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【MINI】車体が巨大サウンドシステムに。「カントリーマン」のワンオフが提示する規格外の「遊び心」

Vagabund(ヴァガブント)と共同で開発したMINIカントリーマンのワンオフモデル

旅する巨大スピーカー。フェス文化を体現した2台の異端児

MINIは2026年4月15日、オーストリアのデザインスタジオ「Vagabund(ヴァガブント)」と共同で開発した「MINIカントリーマン」のワンオフモデル2台を発表した。アドベンチャー精神やコミュニティカルチャー、そしてフェス文化を体現したこの特別なモデルは、単なる移動手段を超え、クルマ自体が巨大なサウンドシステムとして機能するという斬新なアプローチを採用している。カスタマイズの可能性を極限まで引き出した、MINIの新たな挑戦の全貌に迫る。

【画像60枚】後部窓がスピーカーに? 花崗岩製ハウジングから3Dプリント製カバーまで、音に魂を売った造形をチェック

カスタマイズの伝統を拡張するクリエイティビティ

MINIが長年にわたって大切にしてきたコアバリューのひとつに、個々の車両のカスタマイズ性がある。今回、オーストリアを拠点とするデザインスタジオ「Vagabund(ヴァガブント)」とのコラボレーションにより、その伝統は新たな領域へと足を踏み入れた。ベース車両に選ばれたのはMINIカントリーマンであり、フェス・カルチャーや音楽からインスピレーションを得た大胆な再解釈が施されている。

MINIブランドの責任者であるジャン・フィリップ・パラン氏は、熱心なコミュニティを通じてこのアイデアに生命が吹き込まれたと語る。また、Vagabundのクリエイティブ責任者であるパウル・ブラウヒャルト氏は、デザインは単なる物体からではなくその背後にあるアイデアから始まり、それが触れられる形になった時に初めて完成すると述べている。MINIがベースとなるプラットフォームを提供し、Vagabundが独自のクリエイティビティを注入することで、カントリーマンの持つ多用途性と開放感が全く新しい形で表現されることとなった。

陽のシルバーと陰のブラック。2台で完結する視覚的仕掛け

今回制作された2台のワンオフモデルは、それぞれが強い個性と明確なキャラクターを持っている。一台はメルティング・シルバーを基調とし、砂色とホワイトのエクステリアディテールが施されている。これにより、遊び心に溢れ、グラフィカルで軽快な印象を与える仕上がりとなっている。それに対して、もう一台のミッドナイト・ブラックのモデルは、全体をモノクロームで統一することで、緻密でテクニカルな雰囲気を醸し出している。

この明確なコントラストは意図的に作り出されたものであり、2台が同時に体験されて初めて、その全体像やデザインの意図が完全に浮かび上がるという仕掛けだ。MINIデザイン責任者のホルガー・ハンプ氏は、MINIのデザインが常に強いキャラクターを持ち、ライフスタイルと機能性、そして楽しさが融合したものであると強調しており、この2台の車両を通じて技術的な職人技と細部へのこだわりを改めて証明することができたと語っている。

ホイールからルーフラックまで。全身で「音響」を体現した造形

エクステリアの変更点は多岐にわたり、単なる見た目のカスタマイズにとどまらない。まず目を引くのが、再設計されたホイールアーチによる視覚的にワイドなスタンスだ。フロントバンパーにはアタッチメントが追加され、フェンダーとオリジナルのフロントエプロンを調和させており、それに合わせてラジエターグリルも変更を受けている。サイドシルには立体的な要素として「VAGABUND」のレタリングが堂々と統合された。

ベースとなった「MINIカントリーマン S ALL4」のオフロード特性をさらに強調するため、車高も意図的に引き上げられている。足元には20インチのホイールが装着されており、3Dプリントされた意図的に閉じられたデザインのホイールカバーが採用された。これは力強い見た目を演出するだけでなく、スピーカーを視覚的に連想させるという明確な意図を持っている。

さらに、ルーフラックはレーザーカットされて折り曲げられた3枚のアルミニウムプレートと、開放面としてのステンレススチール製メッシュで構成されている。この構造もまたスピーカーカバーのデザイン言語を引用したものであり、ルーフからサイドプロファイル、そして車両全体のデザインへとつながる不可欠な要素として機能している。

後部窓を撤去し花崗岩スピーカーへ。最新設計に潜むアナログの皮肉

このモデルの最大のハイライトは、車両そのものが「サウンドシステム」として機能するという大胆なアイデアにある。後部のサイドウィンドウは完全に取り外され、コミュニティイベントや屋外でのサウンドプロジェクションを念頭に置いて特別に開発された音響システムへと置き換えられた。

その中心となるのは、正確で混じりけのない音を再生するための理想的な条件を備えた、鋳造ポリマー花崗岩製の新開発スピーカーハウジングだ。ツイーターとミッドレンジスピーカーはボディに直接組み込まれており、テールゲートを開けると、後部に追加されたサブウーファーがパワフルな重低音を響かせる。

それぞれの車両は単独のサウンドシステムとして機能するが、2台が合わさることで移動式のステージとなり、圧倒的な没入感をもたらすオーディオ体験を創出する。さらに車両の反対側には、MINIらしいユーモアのセンスを感じさせる特別なディテールが潜んでいる。3Dプリントされたハウジングに、象徴的な「ウォークマン」が内蔵されているのだ。このパーソナルでアナログなノスタルジーと、最新の設計手法との組み合わせは、オープンで大音量の外部サウンドシステムに対する意図的なコントラストを生み出し、コンセプト全体の実験的な性質を強調している。

北京で初公開 。ショーカーの枠を超え、実際の「現場」へ

Vagabundの視覚的な変革能力を通じて、MINIカントリーマンは単なるクルマから、人々の出会いと文化交流のための移動式プラットフォームへと昇華した。MINIとVagabundは、慣習にとらわれない個性や、過度な装飾を排した職人技、そして距離を置くのではなくコミュニティを大切にするという共通のアプローチを共有している。このコラボレーションは、MINIの歴史的なカスタマイズへのこだわりが、大胆なデザインや音楽などの文化的なテーマ、そして高いレベルのクラフトマンシップと結びつくことで、どのように未来へと受け継がれていくのかを示している。

なお、この2台のワンオフモデルはあくまでショーカーであり販売の予定はないが、うち1台は4月24日~5月3日に北京で開催される「Auto China 2026(北京国際自動車展覧会)」にて初めて一般公開される予定とのこと。モーターショーでのワールドプレミアを果たした後は、彼らのコミュニティ主導のアプローチに忠実に従い、様々なプラットフォームを通じて、より人々の身近な場所で実際に稼働する姿が披露される予定だ。

【ル・ボラン編集部より】

3代目へと進化したMINIカントリーマンは、史上最大のボディと洗練された動的質感を獲得し、実用的なSUVへと成長した。しかし今回のVagabundとのコラボレーションは、その優等生的な側面に強烈な揺さぶりをかける。後部の窓を完全に取り外して特別開発の音響システムへと置き換え、あえてアナログなウォークマンを内蔵させるという手法は極めて非合理的だ。だが、この矛盾こそがMINIの真骨頂である。いかにクルマが大型化しようとも、根底には常にフェス・カルチャーが流れていることを、この移動式ステージは突きつけてくるのだ。

【画像60枚】後部窓がスピーカーに? 花崗岩製ハウジングから3Dプリント製カバーまで、音に魂を売った造形をチェック

※この記事は、一部でAI(人工知能)を資料の翻訳・整理、および作文の補助として活用し、当編集部が独自の視点と経験に基づき加筆・修正したものです。最終的な編集責任は当編集部にあります。

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