ニュース&トピックス

【世界初公開】“TTの魂”と新哲学。アウディ「コンセプトC」が示す、電動スポーツカーの未来像

アウディ・コンセプトC
アウディ・コンセプトC
アウディ・コンセプトC
アウディ・コンセプトC
アウディ・コンセプトC
アウディ・コンセプトC
アウディ・コンセプトC
アウディ・コンセプトC
アウディ・コンセプトC
アウディ・コンセプトC
アウディ・コンセプトC
アウディ・コンセプトCとゲルノート・デルナーCEO
アウディ・コンセプトCとチーフ・クリエイティブ・オフィサー(CCO)のマッシモ・フラセラ氏
アウディ・コンセプトC
アウディ・コンセプトC
アウディ・コンセプトC
アウディ・コンセプトC
アウディ・コンセプトC
アウディ・コンセプトC
アウディ・コンセプトCとゲルノート・デルナーCEO
アウディ・コンセプトC

簡潔さこそ、次なる革新。未来のスポーツカーは、多くを語らない

アウディは2025年9月2日、デザインとテクノロジーの都ミラノで、ブランドの未来を指し示す新たなデザインフィロソフィーと、それを具現化したコンセプトカー「アウディ・コンセプトC」を発表した。この完全電動の2シータースポーツカーは、かつて世界中のファンを魅了したスポーツカー「アウディTT」の再来を予感させるとともに、アウディがこれから進むべき道を明確に示す、まさに新時代の幕開けを告げる一台だと言える。

【画像20枚】新フェイス「バーティカルフレーム」の存在感。触感にまでこだわった「コンセプトC」の内外装をチェック

新デザインフィロソフィーの核心「ラディカル・シンプリシティ」

コンセプトCは、アウディが掲げる新たなデザインフィロソフィーの最初の表明であり、今後の市販モデルのデザインをプレビューする重要な存在と位置付けられている。その哲学の核心にあるのが「ラディカル・シンプリシティ(根源的なシンプルさ)」という考え方だ。

チーフ・クリエイティブ・オフィサー(CCO)のマッシモ・フラセラ氏が主導するこの新哲学は、複雑化する現代社会において、すべてを本質的なものにまで削ぎ落とすことで「明確さ」を追求するアプローチだという。過剰な装飾を排し、純粋なフォルムと技術的な精度によって、一目でアウディとわかる、時代を超越した美学を創造することを目指している。この哲学は「クリア、テクニカル、インテリジェント、エモーショナル」という4つの原則に基づき、デザインだけでなく、アウディという企業全体の羅針盤となる。

フラセラ氏は、自身が1998年に初代アウディTTと出会った時の衝撃を語っている。彼はTTから「叫ばなくても声は届く。主張するのに過剰さは必要ない。必要なのは明快さと、それを貫く勇気だ」というメッセージを受け取ったという。コンセプトCに込められた思想は、まさにこの初代TTが持っていた革新性と純粋性を、電動化時代のスポーツカーとして再解釈したものだ。

未来と伝統の融合:コンセプトCのエクステリア

コンセプトCのエクステリアデザインは、「ラディカル・シンプリシティ」の思想を見事に体現している。最も特徴的なのは、新たなアウディの顔となる「バーティカルフレーム」だ。これは、伝説的なレーシングカー「アウトウニオン・タイプC」(1936年)や、デザインに定評のあった第3世代「アウディA6」(2004年)からインスピレーションを得たもので、垂直にすっきりと立ち上がった形状が、強い存在感とアイデンティティを放っている。これは単なる懐古趣味ではなく、アウディの伝統を先進的に解釈し、未来のテクノロジーを統合する象徴的なエレメントとなっている。

ボディ全体は、張りのある面と抑制された面が、一本のシャープなラインによって交差することで生まれる緊張感によって定義される。不要な線や要素を一切排除し、彫刻のような純粋なフォルムとソリッド感を際立たせている 。また、アウディのロードスターとしては初めて採用された電動格納式ハードトップは、2つのルーフエレメントで構成され、クーペのような流麗な一体感を保ちながら、開放的なオープンエアドライブを可能にしている。

ヘッドライトとテールランプには、それぞれ4つの水平エレメントからなる新しいライトシグネチャーが採用された。これにより、昼夜を問わず、一目でアウディとわかる視覚的アイデンティティを確立している。ボディカラーの「チタン」は、その名の通り、金属チタンが持つ精密さ、軽さ、そして強さを想起させ、温かみのあるテクニカルなエレガンスを表現している。

五感に訴えるミニマリズム:インテリアとユーザー体験

コンセプトCのインテリアもまた、エクステリアと共通の哲学で貫かれている。力強い建築的なサーフェスと明確な幾何学的フォルムで構成された空間は、ドライバーを“さりげなく”中心に据えつつ、乗員にゆとりを提供する。アルマイトから削り出された物理的な操作スイッチ類は、その見た目や触感、そして「アウディクリック」として知られる確かな操作感を通じて、機械的な品質の高さを五感に訴えかける。

ステアリングホイールは、この触覚体験の中核をなす存在だ。その完璧な円形、洗練された触感のディテール、そして中央に配された本物の金属製アウディリングは、最高の技術的精度をもって作られている。カラーパレットはエクステリア同様にチタンから着想を得ており、自然素材を多用することで、洗練された温かみのある空間を演出している。

テクノロジーのあり方も新しい。コンセプトCでは「シャイテック」というソリューションが採用されている。これは、テクノロジーをひけらかすのではなく、常に身近にありながら決してユーザーの体験を支配しない、という考え方だ。その象徴が、10.4インチの折りたたみ式センターディスプレイである。このインテリジェントなディスプレイは、ユーザーに必要な情報を状況に応じて直感的に提供し、注意散漫になることを防ぐ。これにより、ユーザーは運転に集中し、純粋なドライビング体験に没入することができる。

企業変革の象徴として

アウディのゲルノート・デルナーCEOは、「我々が車両をデザインする方法は、我々が会社を形作る方法そのものである」と述べ、この新しいデザインフィロソフィーが、製品ポートフォリオから組織構造に至るまで、会社全体の企業理念となることを強調している。

アウディは2023年から「アウディ・アジェンダ」と呼ばれる変革を推進しており、24ヶ月で20以上の新型モデルを市場に投入するという大規模なモデル攻勢の最中にある。この攻勢は、完全電動モデルからプラグインハイブリッド、新世代のエンジン車までを網羅し、電動化への移行期において柔軟なポジションを確保する戦略だ。さらに、2026年からはF1に参戦し、世界で最も過酷な技術の実験室で新たな技術や素材、プロセスを試すことになる。

この壮大な企業変革のまさに先駆けとなるのが、アウディ・コンセプトCなのである。それはアウディが自らのルーツに立ち返り、本質を見極め、未来に向けて再び加速するための決意表明だ。このコンセプトカーが示す「ラディカル・シンプリシティ」と「明確さ」という価値観は、これからのアウディの全ての製品、そして企業活動の根幹をなしていくことになるだろう。アウディが放つ、明快で力強いメッセージ。その第一章が、このコンセプトCから始まったのである。

【画像20枚】新フェイス「バーティカルフレーム」の存在感。触感にまでこだわった「コンセプトC」の内外装をチェック

※この記事は、一部でAI(人工知能)を資料の翻訳・整理、および作文の補助として活用し、当編集部が独自の視点と経験に基づき加筆・修正したものです。最終的な編集責任は当編集部にあります。
LE VOLANT web編集部

AUTHOR

注目の記事
注目の記事

RANKING