ローマの上をいくスポーツ性能を披露
「La Nuova Dolce Vita( 新しい甘い生活)」のキャッチで、フェラーリの新境地を開いた「ローマ」の後継モデルとなる「アマルフィ」に試乗する機会を得た。エレガントかつスポーティネスが一層引き上げられたアマルフィのファーストインプレッションをお届けしよう。
【画像33枚】フェラーリ「アマルフィ」海外初試乗でわかった、美しきV8クーペの真価
ローマとは一線を画す「しなやかさ」
「走り出した瞬間からローマとは違うクルマだとわかるはずだ」。アマルフィが2025年7月にデビューした際、開発部門のトップであるジャンマリア・フルジェンツィはそう胸を張っていた。その見た目から、ともすれば「ローマのビッグマイナーチェンジである」とでも言いかねない“物知り”メディアに向けた、それは“忠告”にも似たアピールだった。
5カ月後。いよいよそれを確かめる機会が訪れる。ところはイタリアのアマルフィ、ではなくポルトガルのファロ。多彩な文化的背景を抱く歴史的な港町である。アマルフィ海岸には快適にドライブできる広い道が少ない。かといって冬のモデナ周辺では天候がすぐれないうえ、ウインタータイヤ規制がかかる。というわけで、ファロを選んだとマラネッロのプレスオフィサー。12月にしては確かに、ポルトガルは暖かかった。

国際的な賞を多く獲得しているF154ファミリーの最新進化型とされる3.9L V8ツインターボユニットは、最高出力640ps、最大トルク760Nmを発生。8速DCTとの組み合わせにより、0→100km/h加速は3.3秒の俊足を誇る。
12台のアマルフィが並んでいる。全て鮮やかなブルーグリーン、ヴェルデ・コスティエラで、インテリアも同系色。伝統的なフェラーリのイメージとは異なるが、入り口を広めておきたいというマラネッロの思惑でもあった。
パーキングロットから一般道に出るまでの少し長めの取り付け道路で早くも「なるほどジャンマリアのおっしゃる通り」だと感じていた。ローマといえばそのシンプルビューティでどこか女性的で華奢なスタイル(あれはあれでひとつの完成形だった)とは裏腹のスパルタンなドライブフィールが記憶に新しいわけだが、フロントタイヤの突っ張った感覚も含め、まったくもって違う味付けになっていた。マイルドというよりシナヤカと言ったほうがいいだろう。ローマ以上にゆったりと落ち着いた気分でドライブできる。急かされることがない。(私の好きな)WETモードでは特に安楽だ。
絶品のブレーキフィールとV8サウンド
夜のうちに降った雨のせいで路面はところどころ濡れていた。それでも前輪の動きに安定感があるのと乗り心地の良さで安心して知らない道を走っていける。F154B型に連なる新設計3.9L V8ツインターボのフラットプレーン・ウェットサンプエンジンは右足への応答性も適度に鋭く、ドライバーが必要とするトルクを正確にリアタイヤへと伝え続けてくれている。8速DCTの変速フィールも含め、一連の加減速になんら“引っ掛かり”がない。全てがスムース。しなやかな動きの連なりでまろやかにさえ感じられる。これなら日本でも優れたデイリーカーとして使えそうだ。

インテリアは、ドライバーとパッセンジャーをそれぞれ独立した空間で包み込む「デュアル・コックピット」を採用。ダッシュボードは左右非対称のデザインで、インストゥルメント・クラスターはエアベントと一体化されたレイアウトに。アルマイト処理されたアルミニウム製のセンタートンネルは位置が低くなっており、ギアセレクター、キースロット、ワイヤレス充電パッドなどの操作系を集約している。
本格的なスポーツドライビングに入る前に、乗り心地や前輪の動きに加え、魅力的に変化した性能のひとつに気がついた。それはブレーキフィールだ。アマルフィではV8フロントエンジンモデルとしては初めて、6Dセンサー制御のABS Evoにブレーキ・バイ・ワイアを組み合わせている。その効果が一般道で早くも感じられたのだ。ファーストタッチの挙動から、踏み込み量に対する制動とその姿勢が素晴らしい。アクセルもブレーキもガンガン踏みたくなるクルマである。
ワインディングロードでは案の定、ローマの上をいくスポーツ性を発揮した。ハンドリング性に尖ったところはなく常に思い通りに動く感覚がある。前輪の位置を手応えとして感知できる点も嬉しい。そして何より胸をすくV8ツインターボのレスポンスに優れた加速と、そのサウンドが心地よかった。ローマよりも格別に速くなったというわけではない。けれども全体的なパフォーマンスの向上をはっきりと感じることができる。ボリュームこそやや下がったものの乾いた響きがドライバーの心をいたく刺激した。
【Specification】フェラーリ アマルフィ
■車両本体価格(税込)=34,180,000円
■全長/全幅/全高=4660/1974/1301mm
■ホイールベース=2670mm
■車両重量=1470kg
■エンジン形式/種類=V8 DOHC 32V+ツインターボ
■圧縮比=9.45:1
■総排気量=3855cc
■最高出力=640ps(467kW)/7500rpm
■最大トルク=760Nm(76.5kg-m)/3000-5750rpm
■トランスミッション形式=8速DCT
■サスペンション形式=前:Wウイッシュボーン/コイル、後:マルチリンク/コイル
■ブレーキ=前後Vディスク
■タイヤ(ホイール)=前/後:245/35ZR20/285/35ZR20






























