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【インタビュー】メルセデス・ベンツとの「化学反応」。独・フックスが貫く「潤滑油専業」の矜持と、EV時代への“潤滑”戦略〈PR〉

東京オートサロン2026に初出店したフックスジャパン(FUCHS JAPAN)のブース。
東京オートサロン2026に初出店したフックスジャパン(FUCHS JAPAN)のブース。
フックスジャパン代表取締役とフックス APEC統括責任者を兼務するルーベン・エブナー(Ruven Ebner)氏(右)と、フックス APEC自動車部門事業開発マネージャーを務めるステファン・レンズ(Stephan Lenz)氏(左)。
SUPER GTに参戦しているGOODSMILE RACINGのメルセデスAMG GT3は、FUCHS製の乗用車用エンジンオイル「SUPERSYN LONGLIFE SAE 0W-40」を使用。
SUPER GTに参戦しているGOODSMILE RACINGのメルセデスAMG GT3は、FUCHS製の乗用車用エンジンオイル「SUPERSYN LONGLIFE SAE 0W-40」を使用。
東京オートサロン2026に初出店したフックスジャパン(FUCHS JAPAN)のブース。
フックスジャパン代表取締役とフックス APEC統括責任者を兼務するルーベン・エブナー(Ruven Ebner)氏。
フックス APEC自動車部門事業開発マネージャーを務めるステファン・レンズ(Stephan Lenz)氏。
フックスの主力である乗用車用エンジンオイル「TITAN(タイタン)」シリーズのラインナップ。
ボトル上部に誇らしげに記された「GERMAN TECHNOLOGY」の文字。写真は欧州車のクリーンディーゼルやガソリン車に対応する「TITAN GT1 FLEX C3 0W-30」。最新の規格をクリアし、エンジンの保護と燃費性能を両立させる。
エンジンオイルだけでなく、ギアオイル(左:TITAN SINTOPOID LS 75W-90)など駆動系のフルラインナップもフックスの強みだ。
過酷な条件下でも油膜を保持する「FULLY SYNTHETIC(全合成)」のプレミアムエンジンオイル。中身の劣化を防ぎ、使いやすさも考慮されたパウチスタイルも展開されている。
世界中の整備現場で信頼の証となっている、フックスブルーのドラム缶。1931年の創業以来、潤滑油のスペシャリストとして産業とモビリティを支え続けてきた「巨人」の象徴的な光景だ。
今回の出展は、長年のパートナーである阿部商会との共同ブースとして展開された。巨大な頭上サインは、日本市場における両社の強固な連携関係を示している。
フックスジャパン代表取締役とフックス APEC統括責任者を兼務するルーベン・エブナー(Ruven Ebner)氏(右)と、フックス APEC自動車部門事業開発マネージャーを務めるステファン・レンズ(Stephan Lenz)氏(左)。
東京オートサロン2026に初出店したフックスジャパン(FUCHS JAPAN)のブース。

「潤滑油」だけを追い求める、世界最大の独立系ブランド「フックス」の現在地

「世界最大の独立系潤滑油メーカー」。フックスを紹介する際、必ずと言っていいほど冠されるこのフレーズには、彼らのアイデンティティと誇りが凝縮されている。大手石油資本の系列に属さず、あくまで「潤滑油」という一つの製品ジャンルに特化して技術を磨き上げてきたスペシャリスト集団。その技術的背景には、自動車誕生の地であるドイツ・マンハイムの精神が息づいている。最新のメルセデス・ベンツとの「化学反応」とも呼べる提携関係や、次世代モビリティへの対応を含め、その技術哲学の深層に迫るべく、フックスジャパン代表取締役のルーベン・エブナー(Ruven Ebner)氏と、APEC自動車部門事業開発マネージャーのステファン・レンズ(Stephan Lenz)氏にインタビューを敢行した。

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なぜ「専業」なのか。7000人のスペシャリストが守り抜く独立系の矜持

フックスの歴史は、今から約100年前の1931年にさかのぼる。若き起業家ルドルフ・フックスがドイツ・マンハイムで創業した当時は、高品質なペンシルベニア産のオイルを輸入し、地元の運送会社へ自転車やトラックで配達するというシンプルな形態だった。しかし、そこからの発展こそがフックスを特別な存在へと押し上げた。フックスジャパン代表のルーベン・エブナー氏は、その歴史的背景をこう説明する。

「フックスは、1931年にマンハイムで非常にシンプルな形でスタートしました。その瞬間から、フックスは技術への投資を始め、研究所を建設し、独自の配合(フォーミュレーション)を開発しました。そして技術への投資によって国際的に成長していきました」

フックスジャパン代表取締役とフックス APEC統括責任者を兼務するルーベン・エブナー(Ruven Ebner)氏(右)と、フックス APEC自動車部門事業開発マネージャーを務めるステファン・レンズ(Stephan Lenz)氏(左)。

フックスジャパン代表取締役とフックス APEC統括責任者を兼務するルーベン・エブナー(Ruven Ebner)氏(右)と、フックス APEC自動車部門事業開発マネージャーを務めるステファン・レンズ(Stephan Lenz)氏(左)。

マンハイムは、カール・ベンツが最初のエンジンを開発し、自動車を発明した場所でもある。自動車産業の揺籃の地で、フックスもまた共に成長してきたのだ。現在では世界中に40以上の工場と70以上の拠点を持ち、OEMや大口顧客にとって欠かせないグローバルプレーヤーとなった。だが、エブナー氏が最も強調するのは、その規模ではなく「専業」であることの強みだ。

