商用バンの常識を覆す「GTI」のDNA
フォルクスワーゲン・コマーシャルビークルスは2026年2月4日、商用バン「トランスポーター」のラインアップに、最上級モデルとなる「スポーツライン」および新グレード「コマース・プロS」を追加すると発表した。特に注目すべきは「スポーツライン」であり、そのフロントグリルに走る赤いラインは、まさに同社の「GTI」を彷彿とさせる本気仕様の証である。日本未導入ながら、この商用バンの進化は、今後日本市場における「ID. Buzz」の展開にも期待を抱かせる内容となっている。
【画像8枚】GTIの魂を宿す赤ラインと29mmローダウン! 攻撃的な「トランスポーター・スポーツライン」をチェック
29mmのローダウンと「赤きライン」。GTIの系譜を継ぐ攻撃的フォルム
今回発表された新型トランスポーター・スポーツラインは、パフォーマンス重視のバンとして象徴的な地位を築いてきた同シリーズの系譜を継ぐ最新モデルである。その外観は、単なる商用車の枠を超え、ダイナミックで感情に訴えかけるデザインへと劇的な変貌を遂げている。
その特徴は、攻撃的な造形を見せるドッグボーンスタイルのフロントバンパーや、空力特性を考慮したリアスポイラー、そして彫刻的なリアバンパーに見ることができる。さらに、グロスブラック仕上げのサイドスカートやルーフレールに加え、アイバッハ製のスプリングによって29mmローダウンされたサスペンションが採用されており、地面に吸い付くような力強く安定したスタンスを実現している。足元には、専用デザインの19インチ・ダイヤモンドカット・アルミホイールが装着され、マトリックスLEDヘッドライトと共に、一目でそれと分かる圧倒的な個性を放っている。そして何より、グリルにあしらわれた「スポーツライン」を象徴する赤いラインが、このクルマの非凡な性格を無言のうちに主張しているのである。
職人技が宿るコックピット。実用一辺倒を否定するプレミアムな空間
インテリアにおいても、実用一辺倒な商用車の概念を覆すプレミアムな空間が広がっている。キャビンはドライバーを中心に設計されており、職人の手作業によるエコレザー製のスポーツシートが採用された。このシートには赤いステッチと「Sportline」のエンボス加工が施され、スポーティな雰囲気を高めている。
また、ステアリングホイールにはヒーター付きのレザー素材が採用されたほか、専用のフロアマットや照明付きのメタルスカッフプレート、さらには足元を照らすフットウェルライティングなど、細部にわたる演出が日常のドライビング体験を格上げする。ダッシュボード周りでは、ディスプレイの周囲が高光沢ブラックで仕上げられており、質感の向上が図られている。機能面でも妥協はなく、キーレスアクセスやエリアビューカメラといった先進装備が標準搭載され、日々の業務における実用性と快適性が高次元で融合しているのである。
伝説の「タイプ2」へ捧ぐ。モス・グリーンを纏った75台の希少モデル
今回の発表におけるもう一つのハイライトは、伝説的なフォルクスワーゲン・バス(タイプ2)の生産開始75周年を記念した特別仕様車「トランスポーター・スポーツライン75スペシャルエディション」の設定だ。わずか75台の限定生産となるこのモデルは、専用の「モス・グリーン」のソリッドペイントで仕上げられている。内装にはグリーンのコントラストステッチが施されたエコレザーシートやステアリングホイールが採用され、ミラーキャップには「Sportline 75」のロゴがあしらわれている。各車両には個別のシリアルナンバーが付与され、その希少性を際立たせている。
また、スポーツラインと同時に発表された「コマース・プロS」も見逃せない存在だ。こちらは、よりシャープでプロフェッショナルな外観を求めるユーザーに向けたモデルであり、ボディ同色のフロントスプリッターや専用の17インチ・グロスブラック・アルミホイール、リアスポイラーなどを装備し、洗練された印象を与える。
ディーゼルからBEVまで全方位対応。英国価格は約1080万円からスタート
これら新型トランスポーターの両モデルは、ディーゼル、プラグインハイブリッド(eHybrid)、そして完全電気自動車(BEV)という多彩なパワートレインから選択が可能となっており、多様化するニーズに対応している。
価格については、英国市場においてスポーツラインのパネルバン(ショートホイールベース)が51,105ポンド(約1080万円)から、コマース・プロSは43,050ポンド(約913万円)から設定されている。コマース・プロSは2月下旬から、スポーツラインは4月から注文受付が開始され、それぞれの納車は4月および5月に開始される予定。
商用車部門が放つこの情熱的なモデル群は、実用車であっても「走り」と「スタイル」を諦めないフォルクスワーゲンの姿勢を明確に示していると言えるだろう。
【ル・ボラン編集部より】
現行トランスポーターの日本正規導入は現状望み薄だが、我々には昨年上陸を果たした「ID. Buzz」がある。共にVW商用車部門が手掛ける兄弟分だけに、今回のスポーツラインが提示した「商用車の実用性とスポーティな走りの融合」という命題は、ID. Buzzにとっても無縁ではないはずだ。このコンセプトが市場で支持されれば、そのDNAを受け継ぐ高性能な電動バンが誕生する可能性も高い。いつの日か、GTIの魂を宿したID. Buzzが日本の路上を鮮やかに彩る。そんな未来を期待せずにはいられない。
【画像8枚】GTIの魂を宿す赤ラインと29mmローダウン! 攻撃的な「トランスポーター・スポーツライン」をチェック










