FR&MT採用で「走りの日産」が復活か
日産の象徴でありながら、近年のセダン需要低迷により去就が注目されていた「スカイライン」が、ついに沈黙を破ろうとしている。現行型V37の登場から既に11年が経過し、その存続すら危ぶまれていたが、日産は2027年の発売に向けて着々と準備を進めているようだ。次期型は従来のような「大人の落ち着いたセダン」という殻を破り、GT-Rの直下に位置する攻撃的なパフォーマンスモデルへと生まれ変わる可能性が高い。伝統を継承しつつも劇的な進化を予感させる、次期スカイラインの全貌に迫る。
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ターゲットは若年層、ZとGT-Rの間を埋める存在へ
特筆すべきは、その立ち位置の劇的なシフトである。トヨタ「クラウン」が若返りに成功した事例に追随するように、スカイラインもまた、若年層や愛好家に響くキャラクターへと変貌を遂げるようだ。最新の情報によれば、次期型は日産のラインナップにおいて、純粋なパフォーマンスと日常性を融合させた「日産ZとGT-Rの中間」という独自のポジションを確立すると見られる。さらに驚くべきことに、後輪駆動(FR)を踏襲し、マニュアルトランスミッションの採用まで計画されているという情報もある。これは単なるモデルチェンジではなく、スカイラインが再び「走りの日産」の象徴として返り咲くことを意味していると言えるだろう。
「ハコスカ」の魂を現代に宿すアグレッシブなデザイン
デザインに関しては、日産のグローバルデザインディレクター、アルフォンソ・アルバイサ氏による興味深い証言がある。新型は1960年代後半から1970年代の「ハコスカ」や「ケンメリ」世代のクラシックモデルにインスパイアされつつも、「決してレトロなスタイリングにはならない」と明言されている。
シルエットは伝統的な3ボックスセダンから進化し、ダイナミックで流麗なファストバック、あるいはクーペスタイルを採用するようだ。フロントフェイスには縦ラインを基調とした大型の台形グリルを採用し、アンダーグリルは2分割されたスポーティな意匠となると予想される。一方、ヘッドライトは横長のスリムかつシャープな形状で、ディフューザーまで伸びるLEDがアクセントとなるだろう。タイヤハウスに膨らみを持たせたロー&ワイドな造形によって、そのパフォーマンスを視覚的に主張する構えだ。目指しているのは、アグレッシブでモダンでありながら、かつてのプロポーションを彷彿とさせる「未来の古典」とも呼べるデザインなのかもしれない。
400psオーバーのハイパワーと先進技術の融合
パワートレインも電動化によって劇的な進化を遂げると推測される。主力となると見られるのは、2.0L直列4気筒エンジンにデュアルモーターを組み合わせたハイブリッドシステムだ。その最高出力は440psに達すると予想されている。また、完全なEVバージョンの投入も検討されており、実現すれば450ps以上のスペックが期待できるだろう。こうしたハイパワーを受け止める先進技術として、ハンズオフ走行機能を飛躍的に向上させたプロパイロット3.0の搭載も濃厚だ。インテリアには12.3インチのワイドディスプレイが鎮座し、Googleビルトインによるシームレスなコネクティビティが提供されるなど、現代的な装備も充実する見込みである。
価格は600万円級へ、クロスオーバー復活の噂も
すべてがプレミアム化する次期スカイラインのワールドプレミアは、2027年と予想されている。価格帯も相応の上昇が見込まれ、現在の約544万円からスタートする価格設定は、600万円級へと移行するだろう。また、かつて2016年まで存在した「スカイライン クロスオーバー」の復活も噂されており、ラインナップの拡充も期待されるところだ。日産の歴史そのものであるスカイラインは、消滅の危機を乗り越え、再び世界を魅了するパフォーマンスセダンとして帰ってくるに違いない。
【ル・ボラン編集部より】
「羊の皮を被った狼」の再臨か、あるいは純粋な狼への変貌か。FRとMTの存続という可能性は、多くの愛好家にとっての福音だ。現行400Rが証明したのは、熟成されたセダンにこそ宿る濃密なドライビングプレジャーだった。次期型がZとGT-Rの間を埋めるのであれば、単なる速さだけでなく、多くのスカイラインファンに愛されてきた、しなやかさや雑味のないステアリングフィールがどう継承されるかが焦点となる。単なる懐古趣味ではない、次世代の「GT思想」の提示に期待したい。