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豊富なEVラインナップからアナタならどれを選ぶ? 電気自動車のパイオニアが提供するニッサンEVの最新モード

いまや世界中の自動車メーカーがカーボンニュートラルな社会の実現に向けてクルマの電動化を加速しているが、2010年、他社に先駆けて量産EVである初代リーフをリリースした日産自動車。以来、パイオニアたるその技術は着実に磨き上げられ、EVナンバーワンブランドとして、さらなる安心とワクワクする走りを手に入れている。現在ではクロスオーバーのアリア、軽規格のサクラも加わってラインナップはさらに充実。ここでは、そんなニッサンEV3兄弟に与えられたそれぞれの個性と実力をあらためて掘り下げてみよう。

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エンジンに比べると電気モーターはフィーリングが画一的だからEVは走りの個性をアピールしづらいと言われるが、多くのメーカーからEVが発売されるようになって乗り比べてみると、そんなことはなくEVの走りにも個性や善し悪しはしっかりあると確信した。

EV先駆者として時代に合わせてアップデート:日産リーフe+G

初の量産EVとして2010年12月にデビューしたリーフは、モータードライブならではのスムースでパワフルな加速や静粛性に加え、リニアなハンドリングに磨きをかけ走行性能を向上させてきた。さらに低重心レイアウトと振動制御技術による快適な乗り心地を提供するのも特徴のひとつとなっている。アリア、サクラともにいざという時は走る蓄電池となり、一般家庭の約4日分(リーフe+の場合)の電力を賄うことができる。

2010年に他社に先駆けて量産EVであるリーフを発売した日産は、いまではアリア、サクラを加えて幅広い選択肢を用意しているが、乗ってみると共通点がある。さすがは長年にわたりEVを手がけているだけあって電気モーターの制御が緻密で洗練されたフィーリングだ。ゼロ回転から最大トルクを発生できる電気モーターは、そのまま直に性能を出すと発進時など力が強すぎて不快になるので、制御で抑えてやる必要がある。それをちょうど良く、レスポンスと力強さを感じさせながらスムーズに走らせるのは案外と難しく、技術力と長年の経験が必要なのだ。日産のEVはどれもドライバーが思った通りに、自然な感覚で加速・減速を操れるのが素晴らしい。右足の動きとクルマの動きが完璧にシンクロして一体感がある。

先日の仕様向上で新たにイルミネーション付きのブランドエンブレムを採用したリーフを走らせると、改めてドライバビリティの高さを実感した。回生ブレーキの強度が上がるe-Pedalを選択すれば、通常の走行なら減速もアクセルペダルの戻し加減だけでほぼこと足りる。ペダル踏み替えの頻度が少なくて楽になるだけではなく、微細な減速度の調整も自由自在だから運転が上手くなったように思えるほどだ。高いコストパフォーマンスもリーフの魅力だ。

軽の電気自動車ならではのEVライフにワクワクを提供:日産サクラ G

コンパクトなボディサイズによる扱いやすさに加え、電気自動車ならではの静粛性や力強くなめらかな加速で、通勤や買い物など毎日の生活にワクワク感を提供。モダンな水平基調のデザインにより広がりのある室内は、座り心地の良いソファデザインのシートを採用。リアはスライド機構を備えることで足元のスペースもゆったり。手の届きやすい価格帯で、より電気自動車を身近に感じられるのも魅力。

日本におけるEVの本格普及に多大な貢献をするであろうと大きな話題となったサクラは、軽自動車の走りの概念を吹き飛ばす存在。なにしろ最大トルクは軽のターボエンジンのほぼ倍の195Nmと強大。しかもゼロ回転からそれを発生するから、軽ハイトワゴンとしては圧倒的に頼もしい加速をみせる。きつい登坂路でも音の高まりなしにグイグイと登っていくのだ。これまた日産のEVの特徴だが、電気系の走行音が極めて低く抑えられていることもあって、軽自動車らしからぬ上質感もある。

バッテリーを床下に敷き詰めたEVは低重心化が図れるが、サクラではそのメリットが如実に表れ、コーナーでは背の高さをまったく感じさせず、少ないロールでスムーズに駆け抜ける。それでいてサスペンション周辺の剛性強化などが効いていて乗り心地もいい。

バッテリー容量が20kWhで一充電走行距離180kmとなっているが、シティコミューター的な使用が多い軽自動車ならば十分だろう。EVとしては軽量なので電費がいいのがメリットとなる。一般的には街中の平均速度は実は20km/h程度なのでWLTCモード通りならば9時間も走り続けることができる。そんなに走るユーザーはまずいないだろうし、1日1時間の走行ならば充電しないで9日間、実走行で暖房などに電力を使用しても1週間程度は持つ計算だ。

