4MOTIONで理想的な走りを実現
2023年に輸入SUVで登録台数ナンバー1に輝いたフォルクスワーゲンTロック。取り回し性に優れたコンパクトなボディに、人気のクロスオーバーSUVスタイルを纏ったこのモデルは、本国ドイツでもゴルフやティグアンに次ぐ人気モデルである。
そんなTロックに2022年のマイナーチェンジを期に日本上陸を果たしたのが、トップパフォーマンスモデルであるTロックRだ。
TロックRは、専用リアバンパーや４本出しエキゾーストエンド、専用スポーツサスペンション、ブルー塗装のブレーキキャリパーが標準で備わる。リアサスペンションはトレーリングアームではなく４リンクを装備。
MQBプラットフォームを採用し、メカニズム的にゴルフやティグアンと関係が深いTロックだが、GTIの設定がないのに、「なぜR？」と思う人もいるかも知れない。だが本国ラインナップも同様である。つまりメインマーケットであるヨーロッパ市場で、より高性能なSUVが人気を博している証と言っていいだろう。
そんなTロックRは、ハイパフォーマンスモデルに相応しいアグレッシブなルックスに仕立てられている。専用デザインのフロントバンパーや、中央がブラック仕上げとなっている専用リアバンパー、R専用19インチアルミホイール、ブルーに塗装されたブレーキキャリパーなどが奢られている。
インテリアもR専用レザーマルチファンクションステアリングホイールや、サイドサポートとショルダー部がカーボン調となるR専用ナッパレザーシートなどにより、ノーマルとは一線を画すスポーティな雰囲気に仕立てられている。
ラピスブルーメタリックのボディカラーを選択すれば、ダッシュボードもR専用のラピスブルーとすることが可能だ。さらにはステアリングヒーターやシートヒーターが備わる点も、TロックRの魅力である。
ラピスブルーのインテリアは、ラピスブルーメタリックのボディカラー専用。
R専用ナッパレザーシートは、サイドとショルダー部がカーボン調となっている。
しかし何といっても注目は搭載エンジンである。標準モデルは、TSIもTDIも最高出力が150㎰であるのに対し、Rの2.0TSIはその倍の300㎰を発揮、最大トルクも400Nmである。これに7速DSGを組み合わせるパワートレインによる走りは、驚くほどダイナミックだ。
ラインナップで唯一の4MOTION（4WD）であるTロックRは、車両重量が1540㎏と比較的軽量である。そこにスペックこそ20㎰と20Nm引けを取るが、TロックRより200㎏以上重い先代ティグアンRと同じ2.0TSIを積んでいるのだから、加速がとにかくパワフル。0→100㎞／h加速も4.8秒と、先代ティグアンRを0.1秒凌駕する。
後席は大人2人が問題なく着座できる。
ラゲッジ容量は通常時で392L、最大で1237Lと、4WDであるためFFのノーマルモデル（445～1290ℓ）よりも若干小さくなる。リアシートバックレストは60：40分割可倒式を採用。
ハンドリングは、後輪左右の駆動トルク配分を制御する「Rパフォーマンストルクベクトリング」を備えたゴルフRやティグアンRほどに俊敏ではないが、十分にスポーティ。むしろ直進安定性が高く、安心感も高い。
そして高性能モデルとしては驚くほど乗り心地が良好な点はTロックRの大きな魅力である。お値段は少々張るが、クラス随一のスポーティな走りが楽しめて、オフロードもそれなりに走れるTロックRは、気軽に非日常に連れて行ってくれる、頼もしい相棒にピッタリの一台だ。
TロックRには「Black Style」もラインナップされている。外装のルーフレール、ドアミラー、トリム類などに加えて、インフォテイメントディスプレイ、センターコンソールなどのインテリアもブラックアウトさせたパーツ類を採用。都会的で上質さが際立ち、同モデルの中でもワンランク上の印象が感じられるグレードだ。
Specification
【フォルクスワーゲンTロックR】
■車両本体価格（税込）＝¥6,871,000
■全長／全幅／全高＝4245／1825／1570mm
■ホイールベース＝2590mm
■トレッド（前/後）＝1550／1560mm
■車両重量＝1540kg
■エンジン形式／種類＝DNF／直4SOHC8V＋ターボ
■内径／行径＝82.5／92.8mm
■総排気量＝1984cc
■最高出力＝300ps（221kW）/5300-6500rpm
■最大トルク＝400Nm（40.8kg-m）/2000-5200rpm
■燃料タンク容量＝55L（プレミアム）
■トランスミッション形式＝7速DCT
■サスペンション形式＝前：ストラット／コイル 後：4リンク／コイル
■ブレーキ 前／後＝Vディスク／Vディスク
■タイヤ（ホイール） 前／後＝235/40R19／235/40R19
さらに詳しいTロックの情報はコチラ
【問い合わせ】フォルクスワーゲン・グループ・ジャパン 0120-993-199
フォト＝岡村昌宏
この記事を書いた人
1973年生まれ、自動車専門誌＆自動車情報Webサイトの制作を経て、2010年に渡独。フランクフルトをベースに在独モータージャーナリストとして活動し、ドイツ車を中心に、ヨーロッパの自動車産業や交通社会、先進技術、モータースポーツなどを取材し、日本やドイツ語圏、中国などのメディアに寄稿する。2018年の帰国後は、ドイツでの経験に基づいたプロダクト評価のほか、ドイツの自動車メーカーの最新動向や、交通政策、道路環境、運転マナー、自動車文化などについて、雑誌やWEB媒体で発信している。
