メルセデス・ベンツ

【海外試乗】今や2リッター4気筒でも400馬力越えの時代! 待望のメルセデスAMG C43は卓越した動力性能を持つミドルクラスセダンだった

2L 4気筒とは信じがたい卓越したパフォーマンス

専用のスポーツシート、赤いステッチとシートベルトは標準装備となる。ステアリングもAMG専用デザインだ。

技術的には”電動ターボ”の採用が新しい。これはタービンとコンプレッサーを繋ぐ軸上にモーターを配置、タービンを回すに十分な排気を待たずにコンプレッサーを回して一定のブースト圧を保持できるというシステムである。直4エンジン自体はBSG仕様(AMGは「RSG」と呼ぶ)なので、アイドリングストップからの発進時にはモーターを駆動力として使い、エンジンがその後を引き継ぐ。実際にクルマが動き出してから十分に加給されるまでのこの間を短縮する効果があるという。

しかし実際に電動ターボの威力を強く実感したのは再加速時だ。スロットルペダルから足を離しても、コンプレッサーは回り続けて加給できる状態をキープするから、再び踏み込んだ時のレスポンスが抜群にいいのである。高速道路で前車に追い付いて減速、車線変更をして再加速といったシーンでは特に重宝した。スペック上は最大トルクの発生回転数が5000rpmとなっているので、低回転域でのトルク不足が懸念されたものの、電動ターボによるレスポンスのよさにより完全に払拭されていた。もちろん、通常の加速感も力強く頼もしく、2L 4気筒とはにわかに信じがたい体感である。エンジンはレブリミットまできれいに吹け上がり、出力/トルク特性はともにきれいな線形を描く。何より、右足の動きに対して直ちにエンジンが反応を示してくれるのはダイレクト感があってクルマとの対話が成立しているようでもある。

現行Cクラスの時と同じように、今回もセダンとワゴンが同時に発表された。仕様は基本的に共通。

ダイレクト感や対話は操縦性にも当てはまる。金属ばねと電制ダンパーを組み合わせたAMGライドコントロールサスペンションは、ばね上の動きを巧みにコントロールしつつ、速度や路面状況を問わず優れた乗り心地を提供する。操舵応答が抜群にいい操縦性と、ロール剛性が高くて無駄な動きがまったくない旋回挙動により、コーナーが連続するような場面でもリズムが狂うことなくきれいな走行軌跡を描く。ドライバーとクルマの一体感が感じられる乗り味には、やっぱりCクラスのコンパクトなボディサイズも大いにひと役買っているのではないかと思っている。

ワゴンの印象はセダンとほぼ同じものだった。唯一、旋回時にリアの応答遅れが少し気になった。これはノーマルのCクラスでは感じられなかった事象である。

【SPECIFICATION】メルセデスAMG C43 4MATIC
■全長/全幅/全高=4791/1824/1450mm
■ホイールベース=2865mm
■トレッド(前/後)=1591/1602mm
■車両重量=1765kg
■エンジン種類=直4DOHC16V+ターボ
■総排気量=1991cc
■圧縮比=10.0
■最高出力=408ps(300kW)/6750rpm
■最大トルク=500Nm(51.0kg-m)/5000rpm
■燃料タンク容量=50L(プレミアム)
■トランスミッショッン形式=9速AT
■サスペンション形式=前Wウイッシュボーン/コイル、後Wウイッシュボーン/コイル
■ブレーキ(前/後)=Vディスク/Vディスク
■タイヤ(ホイール)=前245/45ZR18(8J)、後245/45ZR18(8J)
■問い合わせ先=メルセデス・ベンツ日本 ☎0120-190-610

メルセデスベンツ公式サイト

ルボラン2022年9月号より転載

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