国内試乗

ツインモーターのBEVが名称を変更! ドライブフィールもさらに磨きがかけられた「ボルボEX40」

ボルボのコンパクトSUV として様々なパワートレインを搭載しつつ、高い人気を誇ってきたXC40。このほどBEV の名称がEX40に変更された。ツインモーターを搭載するシリーズ最上級モデルを試してみた。

変更されたのはネーミングだけに非ず

EX40と聞くと目新しい感じがするが、それはBEVのみ名称が変更されたからであり、基本的なスタイリングはXC40リチャージと同じと考えていい。驚くべきはこの2017年に発表されたXC40が、ほぼ同じ意匠のまま、今日まで新鮮さを失っていない点だろう。グリル部分をツルッとしたパネルで塞ぐことでBEVであることを上手に主張しているのである。

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エクステリアのデザインについての変更はないが、いまだに新鮮な印象を受けるのもEX40の特徴といえる部分であろう。

ネーミング手法に関してはちょっとした紆余曲折が感じられるが、デザインの先見性は「さすがボルボ」という感じだ。 ひと筋縄ではいかない昨今の電動化移行期にあって、ボルボ初のコンパクトSUV、XC40シリーズは着実な進化を遂げてきた。ガソリンとディーゼルのICEにはじまり、そこにFF、48VのMHEVモデルが加わったり、ツインエンジンと呼ばれるPHEVのAWDがあったりしつつ、2022年にはついにBEV版が追加。それも最初はリアシングルモーターだったものが、2モーターのAWDになり、そして昨年11月、BEVモデルだけがEX40と改名され今に至っている。

ミッドナイトジンクというシートカラーとチャコールのインテリアがボルボらしい都会的ですっきりとした室内空間を演出。回生制御の切り替えがセンターディスプレイの少し深い階層にある点には慣れが必要と感じる部分だ。

時代に即した細かな作り分けは、売り手の側にとってはかなり大変だと思われるが、顧客に対してその都度最適なモデルを提案するというメーカーのスタンスはよく表れていると思う。
今回試乗できたのはEX40ウルトラ・ツインモーターというAWDモデル。XC40リチャージとはモーターが異なっており、以前は前後とも同出力(204㎰)を搭載していたが、今回はフロントに最高出力150㎰の誘導式モーター、リアに258㎰の永久磁石同期式モーターが搭載されている。そのココロは? リアモーターがプライマリーで、非同期式とも呼ばれる誘導式モーターのフロントがセカンダリーという棲み分けをしたのだろう。

充電口はボディの左側の前後に備わっており、急速充電はフロント、普通充電はリア側となる。一充電の航続距離は5 560km㎞ で、リアにはEX40のエンブレムが新たに装着されている。

そんなモーターの違いはさておき、走りはじめてみるとこれが実にいい。というかそこが我々泣かせなのだが「ココがハッキリと変わっています!」というポイントを容易には見つけられない。それでもドライブしてみれば、おおよそ弱点の見当たらない、そして古さを感じさせないモデルであることがよくわかるのだ。
以前ドライブしたXC40リチャージと比べると、ボディ前後の重ったるい感じが払拭され、ピッチングのような動きも減っている。普通ならそれはシャシーの熟成によって成立しそうなものだが、前後モーターの協調制御のなせる業なのかもしれない。……というあたりも我々泣かせだが、いずれかのXC40オーナーがステアリングを握れば、すぐに看破できるくらい走りの質感が高められている。例えばこれでXC40のMHEVあたりに乗っているオーナーが「2回車検も通したことだし、そろそろ最新のBEVに乗り換えてみるか」となったら、ボルボが描いた電動化に向けたシナリオ通りなのだろう。

ラゲッジスペースはボディの前後に完備している。リアのラゲッジスペースの下にも小物を入れておけるスペースがあり、荷室をすっきりと保つことができそうだ。

BEVで気になる航続距離についてだが、EX40はバッテリー容量こそ73kWhと変わっていないものの、一充電走行距離はXC40リチャージの484kmに対し560km(シングルモーター、RWDモデルは590km)に伸びている。今回車両に乗り込んだ際のバッテリー容量は94%で、走行可能な距離は350kmと表示されていた。実際に使用した場合のBEVの走行距離がざっくりと2割減程度であることを考えれば若干少なめの数値。とはいえこれは直前の使用状況が大きく関係することは確かだが。
自宅や近所に充電環境が整っており、質の高いクルマに長く乗りたいという人にとって、EX40は最適な1台ではないだろうか。

【SPECIFICATION】ボルボEX40ウルトラ・ツインモーター
■車両本体価格(税込)=7,890,000円
■全長×全幅×全高=4440×1875×1650mm
■ホイールベース=2650mm
■トレッド=前:1590、後:1595mm
■車両重量=2180kg
■フロントモーター形式/種類=DAEAC-CCEDF/交流同期電動機
■リアモーター形式/種類=DAEAC-CCEDF/交流同期電動機
■フロントモーター最高出力=150ps(110kW)/4200-8000rpm
■リアモーター最高出力=258ps(190kW)/4400-8000rpm
■フロントモーター最大トルク=252Nm(25.7kg-m)/1000rpm
■リアモーター最大トルク=420Nm(42.8kg-m)/1000rpm
■バッテリー種類=リチウムイオン電池
■バッテリー容量=78kWh
■一充電航続可能距離(WLTC)=580km
■サスペンション形式=前:ストラット/コイル、後:マルチリンク/コイル
■ブレーキ=前後:Vディスク
■タイヤ=前:235/45R20(8.0J)、後:255/45R19

フォト=郡 大二郎/相澤隆之(本誌)photo:D.Kori/T.aizawa ル・ボラン2025年4月号より転載

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