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毒蛇の名を戴くマッスルカー!「1970年型フォード・トリノ・コブラ」をレベル製プラモで玩味する!【モデルカーズ】

二代目トリノの”顔”的なモデル

1960年代の大半を通じてインターミディエートに位置づけられていたフォード・フェアレーン、その上級モデルに”トリノ”の名が与えられフェアレーン・トリノが誕生したのは、1968年型でのことである。フェアレーン/フェアレーン・トリノは1970年型でモデルチェンジを行い、フェアレーンの名は大幅に後退してトリノがシリーズの中心になっていった。

【画像22枚】トリノ・コブラの迫力ある姿と、その精緻なディテールを見る!

それまでのフェアレーン/フェアレーン・トリノは、コークボトルラインを控えめに取り入れつつも、基本的にはスクエアなボディを持っていたが、この1970年型ではより丸みと抑揚の強いスタイリングに生まれ変わった。ファストバック・スタイルも先代のトリノGTですでに採り入れられていたが、この新たなトリノ/フェアレーンでは、4ドアのセダンやハードトップにまでそれが波及している。なお、最廉価モデルにはファルコンのネーミングが与えられていた。

ボディバリエーションはトリノに限定して述べると、4ドアのセダンとハードトップ、2ドアのセダンとハードトップにコンバーチブル、そしてステーションワゴン(4ドア)という布陣。このうち2ドア・ハードトップは2種類あり、割りと直線的なウェストラインを持つ通常のハードトップと、なだらかなルーフラインに小さめのサイドウィンドウを特徴とするファストバック(”スポーツルーフ”)に分かれていた。シリーズ全体は下からファルコン、フェアレーン500となり、その上にトリノ/トリノ・ブロアム、トリノGT、トリノ・コブラという具合に構成されている。

トリノGTはスポーツ・モデル、トリノ・コブラはその上を行くハイパフォーマンス・モデルという位置づけで、GTではコンバーチブルとスポーツルーフの2ボディがラインナップされていたのに対し、トリノ・コブラはスポーツルーフのみとなる。トリノ・コブラのエンジンは基本的には385 V8の429-cid(7L)一種のみ(「385」とは、クランクシャフトのストロークが3.85インチであることに由来するネーミングで、排気量ではない)。

この429には3つ種類があり、まず標準の”サンダージェット”は最高出力360hp。次に強力なのが370hpの”コブラジェット”、そしてその上に375hpの”スーパー・コブラジェット”が存在した。このスーパー・コブラジェットは”ドラッグ・パック”というオプション・パッケージを選択した場合のみのエンジンである。トランスミッションは4速マニュアルと3速AT”クルーズ-O-マティック”の2種類を用意。なお、コブラの名はもちろん、キャロル・シェルビーがフォードに売却した商標によるものである。

基本的には良キットながら、注意すべきポイント多数
さて、このフォード・トリノのプラモデル化には、当時モノのアニュアル・キットであるAMT 1/25と、2000年に新金型で登場したモノグラム/レベル 1/25との2種類がある。後者の初版はモノグラムによるPRO MODELERシリーズからトリノGTとして発売されたもので、その後一部金型を入れ替えてトリノ・コブラとしたものが、2001年に通常パッケージ(レベル・ブランド)でリリースされた。ここでご覧頂いている作例は、このトリノ・コブラを制作したものである。内容はごく標準的な出来で、エンジンルーム等の再現がかなり細かく好感が持てる。しかし、新しさに反してバリが多いなど、厄介な部分もある。

ボディはトリノGTと共通のため、ドア後ろのルーバーを削り取らなければいけない。ラインを崩さないよう慎重に作業。パネルラインは少々ダルい印象なので、深くするといいだろう。ボディ前後パネルは先付けしてしまいたいが、フロントは構造上、先には取り付け不可能。充分に仮組み調整し、バンパーに隠れるところで固定するとよいだろう。リアはテールレンズ部の凹みが左右揃うよう注意し、ガッチリ固定。ファイアウォールは上側と前輪タイヤハウスの部分のみ接着し、ボディサイドとは接着しないようにする。上部にすこし隙間ができるので、パテ埋めするとよい。また、フードヒンジの孔が大きいのでインテリアが見えてしまう。ここはプラ板でふさいでしまおう。

フードは幅が合っていないので、プラ板を接着し調整。シャシー関係は特に問題となる箇所はないが、フロントサスはステア機構のせいか精度がイマイチ。ここは好みにもよるが、固定してスピンドルの角度をハッキリさせた方が良い。車高とトレッドはキットのままでOK。ウィンドウは前後ともに接着シロが僅かしかないので注意が必要だ。作例では、フロントウィンドウはサンバイザー裏に0.7mmほどのプラ材を接着し、確実に取り付けられるようにした。リアウィンドウは上下左右が均等になるよう位置決めしテープで仮止め、流し込み接着剤で固定している。

ボディカラーはカラーコードUの「GRABBER ORANGE」。クレオスのC59オレンジにC79シャインレッドを1:0.5くらいの割合で混ぜ、C2ブラックをほんの僅かにプラス。下地には、このオレンジにベースホワイトを混ぜてペイントした。フードの黒い部分と細いラインはC92セミグロスブラックで塗り分けを行った。

作例制作=周東光広/フォト=羽田 洋 modelcars vol.160より再構成のうえ転載

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