横浜の街に溶け込む、グレイッシュな「働くフランス車」の休息
2026年2月28日(土)、横浜のグランモール公園「美術の広場」で開催されたクラシックカーイベント「横浜ヒストリックカーデイ」。多彩な名車が集う中、フランスの街角を切り取ったかのような佇まいを見せていたのが、1961年式シトロエン2CVフルゴネットだ。オーナーのMASA’S ANTIQUESさんが、あえて利便性よりも「非日常」を求めて手に入れた、1台の商用バンの物語を紹介する。
【画像10枚】425ccの空冷フラットツインから、質素なインパネまで。シトロエン「2CVフルゴネット」の細部を詳しく見る
英国車マニアを惹きつけた、独創的な設計思想と「非日常感」
ジャガー・マーク2、ケータハム・スーパーセブン、トライアンフTR3など英国車歴が長い“MASA’S ANTIQUES”さんが5年前に購入したという、1961年式シトロエン2CVフルゴネット。なぜ、英車から仏車にシフトすることになったのだろうか。
「なんとなく英国車ばっかり乗ってたんですけど、別にフランス車が嫌い、というわけじゃなかったんです。ブレーキがインボードになってたりと結構設計が変わってるし、非日常感のあるクルマということで、なんかいいな、という感じでしたね。それで探し始めたんですけど、国内にバンが少なくて輸入しようと思ったら、輸送費があまりに高くて無理だなと思っていたんです。そしたら友人から、大阪に1台あるって聞いたんですけれど、6Vでヘッドライトが暗くて予備検が通らずに、そのショップに2年くらい放置されていたクルマだったんです」
難関の予備検突破へ。配線改良とオーバーホールで取り戻した輝き
シトロエン2CVフルゴネットはその名称にもある通り、2CVをベースとした商用バン。年式により仕様は異なるが、取材車両は空冷水平対向2気筒OHVの425ccエンジンを搭載したモデルとなっている。現車はイタリアのメカニックがレストア作業を行っていたクルマを日本に輸入したもので、現在のオーナーが予備検を取得し登録をする際に、ヘッドライトの配線を改良するなどの変更を加えたのだそうだ。
MASA’S ANTIQUESさんが手に入れてからは、2年間放置されていたためブレーキ周り/ダンパーのオーバーホール、変わったところではシートが木のベンチシートになっていたものを一般的なシートに変更。その他では、モーターがなくスピードメーターケーブルを駆動源としているワイパーに若干の心配はあるとのことだが、現状では特に変更する予定はないそうだ。パーツに関しては、国外のサイトなどで手に入れているので、困ることはないという。
「坂道は鬼門」? 出かける前の脳内シミュレーションが不可欠な理由
オーナーの名前として記している“MASA’S ANTIQUES”とは、彼が営んでいるアンティークショップの名称だが、商品の運搬などはこのクルマではほぼ行っていない。あくまで趣味のクルマとして楽しんでいるそうだが、あることについては気を使っているそうだ。
「セダンは遠心クラッチで坂道でも後ろに下がらないんですが、商用車は普通のクラッチなので、商業施設の立駐などの坂の途中で止まったらもう前にも後ろにも行けないんで、クルマで出かける前には必ずこのルートはダメだとか、その日のルートを脳内シミュレーションしてから出かけているんですよ(笑)」
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