















台湾の絶景を映したワンオフモデル「911カレラT フォルモサ」を発表 ゾンダーヴンシュが描く海と岩と山の調和
ポルシェは2025年12月、台湾の自然景観に敬意を表した特別なモデル、911カレラT「フォルモサ」を発表した。これは顧客それぞれの要望を実現するポルシェの「ゾンダーヴンシュ(Sonderwunsch)」プログラムによって生み出されたユニークな一台で、「麗しの島」を意味する「フォルモサ」の名を冠した姿は、16世紀のポルトガル人船乗りたちがその緑豊かな大地に魅了されたという歴史的な背景と、台湾固有の美しい風景をデザインの物語として深く刻み込んでいる。
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山と海、そして岩肌が織りなすデザインコンセプト
台湾はコンパクトな面積の中に驚くべき多様性を秘めている。世界でも有数の景観を誇るドライビングロードが走る中央山脈の高みから、東海岸に見られるドラマチックな岩肌の造形、そして鮮やかな太平洋の海原まで、その地形の変化は実に豊かだ。今回のプロジェクトは、こうした山、石肌、そして海という要素の相互作用からインスピレーションを得て構想された。
ポルシェ台湾のCEOであるクリスチャン・ナター氏は、このモデルについて「911カレラT『フォルモサ』は個性の表明であり、台湾への賛歌である」と語っている。ゾンダーヴンシュ・プログラムを通じて具現化されたそのビジョンは、まさに台湾の景観美そのものを捉えたものだと言えるだろう。エクステリアは海と沿岸の岩層を、インテリアは緑豊かな山々を反映させることで、車両全体で一つの風景画を描くようなアプローチが採られている。
自然界の色調を再現したエクステリア
エクステリアにおける最大のハイライトは、ポルシェの「ペイント・トゥ・サンプル」プログラムから選ばれた「イパネマブルーメタリック」のボディカラーだ。この深みのある青は、台湾を取り囲む広大な海を象徴している。一方で、東海岸の荒々しい岩肌を表現するために、「スズカグレーメタリック」が対照的なアクセントとして用いられた。このグレーは、ポルシェのリアレタリングやサイドウィンドウトリム、そしてリアエンジンリッドのスラットに施され、ブルーのボディとの鮮やかなコントラストを生み出している。
足元を引き締める20インチおよび21インチのRSスパイダーホイールもまた、スズカグレーメタリックで仕上げられているが、インナーリムベッドにはヴァナジウムグレーメタリックを採用するという凝った配色となっている。さらに、ブラックのエクスクルーシブ・マニュファクチャーHDマトリックスデザインLEDヘッドライトと、エクスクルーシブデザインテールライトが組み合わされ、全体的に精悍な印象を与えている。
職人技が光る「フォルモサ」専用インテリア
ドアを開けると、そこには台湾の風景の物語が続いている。キャビンには山々の緑を想起させるパルダオウッドのトリムがあしらわれ、フルバケットシートはトリュフブラウンとブラックのツートーンカラーレザーで覆われている。そこに施されたナイトグリーンのステッチが、自然の豊かさをさりげなく主張する。
特筆すべきは、今回初めて導入された新開発の「フォルモサ」チェッカーパターンだ。ナイトグリーン、ブラック、クリームホワイトで構成されたこのビスポークパターンは、シートインサートや、総革張りで仕立てられたフロントトランクの主要部分を飾っている。フロントトランクにはさらに「Formosa」の刺繍も施されており、見えない部分へのこだわりも徹底している。
また、発光式のドアシルガードには「Formosa x Sonderwunsch」の文字が輝き、ヘッドレストには911カレラTのシルエットと波や山の峰を統合した「Formosa」ロゴがエンボス加工されている。ナター氏が述べた通り、新しいチェッカーパターンから特注のエンボス加工に至るまで、あらゆるディテールが慎重に検討されており、ゾンダーヴンシュ・プログラムの懐の深さを証明する仕上がりとなっている。
走りの純粋さと究極のパーソナライゼーション
その美しい外観の下には、911カレラTが本来持つピュアなパフォーマンスが維持されている。軽量構造に加え、マニュアルトランスミッションとスポーツチューニングされたサスペンションを備えたカレラTは、真のドライバーズカーとしての資質を備えており、台湾の多様でスリリングな道路環境に最適だと言えるだろう。
ポルシェが1970年代後半の伝説的なプログラムを再解釈して展開する現代の「ゾンダーヴンシュ」は、顧客とポルシェが共同で創り上げるワンオフモデルの製作を可能にしている。新車の製造過程における特別な要望の実現だけでなく、既存車両のレトロフィットや、完全に再設計されたワンオフモデルの作成さえも可能にするこのプログラムは、単なる車の購入を超えた創造的な体験を顧客に提供している。今回の「フォルモサ」は、パフォーマンスと強烈な個性が融合した、その象徴的な一台といえるだろう。
【ル・ボラン編集部より】
「911カレラT」の真価は、遮音材や後席を排した“引き算”による純粋なドライビングプレジャーにある。だが、この「フォルモサ」は、その空白となったキャンバスに台湾の雄大な自然という、濃密な物語を投影してみせた。軽量な車体に宿るのは、物理的な贅肉ではなく、オーナーと土地を結ぶ哲学的な重みだ。ストイックな走りの系譜と、ゾンダーヴンシュによる極上のコスメティック。相反する要素が雑味なく調和したこの一台は、ポルシェにおける「オーダーメイド」が、単なる装飾ではなく記憶のアーカイブであることを物語っている。
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