国内試乗

【国内試乗】国内導入第3弾はミッドサイズのスポーツサルーン「BYDシール」

日本に上陸して1年半たらず。この5月までにすでに2277台を販売し、全国で55もの販売拠点を早くも構築したというBYD。その勢いに乗るかのように登場したシールは、まさしく「ありかも」な1台だった。

お値段控えめ、でも内容は充実

最近、周囲の知人から、BYDはどうなのかとよく訊かれる。印象的なTVCMも効いて、関心を持つ人が着実に増えているようだ。
そんな中、第3弾として日本にやってきたシールは、すでに導入された海外でも売れ行きは上々という。しかも、このところ車両価格が値上がりする中で、BYDらしく内容のわりに価格が控えめに抑えられていることにも注目だ。

CD値は0.219と極めて良好。ディフューザー形状のバンパー下部も目を引く。LEDリアコンビライトにはシーケンシャルウインカーを備える。

BYDには王朝シリーズとこちらの海洋シリーズがあり、シールとはアザラシを意味する。スラントしたノーズになだからな弧を描くルーフラインを組み合わせた容姿はなかなかスタイリッシュだ。

【画像27枚】BYDのe-スポーツセダン「シール」のフォトギャラリーはコチラ
フロントのイルミネーションは海の波、テールライトは空と海の広大さを表現したものだという。

ブラックで統一された伸びやかで躍動感のあるデザインのインテリアは質感も上々。回転可能なセンターディスプレイは既存車種よりも大きな15.6インチとなり、こちらでステアリングの重さや回生ブレーキの強さなども好みで調整できる。

変化に富んだデザインとともに、随所にバックスキンやステッチを施して質感を高めたインテリアの仕立てもなかなか印象深い。広大なパノラマルーフにより、どの席でも絶大な開放感を味わえる。
BYDお得意の、ワンタッチで縦にも横にもできるディスプレイは、もちろんシールにも装備される。シーンに合わせて向きを選べるのは、面白いだけでなく機能的にも重宝する。ウインカーレバーが右側にあるのもありがたい。

このフォルムながら後席の居住スペースも十分に確保されている。床下にブレードバッテリーが敷き詰められているのでフロアが高めであることは、SUVではなくセダンだと少々意識させられるのは否めないが、3m近いホイールベースも効いて膝前は広々だ。

ドルフィンと同じく後席には幼児置き去り検知システムを装備する。

ラインナップは駆動方式の違いのみのシンプルな構成で、航続距離がAWDでも十分なところ、RWDなら640kmに達するというのがいい。装備も充実していて、駆動方式による差はほぼない。
スペックが示すとおり動力性能もなかなか強力だ。乗り比べるとAWDのほうが圧倒的に瞬発力がある。0→100km/h加速が2.1秒も速いわずか3.8秒というから、どうりで速いわけである。

ただし、動き始めがやや飛び出し気味で少々気を使うのは、すでに日本に上陸した2モデルでは見受けられなかった点だが、走り出してしまえば至って静かでなめらかで力強いことには違いない。
ダブルピニオン式電動パワステも効いて、すっきりとした操舵感でクイックなハンドリングを実現しているのにも感心した。

広大なパノラミックガラスルーフも特徴的。

箱根のワインディングをオンザレール感覚で味わいながらスイスイと走るのはなかなか楽しい。
RWDのほうがより軽快さが際立っているように感じられたのには、モーターの有無だけでなく、その他のユニットの搭載の都合により前軸重がだいぶ軽くなっていることも効いているようだ。

フロントには50Lのストレージが設けられている。

欲をいうと、ときに車線逸脱防止機能でステアリングが不意にはじかれるのが気になったので、もう少しマイルドになるといい。
このハンドリングを実現するために、足まわりはそれなりにひきしめられている。

テールゲートはワンタッチで開閉可能。400Lの容量ながら奥行きがかなり長い。

AWDに標準装備される可変ダンピングアブソーバーは、入力に応じて減衰力が変わるというもので、ドライブモードに連動して硬さが変わるわけではないそうだが、ドライブした印象では、RWDのほうが微妙に乗り心地はソフトで、AWDのほうが確かにロールが小さくフラット感があった。

バッテリー温度管理システムの最適化により急速充電の受け入れ性能に優れ、社内試験では90kWの既存充電器でSOC30%から30分で40kWh超を充電できたという。

参考までに、関係者に聞いたところでは、AWDの駆動力の制御は相当に凝っていて、冬道での走行性能が驚くほど高いらしい。そちらも試乗できる機会を楽しみにしたい。
見た目も走りも装備も、競合しそうな欧米の列強を見わたしても、この価格帯でこれほどのバリューが手に入るクルマはなかなかないように感じられた。これならたしかに、“ありかも”しれない。

【Specification】BYD シール
■車両本体価格(税込)/5,280,000円
■全長×全幅×全高=4800×1875×1460mm
■ホイールベース=2920mm
■トレッド=前:1620、後:1625mm
■車両重量=2100kg
■リアモーター種類=永久磁石同期電動機
■リアモーター最高出力=312ps(230kW)
■リアモーター最大トルク=360Nm(36.7kg-m)
■システム総合最高出力=312ps(230kW)
■システム総合最大トルク=360Nm(36.7kg-m)
■バッテリー種類=リン酸鉄リチウムイオン電池
■バッテリー容量=82.56kWh
■一充電航続可能距離(自社調べ)=640km
■サスペンション形式=前:W ウイッシュボーン/コイル、後:マルチリンク/コイル
■ブレーキ=前後:Vディスク
■タイヤ=前後:235/45R19

【Specification】BYD シールAWD
■車両本体価格(税込)=6,050,000円
■全長×全幅×全高=4800×1875×1460mm
■ホイールベース=2920mm
■トレッド=前:1620、後:1625mm
■車両重量=2210kg
■フロントモーター種類=かご形三相誘導モーター
■フロントモーター最高出力=217ps(160kW)
■フロントモーター最大トルク=310Nm(31.6kg-m)
■リアモーター種類=永久磁石同期電動機
■リアモーター最高出力=312ps(230kW)
■リアモーター最大トルク=360Nm(36.7kg-m)
■システム総合最高出力=529ps(390kW)
■システム総合最大トルク=670Nm(68.3kg-m)
■バッテリー種類=リン酸鉄リチウムイオン電池
■バッテリー容量=82.56kWh
■一充電航続可能距離(自社調べ)=575km
■サスペンション形式=前:Wウイッシュボーン/コイル、後:マルチリンク/コイル
■ブレーキ=前後:Vディスク
■タイヤ=前後:235/45R19

問い合わせ先=BYDジャパン 0120-807-551

フォト=篠原晃一 ルボラン2024年8月号より転載

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