欧州プレミアムを追撃する「和製コンパクト」の真打ちとなるか
マツダのコンパクトカーの代名詞とも言える「MAZDA 2(マツダ2/旧デミオ)」が、大きな転換点を迎えようとしている。ジャパンモビリティショー2025で披露されたコンセプトカー「MAZDA VISION X-COMPACT」の市販版とも言える次期モデルの全貌が見えてきた。注目すべきは「ロータリーEV」の搭載と、実用性を重視した「ボディサイズの拡大」だ。
【画像5枚】鋭い眼光と流麗なライン。ロータリーEVを搭載する次期「マツダ2」の予想CGを見る
2026年11月発売が本命。「空白の1年」が生む期待
まず市場投入のタイミングだが、最速で2026年11月のワールドプレミアおよび発売が有力視されている。しかし、ここには一つの懸念材料がある。現行型マツダ2は年内にも生産終了となる可能性が濃厚なのだ。もしそうなれば、次期型投入まで約1年間の「空白期間」が生まれることになる 。かつて日本国内で「デミオ」として親しまれ、2019年からグローバル名称へ統一された主力モデルだけに、このブランクは次期型への自信の表れとも、あるいは開発の大詰めを迎えている証拠とも受け取れる 。
コンセプトカー「VISION X-COMPACT」を現実解へ
次期型のデザインベースとなるのは、マツダがJMS2025で公開した「MAZDA VISION X-COMPACT」だ。コンセプトモデルのサイズは全長3825mm×全幅1795mm×全高1470mmと、極端にワイド&ショートなプロポーションだったが、市販化にあたっては現実的なサイズへ修正される見込みだ 。予想されるサイズスペックは、全長4100mm(現行比+20mm)、全幅1670mm、全高1520mm(現行比+20mm)と、現行型(全長4080mm)と比較して全長と全高が拡大され、より居住性を高めたパッケージングとなることが予想される。
一方で、デザインのエッセンスは色濃く継承され、フロントには 切れ味鋭いシャープなヘッドライトと、黒のウレタンで取り巻かれたグリルによる精悍な顔つきが与えられるだろう。ライト類では、特徴的な半円形LEDデイタイムランニングライトや、下部グリルへ伸びるLEDシグネチャーの採用が見込まれる。シルエットは、クロスオーバー・ハッチバックのスタイルを踏襲し、サイドはシンプルかつ流麗なラインで構成されるはずだ。
パワートレインは「R-EV」と「マイルドHV」の二本柱か
最大のトピックはパワートレインだ。公式発表前ではあるが、e-SKYACTIV R-EVの830ccロータリーエンジンを発電機として搭載するシリーズ式プラグインハイブリッドと、SKYACTIV-G 1.5の、1.5L 3気筒エンジンにマイルドハイブリッドを組み合わせた、堅実かつ高効率なユニットの2ラインナップが予想されている。
車両価格については、昨今の情勢を鑑みても値上がりは避けられないだろう。現行モデルから20万円〜30万円程度の上昇が見込まれている。しかし、ロータリーEVという独自技術と、クロスオーバー化による付加価値を考えれば、単なる値上げではなく「プレミアムコンパクト」への深化と捉えるべきだろう。2026年秋、マツダのボトムエンドを支える一台が、どのような進化を遂げて姿を現すのか。カウントダウンは既に始まっている。
【ル・ボラン編集部より】
現行マツダ2は円熟の域にあるが、次期型での「R-EV」搭載は、このクラスの常識を覆す転換点だ。MX-30で実証された、ロータリー特有の雑味のない発電とモーター駆動のシームレスな連携。これがこのサイズに凝縮されれば、欧州勢さえ震撼させる“小さな高級車”の再定義となる。空白の1年は懸念だが、その沈黙さえも次なる飛躍への助走であり、マツダが追い求める「人馬一体」の真価を問うための必要な時間だと信じたい。




