国内試乗

VW「T-Roc」で燃費リッター21.7キロを記録! ディーゼル×4WDの「TDI 4MOTION」をロングランで試乗

これがT-Rocのマストバイグレードか⁉

フォルクスワーゲンのCセグメントSUVである「T-Roc」、そのディーゼルエンジン搭載車に4WDモデルである「4MOTION」が追加された。ユーザー待望のグレードを東京~新潟間のロングランでさっそく試した。

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待望のディーゼル+4WDの組み合わせ

“ゴルフクラス”のSUVとして、日本でも高い人気を誇るT-Roc。2022年7月にマイナーチェンジ版が発売された当時は、1.5L直列4気筒ガソリンターボを積むFF仕様の「T-Roc TSI」と、同じFFで2L直列4気筒ディーゼルターボの「T-Roc TDI」、パワフルな2Lガソリンターボと4WDの4MOTIONを組み合わせた「T-Roc R」というグレード構成だった。

その後、2024年にFFのT-Roc TDIがラインアップから消えていたが、2025年1月、最新のTDIエンジンと4WDを搭載する「T-Roc TDI 4MOTION」が新登場し、今回、ロングドライブでその実力を試すことができた。

搭載される2.0 TDIエンジンは、最高出力こそ150psと、以前のFF仕様に搭載されていたものと同じ数字だが、最大トルクは20Nm増の360Nm。さらに、排ガス中のNOx(窒素酸化物)を低減するSCR触媒コンバーターを2個直列に配置した“ツインドージング”システムを採用するなどして、NOxの排出量を大幅に減らしているのは見逃せない。

試乗したのはスポーティなデザインが自慢のRラインに、ブラックで仕立てた内外装を組み合わせた「T-Roc TDI 4MOTION Rライン ブラックスタイル」。試乗車には、このグレードにオプション設定される可変ダンピングシステムの「DCC」が追加されており、これにともない足元には通常より1インチ大きい225/40R19サイズのタイヤが装着される。

さっそく運転席に座ると、ステッチが施されたソフト素材に覆われたダッシュボードやドアトリムが、コックピットを上質に彩っている。中央のタッチパネルは、最新のゴルフなどに比べ小さいが、エアコンの操作パネルが独立していたり、走行モードを切り替える大きなスイッチがあったりと、見た目も使いやすさもゴルフより好ましいと思えるほどだ。

オンロードモードのノーマルを選んで走り出すと、1600rpmから最大トルクを発揮するという2.0 TDIは低回転から力強さを見せ、ふだんの運転では軽くアクセルペダルを踏むだけで十分な加速が得られるし、アクセルペダルの動きにも素早く反応するため、実に扱いやすい。一方、アクセルペダルを深く踏み込めば、4000rpmを超えたあたりまで力強い加速が続き、急加速が必要な場面でも頼りになる実力だ。加速時のエンジン音は、同じ世代のTDIを搭載するゴルフに比べるとやや大きめだが、ある程度速度が上がれば、さほど気にならなくなる。

燃費については、都内から首都高、外環道、関越道を乗り継ぎ、約160kmを走行するルートで、赤城高原サービスエリアまで走行したときが23.1km/Lと、WLTCモード燃費の17.0km/Lを大きく上回った。その際、関越自動車道ではACCを80km/h前後に設定して走行している。さらに、一般道を含む新潟・長岡までの 約300km走行時の総平均燃費も21.7km/Lと優秀であった。

SUVとしては全高が低いT-Rocは、標準的なモデルでも走行時のロールやピッチングは抑えられていて、高速走行時のフラットさもまずまず。19インチタイヤを履く試乗車では乗り心地が悪化するのではないかと心配したが、むしろその反対。FF仕様がトーションビームリアサスペンションを搭載するに対して、このT-Roc TDI 4MOTION Rライン ブラックスタイルは、4リンクリアサスペンションを採用するうえに、オプションのDCCが追加されているおかげで、FF仕様よりも格段に乗り心地が快適で、目地段差を超えたときでも巧みにショックを受け流してくれるのがいい。

力強い加速と低燃費、そして、バランスの良い走りを実現するT-Roc TDI 4MOTIONは、T-Rocシリーズのなかで一番のお勧めグレードといえるだろう。

【コラム】復路では最新のティグアンTDIを試乗

ロングドライブ帰路には「ティグアンTDI 4MOTION Rライン」を選んだ。最高出力193ps、最大トルク400Nmと、T-Roc TDI 4MOTIONよりパワフルな2.0 TDIは、最新のプラットフォームを採用するティグアンとの組み合わせで、加速時のエンジン音がよく抑えられ、吹け上がりもよりスムーズ。そのうえ、高い静粛性、ワンランク上の快適な乗り心地など、T-Rocの上級モデルにふさわしい仕上がりを見せる。一般道と高速を含む平均燃費は17.7km/L。

【Specification】フォルクスワーゲンT-Roc TDI 4MOTION R-Line Black Style
■車両本体価格=\5,645,000
■全長/全幅/全高=4245/1825/1590mm
■ホイールベース=2590mm
■トレッド(前/後)=1540/1535mm
■車両重量=1530kg
■エンジン型式/種類=DXR/直列4気筒DOHCターボ
■内径/行径=81.0/95.5mm
■総排気量=1968cc
■最高出力=150ps(110kW)/3000-4200rpm
■最大トルク=360Nm(36.7kg-m)/1600-2750rpm
■燃料タンク容量=55L
■燃費(WLTC)=17.0km/L
■トランスミッション形式=7速AT
■サスペンション形式=前:ストラット/コイル、後:4リンク/コイル
■ブレーキ=(前/後):Vディスク/ディスク
■タイヤ(ホイール)=前225/40R19、後:225/40R19

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フォト=郡 大二郎/D.Kori

AUTHOR

1964年生まれ。自動車専門誌記者を経験したあと、フリーランスのエディター/ライターに。現在は自動車専門メディアに試乗記などを寄稿しながら、フォルクスワーゲンのファンサイト「8speed.net」の編集長を務める。愛車はID.4 ProとゴルフGTI。

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