コラム

【ポルシェ914-6】ボアアップを捨て純正2Lへ。空冷VWマニアがあえて「オリジナル」を貫く理由【愛車群像】

松本匡人さんと、愛車の1970年式ポルシェ914-6。
1970年式ポルシェ914-6:設計はポルシェが担当。
1970年式ポルシェ914-6:デタッチャブルトップを外せばオープンエアに。
1970年式ポルシェ914-6:デタッチャブルトップはリアトランクに収納。
1970年式ポルシェ914-6:フロントフードの下はトランク。
1970年式ポルシェ914-6:VWとポルシェのダブルエンブレム。
1970年式ポルシェ914-6:ミッドに搭載される2L水平対向6気筒エンジンはポルシェ製。
1970年式ポルシェ914-6:エンジンフードをクローズした状態。
1970年式ポルシェ914-6:インパネには3連メーターがセットされる。
1970年式ポルシェ914-6:シートが高年式にタイプに変更されている。
松本匡人さんと、愛車の1970年式ポルシェ914-6。

知られざるポルシェとVWの血統。生粋のピュアスポーツ「914-6

ポルシェファンが集う「EXCITING PORSCHE」に、兵庫県から自走で駆けつけた松本匡人さん。愛車は、ポルシェが設計しVWパーツを流用した914の中でも、911T譲りの水平対向6気筒エンジンを積む1970年式「ポルシェ914-6」だ。長年空冷VWの「フラット4」を愛してきたオーナーが念願の「フラット6」を手に入れた経緯と、あえて排気量を純正の2Lに戻すという「オリジナル」への強いこだわりに迫る。

【画像10枚】VWとポルシェのダブルエンブレム 。フラット6を積んだ希少な「ポルシェ914-6」の全貌を見る

「フラット4」愛好家の夢――いつかは「フラット6」モデルに

兵庫県から横浜・赤レンガ倉庫まで1970年式「ポルシェ914-6」に乗って自走で参加した松本匡人さん。他にフォルクスワーゲン・カルマンギアをはじめ、キューベルワーゲンやインターメカニカ356レプリカなど、VW乗りの本流からは少し「外した」空冷水平対向4気筒モデルを所有している空冷VWマニアだ。

いつかは水平対向6気筒モデルが欲しいと思ってナローポルシェの911を探していたそうだが、価格の高騰などで躊躇していたところ、その頃クルマを整備に出していたショップのオーナーがポルシェ914-6に乗っており、ダメ元で譲って欲しいと頼んでみたところOKとのこと。晴れて2021年にこのポルシェ914-6のオーナーになったのだそうだ。

1969年に生産が開始された登場したポルシェ914は、エントリーモデルとして価格を低く抑えることを目的に、ポルシェが設計を行いVWのパーツを流用したモデル。ミッドに搭載されたエンジンは、VW製の水平対向4気筒1.7Lの他、ポルシェ911Tの水平対向6気筒2Lエンジンも用意されていた。これが松本さんの所有する、914-6だ。トランスミッションは4気筒と同様の5速MTが搭載されたが、足周りの見直し、ブレーキディスクの大型化、5穴のホイールハブ装着など、4気筒モデルとは異なる装備が与えられていた。

「音も吹け上がりも全く別物」911T譲りのエンジンと“世界一難しいシフト”

自身初のポルシェ製水平対向6気筒搭載モデルを手に入れた松本さんだが、それまで所有してきたVW製4気筒モデルとは、フィーリングなどは異なっていたのだろうか。

「全然違いますね。やっぱり、全く別物です。もう音がポルシェですし、吹け上がりが全然違います。車体も軽いのでハンドリングも良くて、運転していて楽しいんで、ついつい飛ばしちゃいますね。ただこれ、シフトが世界一難しいクルマって言われていて、4速に入れてるつもりが2速に入ってたりとか、どこに入ってるかわからない時があるんですよ」

あえて純正の2Lへ戻す決断 。シートやボディカラーも「オリジナル」を目指して

手に入れた当時から914-6はすでに仕上がった状態で、オルタネーターの交換や点火系にMSDをセットするなどの変更を行った以外、これまで大きなトラブルでのメンテナンスはないそうだ。ただし1点だけ、自身の意思で大きな変更を行った部分があるという。それは914-6の最大の特徴である、水平対向6気筒エンジンだ。

「エンジンがボアアップされていたんですけど、2Lに戻しています。やっぱり2Lということに、価値があるじゃないですか。それ以外も“オリジナルに戻したい”っていう思いがあるんですね。オリジナルではシートの助手席が一体になってるんですが、このクルマには高年式の914用のセパレートシートが付いてるので、それを戻したいと思っています。後はボディカラーですね。今のネイビーブルーはオールペンされた色なんですよ。元々は多分オレンジだったと思うので、機会があったら塗り直したいですね」

「意外とポルシェに乗ってる人でも、6気筒の914の存在を知らない人が結構多いんですよね。“お前ら4気筒のワーゲンちゃうんか”みたいな。なので914-6がもっと人気が出てくれればいいなと思いますね」

【画像10枚】VWとポルシェのダブルエンブレム 。フラット6を積んだ希少な「ポルシェ914-6」の全貌を見る

■「EXCITING PORSCHE」の記事一覧はコチラ

フォト=近藤浩之/H. Kondoh
遠藤イヅル

AUTHOR

1971年生まれ。東京都在住。小さい頃からカーデザイナーに憧れ、文系大学を卒業するもカーデザイン専門学校に再入学。自動車メーカー系レース部門の会社でカーデザイナー/モデラーとして勤務。その後数社でデザイナー/ディレクターとして働き、独立してイラストレーター/ライターとなった。現在自動車雑誌、男性誌などで多数連載を持つ。イラストは基本的にアナログで、デザイナー時代に愛用したコピックマーカーを用いる。自動車全般に膨大な知識を持つが、中でも大衆車、実用車、商用車を好み、フランス車には特に詳しい。

注目の記事
注目の記事

RANKING