中国市場に向けて放つ、ファミリーセダンのこれからの形
日産の中国合弁会社である東風日産乗用車公司(東風日産)は2025年12月1日、プラグインハイブリッドセダンの新型「N6」を発表した。
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内外ともに美しいデザイン
このモデルは東風日産初のPHEVであり、同社独自の新エネルギー車(NEV)技術アーキテクチャーを採用、1.5Lエンジンと21.1kWhの大容量LFPバッテリーを搭載している。ラインナップは5グレード構成で価格は9.99~12.99万元。以下、その内容についてすこし具体的に述べていこう。
エクステリアは「風迹美学(風の軌跡をイメージしたデザイン哲学)」の理念を採用し、流麗で有機的なラインによって自信と躍動感を表現したというもので、LEDライトと風翼型のヘッドランプ、立体的な造形のテールランプがその姿をより際立たせている。
インテリアは「包み込まれるような温かな空間」がテーマで、広範囲にソフトな素材を配し、触感にこだわり独自開発したシート表皮や、ゼロホルムアルデヒド認証取得の内装素材などを採用。前席には最新EVモデル「N7」同様に、AIにより乗員の体形に合わせてシートを調整する「ゼロプレッシャーシート」を搭載。後席には新開発の「ゼロプレッシャーソファ」が採用されている。
インテリアカラーはアイボリーとブラックの2種類で、ローズゴールドやダークパープルの装飾が細部に高級感を演出する。
経済性を追求した4つの基準と運転支援、安全性、そして品質
N6では新世代のPHEVとして、4つの新たな基準を定義したという。それはすなわち、
①2L台/100kmという低燃費性能
②20kWh(21.1kWh)超のバッテリーによるEV最大航続距離180km
③20分以内で必要分が充電できる急速充電性能
④年間のランニングコストを2,000元以内に抑えること
であった。
これを反映するようにN6は中国一周燃費チャレンジを実施。28日間で30省を横断、総走行距離14,000kmのもと2.9L/100km(34.5km/L)という燃費を達成し、ギネス世界記録を更新している。
室内には2.5Kの15.6インチ大型ディスプレイと最新の「NISSAN OS」が備わる。搭載されるAI音声アシスタント「小尼」(シャオニー)は方言対応やカラオケ機能、ユーザーの声を記憶・再現して読み上げる音声複製機能などを有している。
運転支援機能においては、モメンタ社と共同開発のエンドツーエンド型統合運転支援システムを搭載。高速道路での疲労軽減、通勤などのドライブにおける手間削減、駐車でのストレス軽減を実現するというこの運転支援技術が、ユーザーのドライブを包括的にサポートするという。
安全性の面では、高剛性のボディ構造や、大型サイドカーテンエアバックを含む7種類のエアバッグを装備するとともに、16種類の先進安全機能を搭載し、乗員の安全を守るとしている。さらに、7400項目の試験、5500項目の試作確認、2000以上の品質検査を実施し、徹底した品質管理を行っているとのことだ。
【ル・ボラン編集部より】
「技術の日産」がかつてスカイラインで築いた硬派な走りの系譜とは異なる、大陸的な「もてなし」の流儀がここにある。先に発表されたEV「N7」同様、アリアに通じる「タイムレス」な美学を継承しつつ、中国市場が求めるデジタルと居住性の融合は極めて濃密だ。燃費が34km/L超という驚異的な経済性もさることながら、真価は「ゼロプレッシャー」を謳うその空間の質にこそ宿るだろう。移動するラウンジとしての完成度は、日本のセダン復権へのヒントさえ感じさせる。










