!

いまや、老若男女問わず、使い勝手の良さで人気のSUV。ここでは、ターゲットを奥様に絞り、普段使いで気分が上がりそうな、いま旬のオシャレなコンパクトSUV選びをしてみた。男性読者のみなさん、奥様目線のインプレッションは逆に新鮮なのでは?

コスパのカローラクロス

今どきのクーペ風ではなく、積載性重視のSUVらしいダイナミックなエクステリアが特徴。クラストップレベルの低燃費と、滑らかで気持ちの良い走りを実現。この仕上がりで最廉価グレードは199.9万円~とプライスも魅力的!

奥様目線で、とオーダーをいただいて乗り比べてみた4台のSUV。たしかに筆者は既婚女性なので「奥様」枠で間違いないのだろうが、この多様化の時代の「奥様」がいったいどういうものなのかつかみかね、途方に暮れてしまった。有閑マダム的なものを求められると当方貧乏暇なしでまったく分不相応であることはお断りしつつ、3人の子持ち50歳既婚女性である筆者のごく個人的な目線ということでお許しいただきたい。

まずは奥様に限らずみんな大好きなコスパ隊長を紹介しよう。コスパでいったら頭ひとつどころかデコルテまでがっつり飛び出ているのがカローラクロスだ。ただ安いわけじゃなく、とっても出来がいい。試乗車は1.8Lガソリンエンジンとモーターを組み合わせたハイブリッドのFF車、これの最上級グレード「Z」299万円也に30万円ほどのオプションが追加されたものだったが、いいモノ感がみっちりと満ち満ちていた。

パワートレインは1.8Lガソリンとハイブリッドの2タイプをラインナップ。試乗車はハイブリッドのFF仕様。

そろそろとしたセッティングの出足は重厚感こそあれ、力不足は感じさせない。18インチの50タイヤを履きながらもさほどゴツゴツせず、街中でやわらかめ、高速でしゃきっとする乗り心地だ。これで燃費はWLTCモード26.2km/Lというからさすがハイブリッド。近頃の燃料高にはありがたい。

カローラセダンやツーリングよりも若干幅広く、背の高さも相まって大きく見えるが、見切りのよさと搭載される親切丁寧なセンサー類、そして最小回転半径5.2mという小回り性能のおかげで、狭い場所での切り返しも難なくできた。家計をあずかる身としては、安いスーパーの駐車場がひと癖あっても行かねばならぬ時もある。

ラゲッジスペース容量は、5人乗車時でもクラストップレベルの487Lを確保。荷物の積み下ろしのしやすさにもこだわり、地面から720mmの高さに設定しているという。

そして大容量のラゲッジスペースは底値で買いだめというときに大いに頼れる。しかも後席を倒して純正アクセサリー「ラゲージアクティブボックス」を追加すれば大人2人が足を伸ばして車中泊もできるというし、オプションでラゲッジルームにも用意されたアクセサリーソケットは、キャンプの時だけでなく非常用電源としても心強い。たとえ天変地異があろうとも、「母ちゃんに任しときな!」と笑っていられそうだ。

インテリアはカジュアルな雰囲気ながら洗練された質感で、フロントにはスポーティなシートを採用。SUVというボディスタイルを活かした開放的な空間が広がる。

子どもらの未来を思えば災害に備え、CO2削減は是非にと願い、エネルギー資源にとぼしい日本の発電事情や、偏在する資源による紛争にも頭を悩ませる。今夜は環境負荷の少ないリチウム精製拠点をアルゼンチンに展開する豊田通商の株価をチェックしつつ、子どもたちの寝顔を愛でよう。

まじめなTロック

TSI/TDI Style Design Packageをベースに、印象的なデザインのCピラーをはじめ、ルーフレールやドアミラーのほか、足元を引き締めるブラックの18インチアルミホイールなど、随所にブラックで統一された専用エクステリアを纏う。

ハイブリッドのカローラクロスはスタートスイッチを押しても無音無振動だったが、TロックTDIは2Lディーゼルエンジンここにあり! という勢いでガラガラと目覚めた。試乗したのは「ブラックスタイル」という特別仕様車。Cピラーには鯖っぽい模様のアクセントも入っていて、さすがVW初のツートーンボディカラーを導入したTロックだけある遊び心の投入である。

しかし室内はインパネもシートも定規1本でデザインしたのかというほどすっきりとクリーンなゴルフ流だ。平面的で高反発な座り心地のシートは、ざらっとした織地でクロスオーバーなチャラさはない。158~161mmとSUVとしては低めながらカローラクロスと同等の最低地上高なのに、ちょっと見晴らしがよくなった程度で違和感なく運転できる。

