













ラリーの魂を宿す280馬力の電動ホットハッチ
オペルは2025年7月23日、ブランド史上最速となるバッテリーEV(BEV)新型「モッカ GSE」を欧州で発表し、その詳細を明らかにした。かつてオペルの高性能モデルの象徴であった「GSE」の名を現代に復活させ、電動化時代における新たなドライビングの興奮を提案するモデルである。プロトタイプとして先行公開されていた「モッカGSEラリー」からデザインと技術のインスピレーションを色濃く受け継いでおり、モータースポーツで培われた情熱とパフォーマンスを量産モデルへと昇華させた1台だ。
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オペルのEVにおいて最速のモデル
オペルおよびボクスホールのマーケティング担当副社長、レベッカ・ライナーマン氏は、「新型モッカGSEはモータースポーツのエネルギーを公道にもたらすモデルだ」と語る。オペルは5年間にわたり「ADACオペルeラリーカップ」を通じて電動モータースポーツのパイオニアとして活動してきた。その経験から得られた最高のエンジニアリング、パワー、そしてハンドリング性能を、日常のスリルを求めるドライバーのためにこの1台に凝縮したのである。
この新型モッカGSEのパワートレインは同社のラリーカーと同等のスペックを有し、最高出力は207kW(280ps)、最大トルク345Nmを誇る。その結果0-100km/h加速は5.9秒、最高速度は200km/hに設定されており、オペルの電動モデルラインナップにおいて最速の称号を手にすることになる。
ドライバーは走行状況や好みに応じて3つのドライブモードを選択可能だ。「スポーツ」モードでは車両の全性能が解放され、そのポテンシャルを最大限に引き出すことができる。「ノーマル」モードは日常的な走行に適した設定で、最高速度は180km/hに制限される。そして「エコ」モードでは、航続距離を最大化するために全てのシステムが効率優先で制御される。エネルギーは54kWhのリチウムイオンバッテリーに蓄えられ、パフォーマンスと実用性の両立を図っている。
この並外れたパフォーマンスは、パワーユニットだけでなく、徹底的に磨き上げられたシャシー技術によって支えられている。まず特筆すべきは1.6トン未満に抑えられた車両重量だ。この軽さが俊敏なハンドリングの基礎となっている。
駆動方式はFFで、コーナリング時に強力なトラクションと安定性を確保するため「トルセン多板式リミテッドスリップデフ」が搭載された。さらに専用設計されたアクスルや新しいダブル油圧ショックアブソーバーを備えたサスペンションが、路面に吸い付くような走りを提供する。
モーター、インバーター、バッテリー、ワイヤーハーネスといった高電圧コンポーネントは、すべてラリーカーである「モッカGSEラリー」から流用されており、その素性の確かさを物語っている。ステアリングシステムやブレーキも、オペルが電動ラリーで得た豊富な知見に基づき、極めてスポーティな設定に最適化されている。
GSE専用のデザインがスポーティな雰囲気を纏う
その内に秘めたる高性能は、エクステリアデザインにも自信をもって表現されている。ベースモデルのオペル・モッカが持つ個性的で成功を収めたデザインを踏襲しつつ、モッカGSEは一目でそれとわかる、「より速く、よりエモーショナル」な雰囲気をまとっている。
フロントエプロンやリアには、ラリープロトタイプにインスパイアされたGSE専用のインサートが追加され、アグレッシブな表情を強調する。足元には、空力性能を最適化した専用デザインの20インチアロイホイールが装着され、これに組み合わせられるミシュラン製「パイロットスポーツEV(225/40R20)」タイヤは、モッカGSEのためだけに用意された特別な装備である。印象的なデザインのホイールの奥からは、鮮やかなイエローに塗装されたGSEブレーキキャリパーが覗き、そのパフォーマンスを視覚的にアピールする。フロントとサイドにあしらわれたイエローとブラックのGSEロゴも、このモデルが特別な存在であることを明確に主張している。
インテリアもまた、ドライバーの高揚感を最大限に引き出す空間に仕立て上げられた。グレー、ブラック、ホワイト、そしてイエローを基調としたカラーリングが採用され、スポーティかつ洗練された雰囲気を醸し出す。ドライバーとパッセンジャーを迎えるのは、ヘッドレスト一体型のアルカンターラ製GSEスポーツシートだ。このシートは体を確実にホールドし、ドライバーと車両との一体感を高める。
シート中央を貫く白いラインと、随所に施された黄色いステッチが特徴的なアクセントとなっている。ドアインサートにもアルカンターラが用いられるなど、細部に至るまで質感が追求された。ステアリングホイールは、ダイレクトなフィードバックを約束する新開発のもので、グリップしやすい上下フラットな形状を採用。足元にはアルミ製スポーツペダルが奢られている。
運転に必要な情報は、カスタマイズ可能な10インチのデジタルドライバーインフォメーションディスプレイと、センターのカラータッチスクリーンに集約される。ここには、GSE専用のパフォーマンスデータ、Gフォースメーター、加速度、バッテリー管理情報などが表示可能で、ディスプレイのデザイン自体もGSEのスタイルに合わせて統一されている。
このように、新型オペル モッカGSEは、内外装の細部に至るまで、技術的に高品質かつ極めてダイナミックなデザインで貫かれている。オペルが「OMG! GSE」という言葉で表現する驚きと興奮を、日常のドライビングシーンで誰もが体験できる一台となるだろう。ワールドプレミアや市場導入に関するさらなる詳細については、近日中に発表される予定であり、続報が待たれる。
※記事中の全てのデータは暫定値であり、車両はまだホモロゲーション(型式認証)を取得しておらず、市販されていない。
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