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3気筒ターボ×LPGで航続1400km。ルノー・キャプチャー「Eco-G 120」に見る欧州流の合理主義

出力20ps向上で価格は据え置き。欧州で見直されるLPGの合理性

2026年2月3日、ルノーは欧州市場において、コンパクトSUV「キャプチャー」の新たなパワートレインとして「Eco-G 120」を発表した。これはLPG(液化石油ガス)とガソリンの双方を使用できるバイフューエル仕様で、従来の「Eco-G 100」に代わる新モデルだ。出力向上を果たしながら価格を据え置き、最大1400kmという圧倒的な航続距離を実現したことで、経済性と実用性を両立する現実的な選択肢として注目を集めることになるだろう。

【画像6枚】給油なしで1400kmの旅へ。LPGタンクを搭載しパワーアップした「キャプチャー Eco-G 120」の全貌を見る

出力とトルクを強化、航続距離は1400kmへ

今回発表されたパワートレイン「Eco-G 120」は、ルノーのラインナップ強化の一環として投入されたものだ。ベースとなっているのは1.2Lの3気筒ターボ直噴ガソリンエンジン(TCe 115)で、これをバイフューエル化することで、ランニングコストの抑制と高い汎用性を求める顧客の期待に応える仕様となっている。

特筆すべきはそのパフォーマンスの向上だ。従来のEco-G 100と比較して最高出力は20psアップの120ps、最大トルクは30Nmアップの200Nmへと強化された。これにより、より力強い走りが可能となっている。トランスミッションには6速マニュアルギアボックスが組み合わされ、0-100km/h加速は12秒と、従来型より1秒短縮された。

さらに実用面での大きな進化として、LPGタンクの容量拡大が挙げられる。タンク容量は従来の40Lから50Lへと25%増加した。48Lのガソリンタンクと組み合わせることで最大1400kmという長大な航続距離を実現している。

ガソリン車比でCO2を10%削減、価格は据え置き

環境性能と経済性のバランスもこのモデルの大きな魅力だ。Eco-G 120のLPGモード走行時におけるCO2排出量は117g/kmからとなっており、同等のガソリンエンジンと比較して平均10%の削減を達成している。燃料消費率はLPGモードで7.2L/100km(13.9km/L)、ガソリンモードでは5.9L/100km(16.9km/L)である。

また、車両価格についても戦略的な設定がなされている。「Evolution Eco-G 120」の価格は2万6400ユーロ(約487万円)からで、これは旧モデルであるEco-G 100と同価格である。性能と航続距離を向上させながら価格を維持したことは、消費者にとって大きなメリットとなるはずだ。フランス国内にはLPGステーションが約1500箇所整備されており、燃料コストを最大半分に削減できるLPG車は極めて合理的な選択肢として定着しつつある。実際、2025年のルノーのLPG車登録台数は1万5600台を超え、そのうち約5700台をキャプチャーが占めるなど、前年比60%増という急成長を遂げている。

さらにルノーが採用するLPGシステムは、アフターマーケットでの改造ではなく、メーカー純正(OEM)として開発されたものである点が重要だ。ルノー・グループには15年以上にわたるLPG技術の蓄積があり、ガソリンエンジンと同等の信頼性を確保している。LPGシステムは工場でパワートレインに統合され、タンクは通常スペアタイヤが収まるスペースに設置されるため、ガソリンタンクの容量やトランクスペースを犠牲にすることはない。

最新の安全装備と快適機能も全車でアップデート

今回の発表ではパワートレインの追加に加え、キャプチャーおよびシンビオズ(Symbioz)の全ラインナップに対する装備の改良もアナウンスされた。

外観では、新型クリオ6(日本名ルーテシア)から流用された改良型リアビューミラーが採用された。これにより風切り音が低減されるとともに空力特性がわずかに向上しているほか、オプションで地面にロゴを投影する機能も用意されている。

安全面では、新しい規制に対応するため、フロントガラスのピラーに統合された車内カメラが標準装備となった。これはドライバーの疲労や注意散漫の兆候を検知するもので、アクティブセーフティを強化する。また、半自動運転モード中にドライバーの反応がない場合、ハザードランプを点滅させながら自動的に車両を停止させる「エマージェンシー・ストップ・アシスト」機能も搭載された。

駐車支援機能も進化しており、バックカメラや360度3Dカメラに高解像度カメラを導入することで、画質と視認性が大幅に向上している。さらにATモデルでは、従来の「MySense」モードが新しい「Smart」モードに変更された。これは運転スタイルに応じて「Eco」「Comfort」「Sport」を自動的に切り替える機能で、追い越し時にはSportモードのレスポンスを、減速時にはEcoモードの効率性を自動で選択するなど、ドライバーの操作なしに最適な走行モードを提供するものだ。

ルノーは「Renaulution」戦略の下、競争力のある電動化ラインナップへの移行を進めているが、今回のようなLPGモデルの進化は、多様なエネルギーソリューションを提供するという同社の姿勢を明確に示していると言えるだろう。

【ル・ボラン編集部より】

キャプチャーの「フルハイブリッドE-TECH」に試乗した際にも、そのロングドライブ適性に唸らされたが、今度のLPGモデルが提示する「航続距離1400km」という数値には、フランス車に脈々と流れる「グランドツーリング」の真髄を見る思いだ。 インフラ事情の異なる日本への導入は叶わぬ夢だが、電動化のみに固執せず、既存技術を磨き上げて「足の長さ」と経済性を両立させる合理精神こそ、ルノーの真骨頂である。この「どこまでも行ける自由」は、現代において最も贅沢な性能と言えるだろう。

【画像6枚】給油なしで1400kmの旅へ。LPGタンクを搭載しパワーアップした「キャプチャー Eco-G 120」の全貌を見る

※この記事は、一部でAI(人工知能)を資料の翻訳・整理、および作文の補助として活用し、当編集部が独自の視点と経験に基づき加筆・修正したものです。最終的な編集責任は当編集部にあります。
LE VOLANT web編集部

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