
国内ミニバン市場で高い人気を誇る日産セレナに、「e-4ORCE」を搭載したグレードがついに登場。さっそく路面状況がシビアな冬の北海道で、その性能のほどを確かめた!
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緻密なモーター制御で全域で気持ちのいい4WDに
2024年にはミニバンナンバーワンの販売台数を獲得した絶好調のセレナだが、ハイブリッドのe-POWERに新たにe-4ORCE搭載車が追加された。e-POWERの4WDも前後モーターを搭載しているが、e-4ORCEは発展型で前後モーターだけではなく、左右のブレーキも統合制御して各輪の駆動力を最適化するのが特徴だ。
今回は北海道の雪の林道で試乗したのだが、印象的だったのは滑りやすい路面のコーナーでもアクセルを踏み込むことで曲げていけることだった。一般的なFFや4WDではアンダーステアになってしまうような場面でも4輪が緻密に制御されるので、ステアリングとアクセルの操作に忠実にクルマが応えてくれる。また、アクセルオフで減速しながら入っていく下りのコーナーなどでも曲がりやすくて心強い。回生ブレーキもグリップに合わせて緻密にコントロールされるので、タイヤの止める力と曲げる力を適切に引き出してくれる。回生が強いe-Pedalも滑りやすい路面で、よりありがたみが感じられた。
またe-POWERはモーターのトルク制御によって前後のピッチングを抑えることを以前からやっているが、e-4ORCEではそれも高度化される。減速時の乗員頭部の前後の動き、カーブでの乗員頭部の左右の動きともに、e-POWERのFFに比べて10%向上したという。今回は除雪された舗装路も走ったが、減速時にはリアモーターが減速度を生むことによってノーズダイブが少なく感じられ、安定感も高く、コーナリングもスムーズで気持ちいい。
- 走行モードにも今回「SNOW」が新たに追加され、悪路走破性をアピール。
- e-4ORCE化に伴う車内空間への影響はほどんど見られないが、高出力リアモーターを組み込む関係で3列目シートのヒップポイントが2WDモデルより少し高くなっている。
- e-4ORCEの4輪制御によってオンロードの走行中でもピッチやロールが抑えられ、後部座席の上院も酔いにくくなっている。
非降雪地帯のミニバンユーザーの多くはFFで十分と思っていることだろうが、乗り心地が良くなり、ハンドリングも気持ち良いe-4ORCEには大きな価値がある。FFとの価格差は約35万円だが、十分な満足感があるはずだ。
【Specification】日産セレナe-4ORCE XV
■車両本体価格(税込)=3,958,000円
■全長×全幅×全高=4690×1695×1885mm
■ホイールベース=2870mm
■トレッド=前:1475mm、後:1475mm
■車両重量=1920kg
■エンジン型式/種類=HR14DDe/直列3気筒DOHC12V
■内径×行程=78.0×100.0mm
■総排気量=1433cc
■最高出力=98ps(72kW)/5600rpm
■最大トルク=123Nm(12.5kg-m)/5600rpm
■モーター形式/種類=前:EM57、後:MM48/交流同期電動機
■モーター最高出力=前:163ps(120kW)、後:82ps(60kW)
■モーター最大トルク=前:315Nm(32.1kg-m)、後:195Nm(19.9kg-m)
■燃料タンク容量=52L(レギュラー)
■燃費(WLTC)=16.2km/L
■サスペンション形式=前:ストラット/コイル、後:トーションビーム/コイル
■ブレーキ=前後:Vディスク
■タイヤ(ホイール)=前後:205/65R16