モデルカーズ

ヘビーデューティな四駆と言えばコレ!MPC/AMT製プラモ「ジープCJ-5」をさわやかモデリング【モデルカーズ】

シビリアン・コントロールなジープ

四輪駆動車と言えば、ジープが長らくその代名詞的存在であった。その名の由来は明確ではなく、自然発生的に生まれた通称だったということであるが、何を目的にいつ開発された自動車であるかは、もちろんハッキリとしている。第二次世界大戦における戦場で、連絡や偵察にも使用できる総輪駆動の小型トラックとして生まれたのがジープであった。

【画像21枚】シエラ・ブルーも鮮やかなCJ-5を細部まで見る!

1940年、軍の求めに応じて最初の設計を行ったのはアメリカン・バンタムである。これを元にウィリス・オーバーランドとフォード・モーターも参加しての試作コンペが行われ、ウィリスによる内容にフォードの考案したフロント・デザインを組み合わせたものが完成形となり、制式採用。生産はウィリスとフォードが担当することとなったが、大戦終了までに合計して約64万台が生産されたという。

ジープの商標を確保したウィリスは、戦後に民間需要への転換も考え、そうして発売されたのがCJシリーズであった(CJ=CIVILIAN JEEPの頭文字)。1944年に試作車として製造されたものをCJ-2と呼び、翌1945年に正式に市販されたのがCJ-2Aというモデルである。軍用ジープであるウィリスMB/フォードGPWと比べて、ひと回り以上大きなヘッドライトが特徴のこのモデルは、CJ-3A、CJ-3Bと発展を重ね、1954年にCJ-5へと大きく進化した。

これは、CJの軍用版として生まれたM38の改良版であるM38A1を、今度は逆に民間向けにしたものである。丸みを帯びたエンジンフード/フロントフェンダーなどの外観からフルモデルチェンジのようにも思えるが、そこまで大きく変化したわけではない。

搭載エンジンは当初、ウィリス自慢の直列4気筒”ハリケーン”のみ。これは134-cid(2.2L)のFヘッド・エンジンで、最高出力75hpを発揮するものであったが、1965年からは”ドーントレス”225-cid(3.7L)のV6も搭載可能となった。これはビュイックから設計を買い取ったもので、出力は160hp。その後も様々な変更を受けつつ、CJ系は1986年まで生産・販売を続けた。

可動ギミックは廃して再現性を優先しフィニッシュ
CJ-5のプラモデルは各スケールで色々と出ているが、1/25となると、今回採り上げたAMTのものが唯一となるだろう。2003年の中国生産のキットだが、元は1960年代後半にリリースされたMPCのもので、過去にも何回か再販されている。金型に傷みはあるようだが、全体の印象は悪くない。年式は箱にも説明書にも明記されていないが、実車パンフレットと比較したところ、おそらく1965年頃のモデルであると思われる。

ボディは1ピースで成型されている関係でヒケがあり、特に左側中央付近の目立つところにあるものはパテで修正したほうが良い。ファイアーウォールとのフィッティングもよくないので、プラ板等を入れて塞いでおく。スカットルとボンネットにモールドされているヒンジは、可動式のためか少々ゴツい。作例では可動式をやめて、プラ板で作り直した。側面のボンネットキャッチは、イタレリ1/24ジープから流用。ウィンドウフレームのヒンジはオモチャっぽく、ここはぜひともプラ板で作り直したいところ。作例ではワイパーモーターをプラ材で追加した。

ダッシュパネルは、説明書で指示されているパーツ(115番)はCJ-7のものらしく、もうひとつのもの(56番)が正解のようだ。ただし、いずれの場合もそのまま組むと位置が低くなってしまう。モールドもよくなかったので作例ではプラ板で作り直したが、そこまでしない場合でも、作例と同じくらい上にずらすとよいだろう。リアゲートは中央にスペアタイヤ等の取り付け孔が空いているが、ここは塞ぐことを勧める。

シャシーは細かなバリを丁寧に取り除くこと以外、特に問題はないが、ショックアブソーバーの取り付けピンは折れやすいので、注意が必要だ。デフは少し合いが悪く孔が空いてしまうところがあり、パテ等で塞いでおく。タイヤはレベル1/25 1937年型フォード・ピックアップより流用、インナーホイールも併せて利用した。アウターホイールはキットのものである。フロントバンパーはオプションのメッキ仕様だったので、プラストラクトのCチャンネル材に置き換えている。

シートは、シートバックの合わせ面にすこし隙間ができるので、パテや接着剤で整えておく、フロントシートの座面にも妙な凸部分があるので削り取っておこう。ステアリングはキットには2種類入っているが、ストックのパーツは折れやすいので、取り扱いには注意。

ボディカラーはカラーチップ等を用意できなかったので、前述のパンフレット表紙のイラストに合わせた。ライトブルーはクレオスのC65インディブルーにC1ホワイトとC2ブラックを混色。ホイールはC1ホワイト、C44タン、C2ブラックを混ぜたもので塗装している。

作例制作=周東光広/フォト=羽田 洋 modelcars vol.166より再構成のうえ転載

注目の記事
注目の記事

RANKING