技術の日産ならではのフラッグシップEV:日産アリア B6

日産が培ってきた電気自動車のノウハウと、最新テクノロジーを融合したクロスオーバーEV。スタイリッシュなフォルムは日本古来の伝統美に着想を得てデザインされたもの。ラウンジのような心地よい高級感溢れるデザインで統一されたインテリアには、声で多彩な操作が可能なボイスアシスタントやAmazonアレクサも搭載。新開発のEV専用プラットフォームの採用によりフラットで広々した室内空間を実現。

最先端のアリアは日産のEVの知見が結集されている。発進時にアクセルペダルを踏み込んでいくと、スムーズさにさらに磨きがかかったようでスーッと上質な感覚で走りだしていく。微細なアクセルワークにも滑らかに反応するのが見事。電気モーターは、ごく緩い加速をさせようとするとコギングと呼ばれるカクカクとした動きが出ることがあるが、日産のはそれがまったくなく極めてスムーズ。e-Pedal Step使用時の回生ブレーキも、アクセルオフと同時にいきなり減速度が高まるのではなく、ジワジワと高まっていくので快適だ。

そしてアリアの静粛性の高さは感動すら覚えるレベルに達している。新たに採用した巻線界磁モーターは、高効率なうえに音・振動がより低い。パワートレインの音が極小だとロードノイズや風切り音が目立ってしまうのが課題だが、そこにもアリアは手を打っている。バッテリーを囲むフレームは強度が高く、ボディと一体化構造となっているため、そもそもの音・振動の発生が少なく、さらに遮音・吸音材の適切な配置、遮音ガラスやスポンジ内蔵の吸音タイヤを採用するなど徹底して静粛性を高めているのだ。モダンで居心地のいいインテリアと、静かで上質な乗り味のマッチングが素晴らしく、リラックスしてドライブできる。

その一方でアクセルを強く踏み込んでいけばV6 3L並みの大トルクで力強く加速(B6 2WDの場合)。ハンドリングは低重心かつ中央寄りの重量配分なので、安定性と俊敏性が高い次元でバランスしていてエンジン車ではあり得ないレベルにある。さすがは先駆者だけあってEVのメリットを最大限に生かし、走りの楽しさをも引き出している。技術の日産の底力が感じられるのだ。

実際にEVのカーライフを始めるにあたって不安なのは充電だろうが、基本は自宅ガレージでの普通充電で収めるのがお薦めだ。アリアの66kWhのバッテリーは、満充電まで200V・6kWで12時間かかるが、空っぽになるまで使うことは稀だろうから、いつもそんなに時間がかかるわけではない。普通の使い方ならば帰宅してコンセントに繋ぎ、一晩あければほぼ充電が完了しているだろう。

現在の急速充電器は出力50kW程度のものが多く、30分の使用で25kWh入る計算(実際には少し下回る)。一般的なEVとして計算上では、WLTCモードで約150km距離相当分になるだろう。ポツポツと増え始めている出力90kWの充電器ならば45kWh入って約270km距離相当分になるので、ロングドライブも苦にならないはずだ。

バッテリーは充電量が少ないときには電力がいっぱい入るが、あまり減っていないと入りづらいという特性がある。空のバケツならば勢いよく水を入れても大丈夫だが、上限に近づくにつれてチョロチョロと絞らないとこぼれてしまうイメージだ。また、温度が低すぎても高すぎても電力は入りづらい。急速充電器を使うなら、しばらく走行してバッテリーが適度に暖まってから、また充電量はある程度減ってからにしたほうが効率的だろう。

クルマによって急速充電の受け入れ能力が違い、サクラは30kW、リーフは50kW、リーフe+は100kW、アリアは130kW。リーフe+とアリアは90kWなど高出力な急速充電器を使えばそれだけ電力がたくさん入ることになる(充電器の出力にもよる)。充電は一度体験すれば難しいことなど何もなく、スマフォと同じで習慣になれば億劫でもない。ガソリンスタンドに行く必要がなくなるので差し引きではかなり便利なはずだ。

エントリーからフラッグシップまで揃った日産のEV。自分のライフスタイルや好みに合うモデルをチョイスすれば、スマートなカーライフが送れるはずだ。

ニッサン公式サイト

フォト:郡 大二郎 ルボラン2023年1月号より転載
石井 昌道

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