街乗りからスポーティな走りまで対応する1.5Lガソリンエンジンと、パワフルで経済性に優れた2Lクリーンディーゼルをラインナップ。

アクセルペダルを深く踏み込むまでもなく、入力に対して正確に軽々と走り出し、すっきりとクリーンな身のこなし。小石ひと粒を踏んでも勤勉にはっきりとインフォメーションを寄こす。街をうろうろするにはちょっと足が硬く、軽クテ高剛性ナボディニ強イエンジンガ働イテ居リマスとつい宮沢賢治調になるほど正しくまじめだ。見切りもよく、最小回転半径は5mと驚くほど小回りが利く。

上質で洗練されたコクピットには、ピアノブラックのダッシュパッドを、シートにはブラックのファブリックシートを採用。クーペ風のボディスタイルだが、広々とした室内空間を実現。

真骨頂は高速走行で、どこまでもどこまでも一緒に走って行こうカムパネルラ! という気分。県境をいくつも超えた先の君の実家にだって君と子どもたちを乗せて走って行こう。なあに2Lターボといったって燃費はWLTCモード18.6km/Lだし軽油だからお財布にもやさしい。お義父さんお義母さんを乗せてお墓参りに行くにも乗り降りしやすいシート高で、きっと喜んでくれるだろう。こうやってまじめに生きていれば、「ほんとうのさいわい」もみつかるのだろうか、ねえカムパネルラ。

流麗なスタイルながらラゲッジルームは多彩なシートアレンジが可能で、容量はたっぷり使える445Lを確保。

やっぱりオシャレな2008

機能、装備、スペースなどクルマとしての基本を同等とした上で、ユーザーのライフスタイルや使用状況、好みなどに応じてエンジンかEVかを自由に選べるというのがプジョーからの提案。一般的な立体駐車場が利用できる絶妙なサイズ感が魅力。

宮沢賢治的Tロックのおかげで「銀河鉄道の夜」気分のまま2008のドアを開けたら、目が覚めた。バケット形状のシートやカーボン調のパネルなどスポーティなんだけどゴリゴリすぎない内装がおしゃれだ。アルカンターラとテップレザーを組み合わせ、メッシュのファブリックをポイント使いし、ステッチも効いた凝ったデザインのシートに気分が上がる。

ガソリン、ディーゼル、EVの3タイプをラインナップ。今回の試乗車は1.2L直3ガソリンエンジンモデルだ。

乗り込んだらシートも上げる。筆者は身長156センチなのでたいてい上げるが、ことプジョー独自の「i-Cockpit」はステアリングの上にメーターパネルが位置するようにアイポイントを合わせるので、なおさらきちんとシートを高くしないといけない。ちょっと独特だが、視界が広くなってステアリングはじめ腕を動かす系の操作がとても楽になっていい。2008はハザードランプやエアコン類のスイッチが鍵盤のように並んでいるが、ちょうどピアノを弾きやすいように椅子の位置を合わせるのと同じ要領だ。だから猫背がトレードマークのグレン・グールドはきっと気に入らないというだろう。

計器情報をホログラムのように立体表示する3Di-Cockpitに、小径ステアリングを組み合わせたプジョー独自のコクピット、ホールド性に優れたアルカンターラとテップレザーのコンビシートを採用。

しっかりとシートを上げ、やんちゃなことに最低地上高は205mmもあって、見晴らしはすごくいい。なりゆきヘッドクリアランスはいまひとつだ。それでもなお晴れ晴れとした気分になるのは、扱いやすいサイズのボディと小気味いい回頭性、シャキッとしながらもまろみのある、フェルトのハンマーみたいな乗り心地、そして何よりこの車体の軽さゆえ。1.2L直3ターボエンジンも、素直だけど特別どうといったことはない。でもすべての要素がすべからくバランスよく整っている。走りながら、ああ自由だ!と思った。この解放感を子連れでも味わえるのはすばらしい。自由が利かずうつうつとすることも多い子育て期の緊急脱出装置としても備えておいて損はない、と思う。

コンパクトなボディサイズながら、ラゲッジ容量は434Lを確保。可動式のフロアボードを備え、ハイポジションにセットすることで荷室を上下に区切ることも可能だ。

守られ感のあるコンパス

都会的なエクステリアを纏い優れた快適性とジープならではの力強いオフロード走破性が融合。サラウンドビューカメラやドライバーアテンションアラートなど、次世代Jeepを先駆けて先進のドライバーアシストも充実。

コンパスの後部座席に乗ったら、小学生の頃の夏休みを思い出した。ふっくらと肉厚でゆったりとした革シートと頭上も肩回りも明るく広々とした空間は、実際の扱いやすいボディサイズ以上に大きなクルマを思わせる。大きなものに守られて、何の不安もなくどこか遠くへ連れて行ってもらうあの感じが懐かしい。前席にも後席にもUSBやアクセサリーソケットが用意されているのも子どもたちの評判が期待できそうだ。兄貴分のグランドチェロキー譲りの迫力ある外観からは意外なほど、その中はやさしさに包まれている。