「私たちが特別なのは、約7000人の従業員が『潤滑油』だけに純粋に注力している点です。これはユニークな体制です。これほどの規模で、潤滑油という一つの製品ブランドに集中している会社は他にはありません」

独立系であることは、単なる企業形態の違いではない。親会社の方針や特定の油田の都合に縛られることなく、最適なベースオイルと添加剤技術を自由に選択できることを意味する。だからこそ、妥協のない性能追求が可能になるのだ。

サプライヤーから「開発パートナー」へ。メルセデス・ベンツとの協業が示す新時代

フックスを語る上で外せないのが、同じマンハイムにルーツを持つメルセデス・ベンツとの関係だ。エブナー氏は、両社の関係が単なるサプライヤー以上のものであることを示唆する。

「偶然にも、フックスはマンハイムに本社を置いています。ここは自動車が開発され、発明された場所でもあります。つまり、フックスとメルセデス・ベンツは長期的な関係にあり、私たちは何十年にもわたってOEM製品や初期充填(ファーストフィル)製品を彼らに供給し続けています」

世界中の整備現場で信頼の証となっている、フックスブルーのドラム缶。1931年の創業以来、潤滑油のスペシャリストとして産業とモビリティを支え続けてきた「巨人」の象徴的な光景だ。

世界中の整備現場で信頼の証となっている、フックスブルーのドラム缶。1931年の創業以来、潤滑油のスペシャリストとして産業とモビリティを支え続けてきた「巨人」の象徴的な光景だ。

さらに2024年3月、両社は戦略的業務提携を締結した。これにより、関係性は新たなフェーズへと進化したといえる。以前のように最終段階でオイルを供給するのではなく、車両開発の初期段階から共同で潤滑剤を設計する体制へと変化したのだ。現代の複雑化したパワートレインにおいて、潤滑油はもはや単なる消耗品ではなく、エンジンの性能や効率を引き出すための重要な「機能部品」の一部となっている。

サーキットから公道、そして次世代モビリティへ

その技術力は、過酷なモータースポーツの現場でも証明されている。ステファン・レンズ氏は、日本のサーキットユーザーに向けて自信を持って推奨する。

「日本の方々の多くがサーキット走行を好むことを私たちは知っています。そこで、TITAN(タイタン)シリーズの全合成パフォーマンスオイルをお勧めします。さらに言えば、完全合成のエステルベースである『TITAN RACE(タイタンレース)』ラインがあります。これはまさに、コアなレーシング・パフォーマンスのための製品です」

SUPER GTに参戦しているGOODSMILE RACINGのメルセデスAMG GT3は、認証取得済みのFUCHS製エンジンオイルを使用。

SUPER GTに参戦しているGOODSMILE RACINGのメルセデスAMG GT3は、FUCHS製の乗用車用エンジンオイル「SUPERSYN LONGLIFE SAE 0W-40」を使用。

ドイツだけでなく、日本のSUPER GTなどに参戦するパートナーからのフィードバックも開発に活かされているという。また、日本の独自規格への対応も抜かりない。レンズ氏は、トヨタ車向けに開発された製品を例に挙げた。

「特に日本の自動車メーカー・トヨタのために、私たちは超低粘度エンジンオイル『TITAN GT1 PRO GLV-1 0W-8』を開発しています。この製品は、トヨタの非常に小さなエンジンに対して、優れた燃費性能とエンジン保護性能を高次元で技術対応したものです」

エンジンが消えても、技術は残る。EV時代に不可欠な「熱管理と潤滑」

そして視線はすでに、その先の未来、EV(電気自動車)時代も見据えている。「FUCHS BluEV(フックス・ブルーイーブイ)」ブランドのもと、新たな挑戦が始まっている。

「実のところ、電気自動車にはもうエンジンオイルはありませんが、ドライブトレインはまだありますので、『電気駆動用フルード(Electric Driveline Fluids)』が必要です。そしてこれは、近い将来のアフターセールスにおいて私たちが重要視している要素の一つです」

今回の出展は、長年のパートナーである阿部商会との共同ブースとして展開された。巨大な頭上サインは、日本市場における両社の強固な連携関係を示している。

今回の出展は、長年のパートナーである阿部商会との共同ブースとして展開された。巨大な頭上サインは、日本市場における両社の強固な連携関係を示している。

中国にある研究拠点を中心に開発が進められているこれらの新製品は、モーターの冷却や絶縁といった新たな課題に応えるものだ。エンジンがあろうとなかろうと、「動くもの」がある限り、そこにフックスの技術が必要とされる事実は変わらない。

「エンスージアストにとって、フックスを買うことは簡単な選択(Easy Choice)です」

ステファン・レンズ氏のこの言葉は、100年近くにわたる歴史と技術への絶対的な自信から来るものだ。今日の性能を守り、明日の耐久性を約束する。マンハイムの精神は、2026年の日本においても、変わらず我々の愛車を守り続けてくれるだろう。

【画像15枚】聖地マンハイムの魂を日本へ。初音ミク号やコンパニオンが彩る、独・フックスの展示ギャラリー

フォト=篠原晃一/K. Shinohara
竹内耕太

AUTHOR

1979年生まれ。学者の卵(日本学術振興会特別研究員/インド学仏教史)から、クルマ道楽にのめり込んで脱線。中古車販売店勤務を経てカーメディアの世界に入り、2025年5月よりル・ボラン編集部に着任。愛車の1963年式フォルクスワーゲン・カルマンギアとともに東京から小田原へ移住し、リモートワークを活用してガレージライフを満喫中。

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