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トランスフォームはしないけど…!?ハセガワ製プラモ「1967年型ビートル」がバンブルビーに変身!【モデルカーズ】

バンブルビーのキャラにビートルがぴったり

1984年に北米で、翌1985年には日本でも発売された変形ロボット玩具シリーズ「トランスフォーマー」は、多数の玩具メーカーより関連商品が発売されるほどブームとなり、その後アニメやコミック等へも展開、世界的に認知されている定番コンテンツである。

【画像38枚】映画の劇中車両を正確に再現したビートルと、その制作過程を見る!

2007年にはマイケル・ベイ監督、スティーブン・スピルバーグ制作総指揮による実写版映画が公開され、子供の頃にトランスフォーマーで遊んだ世代を中心に大ヒット、以降の関連作品(続編、スピンオフ等)は合計7本にものぼる人気シリーズとなった。

今回の1/24スケール・プラモデル作例でモチーフとした映画『バンブルビー(BUMBLEBEE)』は、日本では2019年3月に公開された。1987年のカリフォルニアを舞台に、故郷の惑星での戦争で劣勢を強いられ、自軍の勢力を立て直す目的で地球に降り立ったばかりの金属生命体、後にバンブルビーと名付けられるB-127と、孤独を抱える少女チャーリーの友情を描いたストーリーである。

僕自身は「トランスフォーマー」世代より少し上だったので、関連のおもちゃもアニメもこれまで触れてこなかった。ちらっと見かける程度の知識で、「バンブルビー」と言えばカマロだと思っていたのだが、2019年3月に公開された劇場版のTVCMではビートルが主人公となっていて、「おや?」となったくらいである。作例のお話を戴いてから、改めてDVDをレンタルして観た次第だ。

映画のあらすじは割愛するが、作中で描かれているバンブルビーのキャラクター性が、ビートルの持つ雰囲気と実に合っていた。バンブルビーが成長してカマロへと進化する以前のエピソードである。SFアクション映画ながら、ほっこりしたりクスッと笑えるシーンも盛り込まれており、映画自体は決して子供だけに向けられたものでは無かった。

ネットで資料を検索すると、バンブルビーが変形するビートルは1967年式で、再現するならハセガワの現行キットが同年式でピッタリである。よく見ると前後バンパーやホイールキャップの形状が少し違うが、バンパーはタミヤのビートルから、ホイールキャップは同ハセガワのワーゲンバスから流用すれば問題なさそうだ。

バンブルビーは少女チャーリーと出会うまでボートヤードの片隅のシートの下で長い間眠っていたこと、息を吹き返してからも敵との戦闘等により常に埃っぽい汚れやサビを纏っていることで、ツヤの引けたボディのヤレ感が特徴である。作例ではその経年劣化の塗装に注力した。

初挑戦ながら、ウェザリングや劣化表現が面白すぎて!
基本のボディカラーは、ガイアカラーのサンシャインイエローに若干の橙黄色を混ぜて濃い黄色として吹きっぱなし。各部メッキパーツは一度漂白剤で落とし、ガイアカラーのプレミアムミラークロームで塗装した。劇中のシーンから集めたバンブルビーの画像を参考に、タミヤエナメルのハルレッドをサビに、デザートイエローを土埃として、適宜セミグロスブラックや近似色を溶剤で薄めたものを混ぜたりしながら、筆や綿棒などで各部へ塗装。また、溶剤で拭き取ったり塗り重ねたり、場所によっては研磨スポンジシート3000番で軽くサンディングして艶を落としたりしてみた。

仕上げに、フロントウィンドウのワイパーで拭き取ったところをマスキングして、エアブラシでデザートイエローをまさに埃が被るようなイメージで、全体に吹き付けた。こうしたウェザリング・経年劣化表現には初めて挑戦してみたのだが、思っていた以上に面白く、また、ピカピカに仕上げるのとは違う、クルマに表情を持たせる効果があることに、改めて気付いた。

汚れや傷で生活感が生まれ、見る者が勝手にストーリーを妄想してくれる。表現の幅も大幅に広がるのではないだろうか。ボディや基本部分をラッカー系で塗装しておき、エナメル塗料でウェザリングを施せば、やり過ぎても元に戻したりやり直したりできるので、実にオススメである。

実は僕自身、ビートルを制作したのも今回が初めてであった。ずっと作りたいと思っていた車種であり、完成後もその佇まいにヤラれている。とにかく可愛らしいのであるが、鼻に付くようなケレン味はなく、これほどデザインの完成されたクルマが80年近く前にすでにあったということに、感動している。何より、多くの人々に長く愛されたビートルがスクリーンの中で感情を持ち人に寄り添う姿は、もしかしたら多くのクルマ好きの理想なのかも知れない。友達や相棒のように接し愛情を注ぐ、クルマ好きなら誰もが持ち得る感情である。

映画『バンブルビー』は、トランスフォーマー・シリーズのスピンオフ作品ではあるが、実は、クルマ好きを唸らせるだけの資質を持ったカーアクション映画でもあった。

作例制作・文章=吉田史洋/フォト=服部佳洋 modelcars vol.284より再構成のうえ転載

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