いずれのグレードも2.4L NAエンジンが搭載されるが、試乗車のリミテッドは4WDで9速ATを搭載。

運転していても、守られている感がある。大きめで革巻きのステアリングホイールを介した鷹揚なハンドリングも、細かなロードインフォメーションを端折ったふわーんとした乗り心地も、ちょっと踏力がいるブレーキも、厚みのあるトルクでグワーンとゆるやかに盛り上がるエンジンも、ガレ場を悠々と踏み越えていく様を想像させる。内外装はしっかりシティ派のお化粧がされているが、ドライブフィールがイモっぽい、もといクロカンらしくてなごむ。今どき珍しい2.4L NAエンジンと4WDだけに高速での遠出は財布に響きそうだが、アメ車ならではのレギュラーガソリン仕様なのは福音だ。

昨年のマイナーチェンジですべてが新しくなったインテリアは、高品質で柔らかな素材にこだわったデザインを採用。快適な座り心地を実現するレザーシートなど、居住性を大幅に向上した。

日々を平穏に暮らすには鈍感力が大切だ、とコンパスに学ぶ。家族の靴下が裏返しのまま洗濯に出されていても、イライラせずに気づかぬ体でそのまま洗い、そのまま畳もう。おおらかに、にこやかに、人生のガレ場を踏み越えて行こうじゃないか。

40:20:40分割可倒式リアシートを採用。スポーツとロンジチュードは6速ATと2WDの組み合わせで、60:40分割可倒式リアシートとなる。

【Specification】トヨタ・カローラクロスZ
■全長×全幅×全高=4490×1825×1620mm
■ホイールベース=2640mm
■車両重量=1410kg
■エンジン種類/排気量=直4DOHC16V+モーター/1797cc
■最高出力=98ps(72kW)/5200rpm
■最大トルク=142Nm(14.5㎏-m)/3600rpm
■モーター最高出力(F:R)=72ps(53kW):7.2ps(5.3kW)
■モーター最大トルク(F:R)=163Nm(16.6㎏-m):55Nm(5.6㎏-m)
■トランスミッション=電気式無断変速機
■サスペンション(F:R)=ストラット:Wウイッシュボーン
■ブレーキ(F:R)=Vディスク:ディスク
■タイヤサイズ(F:R)=225/50R18:225/50R18
■車両本体価格(税込)=2,990,000円
■公式ページ https://toyota.jp/corollacross/

【Specification】フォルクスワーゲンT-ROC TDI BLACK STYLE
■全長×全幅×全高=4240×1825×1590mm
■ホイールベース=2590mm
■エンジン種類/排気量=直4DOHC16V+ターボ/1968cc
■最高出力=150ps(110kW)/3500-4000rpm
■最大トルク=340Nm(34.7㎏-m)/1750-3000rpm
■トランスミッション=7速DCT
■サスペンション(F:R)=ストラット:トレーリングアーム
■ブレーキ(F:R)=Vディスク:ディスク
■タイヤサイズ(F:R)=215/50R18:215/50R18
■車両本体価格(税込)=4,169,000円
■公式ページ https://www.volkswagen.co.jp/ja/models/t-roc.html

【Specification】プジョー2008GT
■全長×全幅×全高=4305×1770×1550mm
■ホイールベース=2610mm
■車両重量=1270㎏
■エンジン種類/排気量=直3DOHC12V+ターボ/1199㏄
■最高出力=130ps(96kW)/5500rpm
■最大トルク=230Nm(23.4㎏-m)/1750rpm
■トランスミッション=8速AT
■サスペンション(F:R)=ストラット:トーションビーム
■ブレーキ(F:R)=Vディスク:ディスク
■タイヤサイズ(F:R)=215/60R17:215/60R17
■車両本体価格(税込)=3,670,000円
■公式ページ https://www.peugeot.co.jp/range/suv-peugeot-e-2008.html

【Specification】ジープ・コンパスLIMITED
■全長×全幅×全高=4420×1810×1640mm
■ホイールベース=2635mm
■車両重量=1600kg
■エンジン種類/排気量=直4DOHC16V/2359cc
■最高出力=175ps(129kW)/6400rpm
■最大トルク=229Nm(23.4㎏-m)/3900rpm
■トランスミッション=9速AT
■サスペンション(F:R)=ストラット:ストラット
■ブレーキ(F:R)=Vディスク:ディスク
■タイヤサイズ(F:R)=225/55R18:225/55R18
■車両本体価格(税込)=4,920,000円
■公式ページ https://www.jeep-japan.com/compass.html

フォト:望月浩彦/H.Mochizuki ルボラン2022年6月号より転載

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