南仏の峠道を思わせる車山高原で、アルピーヌA110の真価を問う
今年の4月、アルピーヌのラインナップが、「A110 R70」「A110GTS」「A110アニバーサリー」の3モデルに刷新された。そして今年、アルピーヌブランドは創立70周年を迎えた。A110 R70は、これを記念して世界で770台限定の、発売以来人気の「R」バージョンの最終モデルとなる。A110GTSは、A110Sの高いスポーツ性と、アルピーヌA110 GTの快適性を併せ持つモデル。アルピーヌA110アニバーサリーは、オリジナルモデルのスピリットを色濃く感じさせる最終モデルだ。
このほど、ようやく広報車が揃ったということで、長野県車山高原を舞台に、それぞれの走りの魅力を堪能する機会を得た。実はこのコース、2018年のヨーロッパで行われた国際試乗会のコースに似ているそうで、アルピーヌ・ジャポンの広報スタッフもぜひこの場所で締めくくりたかったとの、思い入れのある場所だ。爽快なアルプスの背景をバックにした写真や動画とともにお楽しみいただきたい。
【画像26枚】世界限定770台の「R70」から“素”の「アニバーサリー」まで。アルピーヌA110最終章、その全貌を見る
2026年生産終了。最後の純内燃機ミッドシップを手に入れるラストチャンス
アルピーヌのA110が今の姿で復活したのは2017年のこと。それから8年が経過した2025年、翌年6月の生産終了が伝えられた。日本での受注は2026年3月末までだが、日本市場への割り当て台数はそれほど多くはないので、早期終了も十分にあり得るだろう。自動車業界の昨今の事情や都合を鑑みるに、こういうクルマにはひょっとするともう二度とお目にかかれないかもしれない。

こういうクルマとは、電動化されていない純粋なエンジンを搭載し、極めて軽量に作られているミッドシップのコンパクトスポーツカーという意味である。最近のクルマは、たとえエンジンを積んでいたとしてもモーターが組み合わされたハイブリッドが主流となりつつあり、ハイブリッド機構に関わる補機類とモーターを動かすためのバッテリーも必要となるため、車両重量は必然的に重くなる。軽量を謳っているモデルでさえ、1.5トン前後が当たり前のご時世になってしまった。
ところがA110は、徹底した軽量化が図られたR70で1090kg、シリーズ中でもっとも重いGTS(GT RACEアルミホイール装着車)ですら1130kgしかない。エンジンはメガーヌR.S.(ルノースポール)と同型の1.8L直列4気筒+ツインスクロール式ターボチャージャー仕様。組み合わされるトランスミッションは7速DCTで、これらのパワートレインをキャビン後方、リア車軸のほぼ真上に横置きする。