世田谷ベース

【所さんの世田谷ベース】そろそろ会社で10〜20年「課長」「部長」も自分のステップアップにならない理由とは?【新解釈トコロ辞典】

「毎日1テーマずつ読めば、1か月後に所さんみたいな思考になれる!」

「所ジョージの世田谷ベース」50号は、雑誌『Daytona』で6年以上連載を続けてきた「トコロ辞典」の膨大なアーカイブを再編集し、一冊にまとめた完全保存版です。ひとつのテーマは約5分で読みきれるので、毎日1テーマずつ読み進んでいけば、おおよそ1か月で完全読破。翌月には、所さんみたいな思考回路に近づいてしまい、楽しくてしょうがない毎日がやってきてしまうというコンセプトで制作、ここではその一部をチラ見してみましょう。

こ‐せい【個性】
個人・個物を他の人・物から区別しうるような,固有の特性。パーソナリティー。「強烈な―をもった作品」「―を発揮する」大辞林参照
トコロ辞典的「個性」の解釈
みんなと同じベースがあって、その先に輝いているモノ。自分なりに考えることができるようになること。他人と違うことをやるのが個性ではなく、他人と同じことをやった結果、にじみ出てくる色合いの違いが個性である。

【写真7枚】一家に一冊!? 思わずうなづく、所さんの「名言」たち。  

■パンクだからってモヒカンじゃない
原宿あたりで、頓珍漢な格好している人いますよね。シャツを前後ろ逆に着るとか、男なのにミニスカート履いてしまったりとか。そういう格好している人は「個性的ですね」って言われるのが嬉しくて仕方ないようですが、皆さんが可哀相だと思いつつ個性的だと言ってくれているのに、気がついてない。

自分はみんなと同じ格好した有象無象じゃないんだっ! と思いたい気持ちはわからなくはないけれど、引いて見たら”同じ格好だと思われたくない集団の一人”に過ぎないわけです。つまり、結局は有象無象ということです。奇抜なファッションで個性を主張することの恥ずかしさに気がついたほうがいい。

たとえば俺はパンクだから、と鋲の付いた革ジャンを素肌に着て、モヒカンでピアスをたくさんつける……。本当のパンクは、古い考え方とか体制を変えていく表現や生き方をする人たちでしょう? 何十年も前から変わらないパンクファッションをして悦に入っている。って、それではまるで実質が伴っていない。単なる”他人と違う人ですよ”アピールに過ぎない。

私がパンクだなぁと思うのは、その人の主張や生き方に実質が伴っていて、凄い存在感がある人のこと。何を着ているかではないのです。本人はまったく意識していないけど、その人柄から滲み出るもの。それが個性となるのです。

■トイレットペーパーを交換してみよう
実質的に自分をステップアップさせれば個性が出てきます。どうすればいいかと言うと「他人と同じ時間軸で生きない」ということに尽きます。たとえば会社に入って10年、20年もすると、腹が出て貫禄が出て、口角も下がったりして、なんか迫力が出る。まあまあ仕事もできる。じゃあ課長だ、部長だみたいな流れになる。そういう時間軸に無自覚に乗っていると、実質的なステップアップは望めない。

もちろん、社会的な時間軸に乗って生きて行くことは大変だし、それ自体は否定しません。でも、面白い人生を送れているかと言うと、そうでは無い。そういう時間軸にどっこいしょっ! と乗りかかったままだと、何も自分は成長しないまま、死ぬだけです。

まずは誰も目を向けないような、ほかから見たらどうでも良いことに目を向けてみましょう。

たとえばあなたが部長で会社のトイレに入ったら、トイレットペーパーが切れかけていることに気づく、誰だ! 替えなかったやつは! 清掃業者はどうなってる! と怒るのではなく、「これはチャンス!」と思って自ら替えるのです。そのときトイレットペーパーの幅が114ミリであるとか、長さが65メートルであるとか、ペーパーホルダーの構造を観察してみるのです。そこには、いままで自分が知らなかったことがあって、そういう情報の積み重ねが個性を磨くきっかけになっていく。「なんか部長は異常にトイレットペーパーに詳しい」と噂されるようになればしめたものです。

■存在感がある生き方を
日常生活を送る上で、ツマラナイことはしないと決めてかかると、面白くする力がつきません。どんなツマラナイことでも、面白くできる。そういう人のほうが他人よりも個性的だし、楽しい人生を歩んでいけます。

たとえば私は年間平均で10本ほどのボールペンを使うのですが、途中で替えるのではなく、1本を使い切るまで替えないと決めています。もう、見た目にインクがほぼ無くなっているのに、書く角度を変えたりしてなんとか最後まで使いきるのです。今年12本ということは、去年より2本増えたから、結構書いたぞ! と、ボールペンの本数が自分の仕事量の秤になる。そうなってくると、100円のボールペンに存在感が出てきて、とても面白いのです。

歯磨き粉だって良い。残り10回くらいかもと思ったら、そこから何回使えるか挑戦する、しまいにはハサミで切って中に歯ブラシを突っ込んだりする。毎朝、歯磨き粉との戦いみたいになって面白い。すると、家族が何してんの? と笑ってくれたりもする。歯ブラシだって、両側に広がっちゃってもなんとか使う、広がった方向を逆向きに歯に当てて無理やり磨く、その姿を見て家族が気の毒に思って新しい歯ブラシを買ってくれるまでやる。

100円、200円のものに存在感を与えることで自分の存在感も磨かれる、こうした日常生活の細々したことを面白くする努力が、個性的な人間を作るのです。

所さん的「個性」の続きは、所ジョージの世田谷ベース vol.50をご覧ください!
所ジョージの世田谷ベース vol.50
定価:1,020円
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世田谷ベースステッカー付き! 

・掲載テーマ
 あいそ【愛想】
 あつ‐くるし・い【暑苦しい】
 いそがし・い 【忙しい】
 おとしあな【落とし穴】
 おも‐しろ・い【面白い】
 おもい‐つ・く【思い付く】
 おんきせ‐がまし・い【恩着せがましい】
 かた‐づ・ける【片付ける】
 かんが・える【考える・勘える】
 き‐しょう‐てん‐けつ【起承転結】
 クリエーティブ【creative】
 クレーム【claim】
 けっ‐こん【結婚】
 けん‐ぜん【健全】
 こ‐せい【個性】
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