ダブルバブルが語る、アバルトの原点と美学
2026年2月28日(土)、横浜のグランモール公園「美術の広場」で開催されたクラシックカーイベント「横浜ヒストリックカーデイ」。貴重なヒストリックカーが並ぶ中、流麗な真紅のボディで来場者を魅了していたのが、白川さんが所有する1959年式「フィアット・アバルト750GTザガート」だ。アバルト初の量産モデルにして、カロッツェリア・ザガートの傑作とも言える希少車との数奇な出会いと、30年にわたる愛情深いカーライフに迫る。
【画像10枚】特徴的な「ダブルバブル」ルーフや3連メーターも。真紅の「アバルト750GTザガート」の細部をチェックする
アバルト初の量産モデルにして、ザガートの傑作
現代ではステランティスグループの中で、フィアットをベースとしたハイパフォーマンスモデルを担うブランドとなっている「アバルト」。そのアバルトの初の量産モデルといえるのが、「フィアット・アバルト750GTザガート」だ。
1950年代半ばに登場したフィアット600をベースに排気量を100cc以上拡大したチューニングエンジンを搭載し、ノーマルの2倍にもなる40psものパワーを確保。このエンジンを搭載するボディはカロッツェリア・ザガートのデザインとなり、フロア以外のボディはアルミで製作され、ルーフにあるダブルバブルと呼ばれる凸型の膨らみ(初期モデルは異なる)は、その後のザガートのアイコンの一つとなっている。デビューは1956年で、その後レースでも活躍することになった。
委託販売での運命的な出会い
数百台(一説では500台程度)のみの生産に終わったフィアット・アバルト750GTザガートの1959年式を、30年ほど前に手に入れたというオーナーの白川さん。免許を取得して最初に購入したのが初代のフィアット・パンダだったそうで、その後NA型(初代)のマツダ・ロードスターに乗り換えたそうだが、イタリア車、それもアバルトが欲しいということで、ショップや雑誌の広告などでアバルトを探していたのだそうだ。
「たまたま雑誌広告を見ていたら、アバルトの別のタイプがあったんですよ。それを見に行ったら、委託販売でこれが置いてあって。で、こっちが良いってなって。それで譲っていただきました。巡り合ったっていう感じですね。僕の前はイギリスにあって、イギリスのオークションにかかって日本に来た、ってところまでは分かってます。その前はちょっとわからないですけど」
30年間維持の秘訣は、フィアット600ベースの恩恵
アバルト初の量産モデルとはいえ、個体数も少ないため維持・管理にはかなり苦労しそうというイメージがあるが、オーナーによればこの30年の間、それほど苦労したことはないのだという。
「この30年間、エンジンとラジエターのオーバーホールはしましたけど、それ以外はあまりありませんね。まあ、止まったりはよくありましたけど。(パーツに関しては)外装はちょっとわからないですけど、シャシーはフィアット600ベースなので、そういったところは今でも簡単に手に入るんですよ。エンジンは5年前にオーバーホールしたんですけど、その時も特に何か苦労したって話は聞いてないですね。塗装はちょっとヤレてきて、割れてるところもあるんですけど、それは次の人にやってもらおうかなって感じです。でもしばらくは現状維持で乗って、譲ることはないと思いますが」












