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日産初、PHEVピックアップ「フロンティア・プロ」登場。システム800Nmが放つ“怪力”の全貌

PHEV版はEV走行時の最大航続距離135kmを目指す

日産の中国現地合弁会社である鄭州日産汽車有限公司(以下、鄭州日産)は2025年11月28日、新型ピックアップトラック「Frontier Pro(フロンティア・プロ)」と、そのプラグインハイブリッド搭載版「Frontier Pro PHEV(フロンティア・プロPHEV)」を発表した。

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日産初の電動ピックアップトラック

同モデルは日産として初めて中国で設計・開発・製造されグローバルに輸出されるピックアップトラックとなる。また、フロンティア・プロPHEVは、日産初のプラグインハイブリッドを搭載したピックアップトラックである。価格は、フロンティア・プロは16.99万~19.99万元(約371万~463万円)、フロンティア・プロPHEVは18.99万~24.99万元(約415万~545万円)。その具体的な内容は以下の通りだ。

デザインと車体構造、安全機能

フロンティア・プロのエクステリアは、日産のデザインアイコンであるVモーションフロントグリルを継承し、浮遊感のあるレーザー刻印ロゴとLEDヘッドライトを融合させたデザインを採用。リアはフルワイド3Dテールライトの奥行きのある光で、存在感を演出している。

インテリアは、快適性と安全性、そして上質な体験を兼ね備えた設計を狙いとしており、フロントレザーシートには6層構造で通気性が高いというクッションを採用。使用されているスエード素材は耐摩耗性・耐傷性に優れ、快適な乗車体験を実現するという。

広々としたリアシートは7種類のモードに切り替え可能。また、最大970Lのフルフラットラゲッジスペースを確保し、乗員の快適性と積載性を両立したとのこと。防音・防振素材を採用して静粛性を高めたキャビンには大型パノラマサンルーフと高品質のオーディオを備え、そのドライブを特別な体験へと昇華させるとしている。

ボディとフレームには広範囲にわたって高強度の鋼板が採用され、強固な構造を確保したという。外板には100%両面亜鉛メッキ鋼を採用、アンダーボディには防砂利コーティングを施し、飛び石や破片からの保護が図られている。さらに25種類の運転支援機能を搭載し、事前に事故を防ぐための警告から万が一の事故発生時の乗員保護まで、あらゆる状況で高い安全性を確保したとされる。

2種類のパワートレイン

フロンティア・プロPHEVのパワートレインには、1.5Lターボチャージャー付き4気筒エンジンと、トランスミッションに搭載の高出力電動モーターを組み合わせたプラグインハイブリッドを採用。システム全体で300kW以上の最高出力と最大800Nmのトルクを発揮し、高いパフォーマンスと優れたエネルギー効率を実現したという。中国市場向けでは、EV走行時の最大航続距離135kmの達成を目指す。

また、フロンティア・プロPHEVは6kWの高容量インテリジェント外部給電機能を有し、屋外でのIH料理や照明などのアウトドアユースから、屋外作業の機材の稼働まで、幅広いニーズに対応するとのこと。

一方フロンティア・プロでは、500Nmの力強いトルクを発揮する第3世代 M9TディーゼルエンジンとZF製8速ATの組み合わせとなる。

中国マネジメントコミッティ議長であるスティーブン・マー氏は次のように述べている。
「フロンティア・プロは、中国で生まれ、世界市場を視野に開発されたモデルであり、日産のグローバル戦略における重要なマイルストーンです。来年上半期には輸出を開始し、中国の技術とトレンド創造の楽しさを世界に届けます。今後も日産は鄭州日産の発展を力強く支援し、中国戦略を深化させ、ローカルイノベーションで市場を牽引し、日産の基盤と中国のスピードをもってLCV市場に新たな潮流を築いていきます」

【ル・ボラン編集部より】

「中国開発」という出自に、一抹の寂しさを覚える向きもあろうが、スペックを見ればその先入観は霧散する。システム総合800Nmという怪力は、かつての大排気量V8をも凌駕する数値であり、そこに日産がアリア等で培った緻密な駆動力制御が宿っていれば、その走りは相当に濃密なはずだ。盟友・三菱トライトンが直球のディーゼルで攻める中、PHEVで「給電できる頼れる相棒」という新たな価値を提示した点は興味深い。ピックアップのタフネスと電動化の静粛性が融合した時、LCVの概念はどう再定義されるのか。日本導入への期待を込めて注視したい一台である。

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LE VOLANT web編集部

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