BMW

それぞれのモデルに個性が光る、新型3シリーズの一押しをモータージャーナリストの石井昌道氏に聞いてみた【ドイツ車の○と×2023】

あらためて新型3シリーズを実際に走らせてみた印象をモータージャーナリストの石井昌道氏のパーソナルチョイスも含めて語っていただいた。

それぞれのモデルに個性が光る新型3シリーズ

2019年にデビューした現行3シリーズのG20は、アルファ・ロメオ・ジュリアやジャガーXEなど、先代F30のライフサイクル内に出てきた新たなライバルたちを牽制するため、本来の持ち味であるスポーティ性を思いっきり高めてきた。F30でもハンドリングなどは十分にスポーティだったが、ライバルたちも多大なコストをかけスポーツセダンの代名詞という3シリーズの牙城を崩しにかかってきたからだ。

最初に日本に導入され、メディアの試乗記などで紹介された330i Mスポーツは、スポーツサスペンションとランフラットタイヤを履いていたこともあって乗り心地が硬め。スポーティ性を思いっきり高めたというメッセージも合わせて、G20はちょっとやり過ぎなのでは? というイメージがついてしまった感がある。だが、本国ではスタンダードタイヤが標準で、それならば乗り心地は硬すぎない。あるいはオプションの可変ダンパーをつければ快適性が高まってバランスはいい。コンベンショナルのスポーツサスペンション、ランフラットタイヤという組み合わせが乗り心地では不利だったのだ。その後、320iや318iなどベーシックなモデルならば従来よりも格段にスポーティなうえに、快適性も十分に確保されていることが確認されたが、最初のイメージがあまり良くなかった。

マイナーチェンジを受けたG20に試乗してみると熟成が進んだこともあってか、どのモデルもスポーティ性と快適性のバランスが良く、3シリーズらしい魅力に溢れていた。

M340i xDriveはスタンダードタイヤと可変ダンパーが装着されていることもあって、スポーツセダンの最高峰といえる正確で俊敏なハンドリングがありながら、不快な硬さを感じる場面はほとんどない。直6エンジンならではの官能性も存分に味わえる。

M3でも嫌なゴツゴツ感こそないものの、路面の荒れ方によってはリアのスタビライザーがかなり張っていて乗員が揺さぶられることもある。サーキットで走らせたときの痛快なパフォーマンスとトレードオフだと考えれば納得がいく範囲だが、デイリーユースにはややハードすぎるかもしれない。ワインディングを気持ち良く走らせるのならM340i xDriveで十分以上だろう。

【写真10枚】それぞれのモデルに個性が光る新型3シリーズの詳細を写真で見る

個人的にもっとも好印象であり、G20の持ち味がいい方向に出ていると感じたのが320iエクスクルーシブだ。日本仕様は相変わらずランフラットタイヤを履いているが、ゴツゴツ感やバネ下の重さが気になることは最小限に抑えられていて不快さはない。基本的には柔らかさ、緩さみたいな快適性迎合的なフィーリングはなく、カッチリと引き締まったスポーティな乗り味なのだが、サスペンションが実にスムーズに動いているので快適でもあるのだ。

G20のメカニカル・サスペンションのダンパーは、ストロークが深くなっていくと徐々に減衰力が高まる凝った機構。初期はソフトで17㎜ほどストロークしたところから減衰が高まり始める。路面の細かな凹凸は軽やかにいなしながら、入力が大きくなると上下動を後に残さない収束の早さをみせ、コーナーでは高い操縦安定性を発揮する。また、フロントのサスペンション取り付け部がアルミダイキャストになって剛性が向上したことで、ハンドリングの正確性が一層高まったことを実感。デイリーユースにも向いている理想的なスポーツセダンなのだ。

ガソリンの2L直4ターボもいい。ディーゼル不要と思わせるほどの低速トルクと燃費性能を兼ね備えながら、抜群のドライバビリティと回したときの爽快感があるからだ。自分はF30の320dに乗っていてBMWのディーゼルは大好きなのだが、ここはあえてベーシックなガソリンを推したい。

そんなことを思いつつ最後に320d xDriveツーリングに乗ってみたら、最新のディーゼルがまた見事なのでまいってしまった。音・振動が抑えられ、レスポンスの良さと回転上昇のスムーズさはとてもディーゼルとは思えないほど。

結論としては、ハイパフォーマンスモデルはもちろんいいのだが、ベーシックあるいは標準的なモデルに乗ってみるとG20の基本的な魅力がわかりやすいということを強調しておきたい。そういった意味で、今回試乗したなかでは320iエクスクルーシブがもっとも好印象だった。

【SPECIFICATION】BMW 320iエクスクルーシブ
■全長×全幅×全高=4720×1825×1440mm
■ホイールベース=2850mm
■車両重量=1550kg
■エンジン種類/排気量=直4DOHC16V+ターボ/1998cc
■最高出力=184ps(135kW)/5000rpm
■最大トルク=300Nm(30.6kg-m)/1350-4000rpm
■トランスミッション=8速AT
■サスペンション(F:R)=ストラット:マルチリンク
■ブレーキ(F:R)=Vディスク:Vディスク
■タイヤサイズ(F:R)=225/50R17:225/50R17
■車両本体価格(税込)=6,460,000円

【SPECIFICATION】BMW 320d xDriveツーリングM Sport
■全長×全幅×全高=4720×1825×1455mm
■ホイールベース=2850mm
■車両重量=1740kg
■エンジン種類/排気量=直4DOHC16V+ターボ/1995cc
■最高出力=190ps(140kW)/4000rpm
■最大トルク=400Nm(40.8kg-m)/1750-2500rpm
■トランスミッション=8速AT
■サスペンション(F:R)=ストラット:マルチリンク
■ブレーキ(F:R)=Vディスク:Vディスク
■タイヤサイズ(F:R)=225/45R18:255/40R18
■車両本体価格(税込)=7,150,000円

フォト=望月浩彦 ルボラン2023年3月号より転載
石井 昌道

AUTHOR

愛車の売却、なんとなく下取りにしてませんか?

複数社を比較して、最高値で売却しよう!

車を乗り換える際、今乗っている愛車はどうしていますか? 販売店に言われるがまま下取りに出してしまったらもったいないかも。 1 社だけに査定を依頼せず、複数社に査定してもらい最高値での売却を目 指しましょう。

手間は少なく!売値は高く!楽に最高値で愛車を売却しましょう!

一括査定でよくある最も嫌なものが「何社もの買取店からの一斉営業電話」。 MOTA 車買取は、この営業不特定多数の業者からの大量電話をなくした画期的なサービスです。 最大20 社の査定額がネット上でわかるうえに、高値の3 社だけと交渉で きるので、過剰な営業電話はありません!

【無料】 MOTA車買取の査定依頼はこちら >>

注目の記事
注目の記事

RANKING