新型車の生産対応で工場を大規模近代化
メルセデス・ベンツは2025年9月24日、スペインのビトリア工場で、新型の完全電動バン「VLE」の試作生産を順調に開始したと発表した。VLEは2026年の量産開始を予定しており、ワールドプレミアは2026年前半に計画されている。
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最短時間で生産準備を完了
VLEは、同社が新しく開発した、モジュール式で拡張性のあるバン専用電動アーキテクチャー「VAN.EA」をベースとする最初のEV車両となる。この新型車の生産に対応するため、ビトリア工場では大規模な近代化が進められており、建設作業の90%以上がすでに完了したとのこと。工場には近代的なボディショップと柔軟性の高い塗装工場が新設され、組立ホールも操業を続けながら改修された。
2026年からは、VLEのほか、Vクラス、ヴィトー、eヴィトーといったモデルを、顧客の需要に応じて同じ組立ラインで柔軟に生産する計画でもあるという。VLEは当初、電気自動車として生産されるが、将来的には内燃エンジン搭載モデルも生産される予定だ。
VLEは最大8人乗りで、「セダンのような走行挙動とMPVのような多用途性」を両立させることを目指しており、メルセデスではこれを「空間を再定義する」と表現している。開発段階では、シュツットガルトからローマまでの長距離走行テストや、北極圏での冬季テストなどを実施してきた。

VLEのスタイリングが明らかになるのは2026年だ。
メルセデス・ベンツ・バンズの責任者であるトーマス・クライン氏は次のように述べている。「私たちは記録的な速さで、VLEを初期のコンセプト検討から生産成熟度まで引き上げました。開発プロセス全体を通して、革新的でデジタルな手法を一貫して使用し、大幅な効率化を実現しました。部門や国境を越えたチームの従業員は、この点で基準を打ち立てました。2026年前半にその成果を発表する予定です」
また、ビトリア工場の責任者であるベルント・クロットマイヤー氏は、「工場の建設作業は90%以上がすでに完了し、最初の生産テストが開始されています。チームは来年の始動に向けて非常に意欲的であり、それによって先駆的な仕事をすることになります。ビトリア工場が最短時間で準備を完了できたことを大変誇りに思います。これは工場の高い柔軟性を示しています。私たちはメルセデス・ベンツ・バンズの未来を築く準備ができています」とコメントした。
バスク地方に位置するビトリア工場は、2024年に操業70周年を迎えた自動車生産拠点であり、生産における二酸化炭素排出量を実質ゼロにする「ネットカーボンニュートラル」を掲げている。2013年から購入電力を100%再生可能エネルギーで賄っているほか、太陽光発電や地熱エネルギーも活用している。また、生産準備にはAIやデジタルツインなどの最新技術が導入された。
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※この記事は、一部でAI(人工知能)を資料の翻訳・整理、および作文の補助として活用し、当編集部が独自の視点と経験に基づき加筆・修正したものです。最終的な編集責任は当編集部にあります。