































マイクロカーの祭典で見つけた、極上の「メッサーシュミット」
さる2025年12月7日に埼玉県上尾市の大型商業施設、アリオ上尾で開催された「オールジャパンミニカーミーティング2025」。これはタケオカ自動車工芸やミツオカに代表される一人乗り50cc級の原付カーが主役というユニークなイベントだが、国産車のみならずベスパカーやランブレッタなどの外国勢もエントリー。さらに第二次世界大戦終結後間もない欧州で一世を風靡したカビネンローラー(キャビンスクーター)の代表格、メッサーシュミットKR200の一団も会場の一角で注目を集めていた。
【画像32枚】まるで地上の戦闘機。航空機メーカーの血を引くコックピットや、鮮やかなイエローのボディを全方位からチェック
雨風をしのぐ「カビネンローラー」。航空機メーカーが生んだミニマム・トランスポーター
バブルカー、マイクロカーとも呼ばれる、カビネンローラー(キャビンスクーター)。これはその名の通り「キャビン(屋根/室内)を備えたスクーター」を意味し、市民のアシが不足した戦後の窮乏期、とりあえず雨風にさらされず移動できるミニマム・トランスポーターとして敗戦国を中心に生まれた小さなクルマだが、メッサーシュミットやイセッタ一族などの“メジャー級”は今や趣味のヒストリックカーとして世界的にも広く認知されている。

そして今回「オールジャパンミニカーミーティング2025」の会場の一角に、そんなメッサーシュミットの一団を発見。その中には1980年代に日本で作られたレプリカの原付カーや、実車の半分ほどの乗用玩具(?)など、さまざまな“メッサー”が仲良く展示されていたが、こちらでご紹介するのはオリジナルの本物、1959年式のメッサーシュミットKR200である。もちろんメッサーシュミットとは敗戦により飛行機の製造を禁じられたドイツの航空機メーカーの名前であることは、皆さんもよくご存知かと。
360cc軽自動車を経て辿り着いた、ドイツ製マイクロカーとの蜜月
「このメッサーは以前から日本国内にあった個体で、自分の手元にやってきたのは8年前のことです」と教えてくれたのは、奥様と一緒に仲良くイベントに参加していたオーナー、“なみき”さんである。なみきさんはもともと小さなクルマが好きで、このメッサーを入手する前から360cc時代のマツダ・キャロルなどとも長く付き合ってきたそうだ。

それにしてもこちらのメッサー、ずいぶん綺麗ですが。
「実は3年ほどかけてレストアして、今年の春に仕上がったところなんです。世界各地にオーナーズ・クラブもありますから、パーツも意外になんとかなります。自宅にはこれ以外にもう1台KR200がありますが、そちらは今バラバラ状態です」とのこと。
3Dプリンターで部品自作、内装には工業用ミシン。「工作機械マニア」の執念
ダッシュボードに“タコメーター”を追加したのをはじめ、レストアからメンテナンスまで、ほぼ自分でこなす、なみきさん。
「クルマいじりは全くの趣味なのですが、工作機械マニアなのでボディの塗装から内装の張り替えまで、全部自分でやっています。幌や内装用に本職用のミシンまで買っちゃいました。あ、テールのリフレクターは現在パーツ待ちで、今ついているのは3Dプリンターで自作した仮のヤツです」と、驚きのエピソードが次々と。

イベント以外にも、天気の良い日にはこのメッサーで夫婦一緒にお出かけもするというから羨ましい。というわけで、クルマに対する熱量、家族の理解、さらに若さ(参加者の中では比較的・笑)と、三拍子揃ったメッサーシュミットKR200となみきさん夫妻だった。