














































最強・最速を目指す「RE-71 RZ」への進化
サーキットでのラップタイム向上に主眼を置いたストリートラジアル。このジャンルで最強・最速を目指すポテンザ RE-71シリーズが、最新世代「RZ」へと進化。これをクローズドコースで試乗する機会を得た。
【画像47枚】最速ストリートラジアルが5年ぶりの進化!新型ポテンザ「RE-71 RZ」の詳細を見る
さてこの手のハイグリップタイヤが次世代モデルへと移行するとき、ドライ性能が向上するのは、いわば「お約束」だ。しかしながら今回筆者はこの「REー71 RZ」に試乗して、単なる速さ以上の魅力を感じ取った。これは、「走りを学べるタイヤ」だ。しかも、とても楽しく。
改めてその概要をおさらいすると、REー71 RZは「REー71 RS」の後継モデルだ。その発表は2025年の12月で、RSのデビューは2020年の1月だったから、およそ5年ぶりのフルモデルチェンジとなる。
ポテンザにおける立ち位置としては、「リアルスポーツ」。プレミアムスポーツとしては「S007A」、カジュアルスポーツとしては同じくモデルチェンジした「Adrenalin RE005」がラインナップされている。ちなみにポテンザには「RE-12D TYPE A」(タイムアタック/ジムカーナ向け)や「RE-10D」(サーキットレース向け)、「RE-11S」(ジムカーナ向け)、「RE461R Kai TYPE A」(ラリー向け)といったスポーツタイヤが存在する。これらはより競技に特化したタイヤだが、RE-71 RZはサーキット走行に主眼を置きつつも、一般公道での使用を前提としている。
新旧比較テスト:GR86×筑波サーキット・コース1000
ということで、さっそく走りだそう。今回ブリヂストンが用意したテストフィールドは、筑波サーキット「コース1000」。1周1km強のミニサーキットであり、前回REー71 RSのテストドライブが開かれたのと同じコースだ。
よって、テスト方法も同じだ。まずは先代モデル(今回はRE-71 RS)を履いてコースを走り、そのあと新作(RE-71 RZ)と乗り比べて、タイムの推移と性能の違いを把握する。車両はGRカローラやGRヤリスも用意されていたが、ル・ボランとしてはGR86を選んだ。
まず比較対象となった先代RE-71 RSだが、相変わらずグリップ力の高いタイヤだった。筆者はこれを愛車に履かせていた経験があったから、アウトラップもほどほどに、計測1周目からアタックを開始した。
果たしてそのタイムは、計測1周目が41秒871、2周目が41秒594(ベスト)、3周目が41秒961という結果となった。走行中、不運にもシフトノブが緩むアクシデントに見舞われてしまったが、初見のクルマを走らせるマージンを考慮すれば、各ラップの推移と落ち幅は想定内だ。
驚異のタイム短縮と「学べる」コントロール性
インターバルを経て走らせた「RE-71 RZ」も、計測1周目からのアタックとした。タイムは1周目が40秒843(ベスト)、2周目が41秒094、3周目が41秒014という結果となった。ただ1周目は最終コーナーの立ち上がりで、大きくオーバーステアを出してしまったから、コンマ2秒以上失ったと思う。むしろ2周目以降は挙動が安定したから、オイシイところを使うには繊細な技術が必要だ。新旧単純比較でも、0.723秒の短縮。上級者であればRE-71 RZを履くことで、コース1000なら0.5秒のアドバンテージを得られるだろう。
ちなみにプロドライバーがGR86をコース2000で走らせたラップタイムは、先代比で1.2%の短縮を果たしている(※)。
※平均ラップタイムは0.9%短縮。タイヤサイズは265/35R18 97W XL/空気圧200kPa
剛性アップと新コンパウンドがもたらす恩恵
タイム差にも増して、特筆したいのは扱いやすさだ。計測1周目からアタックできる感覚は、RE-71 RSよりもさらに高い。体感的にはタイヤ全体の剛性が上がった印象で、手応えが明瞭。チャレンジングな1コーナーのブレーキングでも奥まで攻めることができ(ドライ制動は5%短縮)、その感触から次のヘアピン、インフィールドのきつい左コーナーにも自信を持ってアプローチできた。ただし、攻めすぎは注意だ。
