
最高速度325km/hのセーフティカー
アストン・マーティンは2025年8月29日、新型モデル「Vantage S(ヴァンテージS)」がフォーミュラ1(F1)の公式FIAセーフティカーに採用されたことを発表。このセーフティカーは、8月29~31日にザントフォールトで開催されたオランダGPでデビューを飾った。
専用のモディファイも随所に
ヴァンテージSは、アストン・マーティンの「S」モデルの系譜に連なる1台であり、パフォーマンスに最大の焦点を当てて開発されたヴァンテージだ。手作業で組み立てられた4.0LツインターボV8エンジンは最高出力680ps、最大トルク800Nmを発生、0-62mph(約100km/h)加速は3.4秒、最高速度は202mph(約325km/h)に達する。
言うまでもなく、セーフティカーとしての役割を遂行するため車両には特別な装備が施されているが、FIA規定のライトバーといった標準的な装備に加え、空力性能向上のためのアップグレードも行われた。リアのダウンフォースを増加させる全幅のデッキリッドスポイラーや、エンジンからの熱気を効率的に排出するためのセンターマウント式ボンネットブレードが追加されているのである。これらの装備の目的は無論、走行中の安定性と視認性の向上である。
アストン・マーティンのグローバルマーケティング・ディレクター、アレックス・ロング氏は次のようにコメント。
「ヴァンテージSは、ブランドの鼓動であるモデルのパフォーマンスの頂点を表しています。パワーが増し、さらにダイナミックな性能を備えたこの車は、F1セーフティカーという名誉ある役割を担う運命にありました。要請があるたびに、この車が先頭を走る姿を見ることは、私たちの同僚やお客様にとって大きな誇りの源となるでしょう。
ブランド認知度という点では、フォーミュラ1に匹敵するものはありません。私たちは、地球上で最高のショーと信じているこの舞台で、自分たちの役割を果たせることを誇りに思います」
公式セーフティカーのドライバーを務めるベルント・マイレンダー氏は、ヴァンテージSセーフティカーのデビューを前にして以下のように述べていた。
「ヴァンテージSがフォーミュラ1の公式FIAセーフティカーとして導入されたことは、ヴァンテージのパフォーマンス能力における明らかな前進を示すものであり、コース上での出動要請を受けた際に、私が効果的に、迅速かつ安全に対応できる能力をさらに高めてくれるものです。
ヴァンテージSを最初に運転する一人になれたことを嬉しく思いますし、これまでで最もパフォーマンスに焦点を当てたヴァンテージで、世界最高のサーキットを体験することを楽しみにしています」
車両の塗装は、アストン・マーティン・アラムコ・フォーミュラワン・チームのF1マシンと同じ「ポディウムグリーン」が採用されている。また、公式FIAメディカルカーは、引き続きアストン・マーティン DBX707が務める。