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伝説は不滅。ル・マンを制したポルシェ「911 2.5 S/T」の魂、現代の新型「911 S/T」へ

1972年のル・マン覇者、その新版が「ゾンダーヴンシュ」から登場

ポルシェは2025年9月18日、その輝かしい歴史における伝説的なレーシングカーの現代的解釈となる、特別なモデルを発表した。ポルシェのパーソナライゼーションプログラム「Sonderwunsch(ゾンダーヴンシュ)」によって製作されたこの一台は、1972年のル・マン24時間レースでクラス優勝を飾った「911 2.5 S/T」の完璧な新版として、その姿を現代に現したのである。

【画像12枚】鮮やかなライトイエローが映える。新旧「ポルシェ 911 S/T」の美しいディテールを見る

徹底した軽量化と純粋なドライビングプレジャーの追求

この新たに生み出された「911 S/T」は、歴史的なオリジナルモデルと同じ、コード117の鮮やかなライトイエローの塗装をまとっている。心臓部には、最高回転数9,000rpmを誇る自然吸気の4L水平対向6気筒エンジンを搭載し、その最高出力は386kW(525ps)に達する。この強力なパワーユニットは6速MTと組み合わされ、純粋なドライビングプレジャーを追求している。

徹底した軽量化により、車両重量はわずか1,380kgに抑えられた。ダークシルバーの軽量鍛造マグネシウムホイール、ブラックで塗装されたブレーキキャリパー、そしてブラックで統一されたインテリアが、そのスポーティな性格をさらに強調している。

栄光、消失、そして奇跡の発見―オリジナル「911 2.5 S/T」の物語

この特別なモデルのインスピレーションの源泉となったのは、半世紀以上前にサーキットを駆け抜けた一台のレーシングカーである。1972年製の「ポルシェ 911 2.5 S/T」は、同年のル・マン24時間レースでGTクラスの頂点に立った輝かしい経歴を持つ。しかし、その栄光の後、この車両は歴史の陰に姿を消し、追跡可能な最後のレース出場は1975年5月のリバーデールであった。その後、長らく行方不明となっていたが、2013年、サンフランシスコ近郊の納屋で、ほとんど廃墟同然の状態でスイスのコレクターによって発見されるという劇的な再会を果たした。

発見された車両は、シュトゥットガルトにあるポルシェ・クラシックのエキスパートたちの手に委ねられ、元の輝きを取り戻すための大規模な修復作業が開始された。修復は車両を完全に分解し、塗装を剥がすところから始まった。ボディワークだけで1,000時間以上もの手作業が費やされ、失われた部品はオリジナルの板金ゲージと技術図面を基に、一から忠実に製作された。腐食を防ぐためにカソード浸漬塗装という現代的な技術も用いられ、2年半という歳月をかけて、2016年にようやくオーナーのもとへと帰還した。そのボディは、オリジナルのライトイエローで再び塗装され、ル・マンでクラス優勝を飾った当時と同じゼッケン番号「41」とスポンサーデカールが施されている。

歴史的傑作の復活と現代的再解釈という哲学

今回の新旧「911 S/T」のプロジェクトは、ポルシェのゾンダーヴンシュ・プログラムの能力を示す象徴的な事例だ。このプログラムは、クラシックカーの忠実な修復から、現代の量産モデルをベースにした世界に一台だけのユニークな車両の製作までを手掛けている。製作される全ての車両は、量産モデルと全く同じ厳しい品質基準を満たし、工場保証が付与される。歴史的傑作の復活と現代的再解釈。二つの世代の「911 S/T」は、ポルシェの伝統と革新が融合した見事な作品だと言えるだろう。

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※この記事は、一部でAI(人工知能)を資料の翻訳・整理、および作文の補助として活用し、当編集部が独自の視点と経験に基づき加筆・修正したものです。最終的な編集責任は当編集部にあります。

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