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英国とドイツを代表する高級ハイパフォーマンスSUV、ディフェンダー OCTAブラックとメルセデスAMG G63。最先端テクノロジーで常識を覆す新鋭と、伝統的なメカニズムを熟成させた究極の存在。道なき道を征く「対極的アプローチ」を持った2台を連れ出し、その走りとポテンシャル、そして独自のキャラクターを徹底検証する。
【画像38枚】道なき道を征く対極のアプローチ。ディフェンダー OCTAとAMG G63のディテールを写真で徹底比較
クロカン4WDの頂点に君臨する2台。それぞれの歴史と転換点
メルセデス・ベンツGクラスにディフェンダーといえば、クロカン4WD界のビッグネームとして押しも押されもせぬ存在。悪路走破性、耐久性、そしてブランド性の3点でこの2台を上回るモデルはほかにない。
その歴史的な歩みを見ても、共通点は少なくない。デビュー年こそディフェンダー(当初の名称はランドローバー)が1948年、Gクラスは1979年とやや開きがあるが、フレームを備えたボディに前後リジッドアクスルを組み合わせたクロカン4WDの基本形、そして副変速機やデフロックを搭載して悪路走破性を高めた成り立ちに変わりはなかった。その後、両モデルは時代にあわせて進化していったものの、基本構成をほぼ変えることなく2010年代を迎えた。
ここで2台に決定的な転機が訪れる。Gクラスは2018年に、ディフェンダーは2019年に、それぞれのアイデンティティに関わるようなモデルチェンジが実施されたのだ。
まず、Gクラスはリアをリジッドアクスルのままフロントサスペンションは独立懸架のダブルウィッシュボーン式に変更。これだけでもクロカン4WD界隈は騒然となったのに、ディフェンダーはこれをはるかに上回る規模のモデルチェンジを断行したのだ。たとえばサスペンションを前後ともに独立懸架式としただけでなく、ボディはフレームを持たないモノコック式に一新。さらに、従来はクロカン4WDの禁じ手とされてきたエアサスペンションや電子制御式4WDシステムまで装備したのである。
そうした思想の違いが2台のキャラクターにどのような影響を与えたかを確認するため、私たちはGクラスとディフェンダーを乗り比べるショートトリップに出かけることにした。
常識を覆すディフェンダー OCTA。魔法の足回りが生む驚異の走破性
まず、ディフェンダーを代表するモデルとして登場を願ったのは、フラッグシップモデルのディフェンダー OCTA(オクタ)、それも2026年モデルから追加された「OCTA ブラック」と呼ばれる新グレードである。もっとも、このグレードの専用装備はナルヴィックブラックと呼ばれるボディカラーなどのコスメティック中心で、機能部品自体は標準のOCTAと変わらないと考えていただいていいだろう。
走り始めて最初に感じたのは「OCTAのタイヤって、こんなに硬かったっけ?」というもの。意外に思って過去の試乗車を確認したところ、いずれも20インチのオフロード用タイヤを装着していたことが判明した。これに対して今回の試乗車は、無償オプションの22インチ・ホイールとミシュランのオールシーズンタイヤを組み合わせたものを履いていた。少しゴツゴツした印象を与えるのはやむを得ないところだろう。
しかし、OCTAのしなやかでホイールストロークの長いサスペンションが、その弱点を補って余りあるほどのメリットをもたらす。大きな窪みにホイールを落としたときでさえ、バネ下がスムーズにストロークして衝撃を遮断するだけでなく、ボディを優しくフラットな姿勢に支え続ける。
これは、ディフェンダーのなかでもOCTAにだけ与えられた「6Dダイナミクスエアサスペンション」の効果といって間違いない。サスペンションダンパーの油圧回路を互いに関連付けることで、アンチロールバーがなくともボディを自然と水平な姿勢に保つ6Dダイナミクスエアサスペンションは、オンロード走行でもオフロード走行でも理想的な特性を発揮する魔法の足回り。
今回も、オンロード向けSUVと見紛うばかりの快適な乗り心地を披露し、4輪独立懸架とエアサスペンションのメリットを最大限、発揮したのである。
「オンロード志向は悪路に弱い」という既成概念を打ち破るOCTA
ハンドリングも極めて正確。ワインディングロードでは少しブレーキを残し気味にしてコーナーに進入すれば、フルサイズSUVであることがウソのように俊敏で緻密なステアリングレスポンスを発揮する。ここでもまたオンロード由来のシャシー技術が目映いばかりの輝きを放った格好だ。
では、ディフェンダーがオフロード走行を苦手としているかといえば、決してそんなことはない。私はOCTAの国際試乗会で南アフリカの大地を激走。そのなかには、130km/hでダート路を駆け抜けるコースや「どう考えても這い上がれるはずがない」と思える岩場の急坂などが含まれていたが、そのいずれも見事に走破してみせた。しかも、南アフリカの国際試乗会では会期中、本格的なメンテナンスを一切行わなかったのに1台もトラブルを起こすことがなかったという。