そしてこうしたハンドリングの確かさは、技術的に見ると「スリックショルダーブロック」や「ローアングルグルーブ」の採用、排水用ストレートグルーブのイン側配置といった、アウト側ブロックの剛性アップによって得られたのだと思われる。また、温まりも予想以上に早かった。午後の路面温度が少し上がっていたことも考えれば、アウトラップでのウェービングすら、ほどほどで良かったかもしれない。
技術的にはグリップ向上剤の追加によって新しくなったコンパウンド、「RZ High Grip ゴム」が路面に食い込み発熱性を高めているのだという。また高強度ポリマーを配合することで、RE-71 RSでは懸案だった摩耗を抑制している。
RE-71 RZとなってコンパウンド性能が上がっているにもかかわらず、タイヤがしっかりしていて、コントロール性が高いのもいい。リアが滑り出してもそれを、「失敗した!」と感じ取って、対処できるだけの穏やかな過渡特性にはとても驚かされた。
タイムの推移が安定していたのも、我々アマチュアにとっては嬉しいポイントだ。トライアンドエラーの効果がわかりやすいから、一発を出し終えた後でもタイヤを使い切ることができる。
そしてWETサーキットにおけるラップタイムの短縮(※2)や、制動距離の短縮(9%)も、サーキットまでタイヤを履いて自走するユーザーにとっては有益な進化だ。
総じてポテンザ RE-71 RZは、単なるドライグリップ性能の向上だけでなく、タイヤとしての懐深さをも備えて正常進化を果たしたタイヤになったと言えそう。たった3周の試乗ではまだまだ引き出しきれない真価もあるはずだが、第一印象は「楽しみながらスポーツドライビングを学べるタイヤ」だと思えた。
※2 最速ラップタイム1.1%、平均ラップタイム2.3%短縮
カジュアルスポーツ「Adrenalin RE-005」も新登場
当日は、ポテンザ Adrenalin RE-004の後継モデルとして登場した「RE-005」にも試乗することができた。そのポジショニングは前述した通り、「カジュアルスポーツ」。普段はクルマを日常の足として常用しながら、休日に高速道路やワインディングで「気持ち良く走りたい」というユーザーに向けて作られたスポーティタイヤだ。
一方でそのトータルパフォーマンスの高さから、先代RE-004はロードスター「パーティレース」のコントロールタイヤにも採用されており、サーキット走行をもこなせるタイヤだというのはよく知られた事実だ。絶対的なグリップ性能は控えめながら、低い速度域でクルマのコントロールが学べるタイヤとして認知されている。そんなアドレナリンを、まずはTC1000の駐車場に作られた特設コースで新旧乗り比べた。
時速30km/hほどの低速域でも、その差は歴然。RE-005は操舵に対するレスポンスが早いだけでなく、リアタイヤの追従性が明らかに良い。だから連続するスラロームでは応答遅れを見越してハンドルを切る必要が少なくなり、とても素直に走ることができた。RE-004には限界の低さと、滑り出してからのコントロールを学ぶことに価値を置いてきたが、この操縦性の高さが加われば、さらに楽しく走りを学べそうだ。こうしたレスポンスの良さには、コーナリング時の横力に対して接地圧を最適化する「Aシェイプグルーブ」が効果を発揮しているという。
またシリカとポリマーを最適配合する「Adrenalin Gripゴム」の採用で、ドライのみならずウェットグリップを向上。サーキットレベルの荷重領域だとRE-004のウェットグリップはかなり心許なかったから、パーティレース参加者にとってもこれは朗報だと言えるのではないか。
トコトン走り倒せる「ハラパンスポーツ」
ただ一般道での乗り心地は、はっきり言って硬めだ。特に筑波サーキット周辺の荒れた路面だと、転がり抵抗低減の意味もあるかもしれないが、縦バネの強さが乗り味に大きく現れ、可変ダンピングシステムを持つゴルフGTIでも、突き上げ感が高かった。
だから乗り心地も大事にするなら、「S007A」をお勧めする。しかし沢山走って、運転技術も学びたいなら、価格も良く抑えられたRE-005がベストだ。RE-004を使い続けている筆者の肌感覚から言うと、それ以上にRE-005の耐摩耗性は上がっているとのことだから、これまでにも増して、トコトン走り倒せると思う。そういう意味で言うと新しくなったRE-005は、「カジュアルスポーツ」というより「ハラパンスポーツ」だ。お腹いっぱいになるまで走っていただきたい。
【画像47枚】最速ストリートラジアルが5年ぶりの進化!新型ポテンザ「RE-71 RZ」の詳細を見る