「オンロード向け技術はオフロードで弱い」という既成概念は、もう捨て去ってもいいような気がする。

ディフェンダーOCTAブラック:OCTAモードとは、ステアリングのOCTAボタンを長押しすると起動する、ディフェンダー初の高速オフロードモード。サスペンションの油圧制御を変化させて各車輪のストロークを最大化し、過酷な凹凸路面でもタイヤが大地を確実に捉える。さらに専用のローンチコントロールやABS設定で、滑りやすい路面でも最適な加速力と制動力をもたらす。
現代流に熟成されたアナログの魅力。絶対王者AMG G63の矜持
いっぽう、伝統的なオフロード技術を現代流に進化させたという意味ではGクラスにも目を見張らされるものがあった。
こちらもハイパフォーマンスなメルセデスAMG G63に試乗したが、ハーシュネスが良好な点はとてもバネ下が重いリア・リジッドアクスルとは思えないほど。ハンドリングの正確さも決して悪くなかったが、コーナリング時にはやはり微妙な遅れを感じてしまう。それ自体は軽症だが、一体感や爽快感を削いでしまうという意味では致命的な影響を及ぼす。
乗り心地も、微低速の滑らかさはむしろディフェンダー OCTAをしのぐくらい良好だったが、30km/hを超えるとバネ下が常にゴトゴトと暴れている印象を与える。こちらもごく軽微な弱点ではあるけれど、気になり始めると常に苦痛に感じられるタイプだ。
オフロード走行時のデフロックなどを自動で設定してくれるOCTAに対して、G63は3個のデフをマニュアルでロックするという無骨さ。これは、もはやいい悪いの問題ではない。

メルセデスAMG G63:オフロードコクピットとは、G63のディスプレイ上に用意された悪路走行時の専用画面。高度や傾斜、操舵角といった各種情報のほか、3つのデフロックの作動状況などを図解で表示する。さらにスイッチ操作でセンター、リア、フロントの順にデフロックが可能で、一輪しか駆動力が伝達できない急勾配や過酷な地形での走行も確実にサポートしてくれる。
革新技術で時代の最先端を突き進むディフェンダー OCTAと、あくまでも伝統技術を守り続けるメルセデスAMG G63。どちらを選ぶかは、オーナーとなるアナタ自身の生き方を反映しているといってもいいだろう。
【画像38枚】道なき道を征く対極のアプローチ。ディフェンダー OCTAとAMG G63のディテールを写真で徹底比較
【SPECIFICATION】DEFENDER OCTA BLACK P635
ディフェンダー オクタ ブラック P635
■車両本体価格(税込)=23,870,000円~
■全長×全幅×全高=4940×2065×2000 mm
■ホイールベース=3020mm
■車両重量=2610kg
■エンジン種類/排気量=V8 DOHC+ツインターボ/4394cc
■エンジン最高出力=635ps(467kW)/6000-7000rpm
■エンジン最大トルク=750Nm(76.5kg-m)/1800-5855rpm
■モーター最高出力=19ps(14kW)/800-2000rpm
■モーター最大トルク=200Nm(20.4kg-m)
■トランスミッション=8速AT
■サスペンション(F:R)=ダブルウィッシュボーン/エア:マルチリンク/エア
■ブレーキ(F&R)=Vディスク
■タイヤサイズ(F&R)=275/60R20
■問い合わせ先=ランドローバーコール 0120-18-5568
■モデル公式ウェブサイト=https://www.landrover.co.jp/defender/defender-octa
【SPECIFICATION】MERCEDES-AMG G63(ISG)
メルセデスAMG G63(ISG)
■車両本体価格(税込)=28,620,000円
■全長×全幅×全高=4690×1985×1985mm
■ホイールベース=2890mm
■車両重量=2570kg
■エンジン種類/排気量=V8 DOHC+ツインターボ/3982cc
■エンジン最高出力=585ps(430kW)/6000rpm
■エンジン最大トルク=850Nm(86.7kg-m)/2500-3500rpm
■モーター最高出力=20ps(15kW)/2500rpm
■モーター最大トルク=208Nm(21.2kg-m)
■トランスミッション=9速AT
■サスペンション(F:R)=ダブルウィッシュボーン/コイル:リジッドアクスル/コイル
■ブレーキ(F&R)=Vディスク
■タイヤサイズ(F&R)=275/50R20
■問い合わせ先=メルセデス・ベンツ日本 0120-190-610
■モデル公式ウェブサイト=https://www.mercedes-benz.co.jp/passengercars/models/suv/g-class/amg.html












