ベントレー初の完全EV「トルカル」がニューヨークで初公開
ベントレーモーターズは、ブランド初となる完全電気自動車(BEV)の新型モデル「トルカル」をニューヨークで初公開した。自動車文化を発信するプラットフォーム「CART Department」で開催されたイベントでは、英国人アーティストが手掛けた「フライング・スパー」のアートカーも米国で初披露された。「光」を共通のテーマに掲げる2台が共演し、ベントレーが描く電動化の未来と現代アートの融合を提示している。
【画像5枚】NYの「CART Department」で初公開!ベントレー初のEV「トルカル」とアートカーの共演を見る
イルミネーションが輝く初の完全EV「トルカル」
ロンドンとロサンゼルスでの発表を経て、ニューヨークのウエストビレッジに姿を現したのは「トルカル S ファーストエディション」である。シークイン・ブルーの鮮やかなボディをまとったこのモデルは、英国クルー本社で開発から製造まで一貫して行われた、ベントレーにとって初の市販EVとなる記念すべき一台だ。
最大の特徴は、光そのものを彫刻的な表現媒体として活用している点にある。1920年代からワイヤーメッシュグリルやシートのステッチとして親しまれてきたブランドの象徴「ベントレー・ダイヤモンド」を新時代に向けて再解釈し、印象的なイルミネーション付きのダイヤモンドグリルを採用した。単なる機能的役割にとどまらず、最先端技術と伝統的なクラフトマンシップを見事に融合させている。
暗闇で表情を変える「フライングスパー・アートカー」
会場にはもう一台、全く異なるアプローチで光を表現した「フライングスパー・アートカー」も米国でのデビューを飾り展示された。手掛けたのは、「デス・スプレイ」の名で知られ、モータースポーツの世界から強い影響を受けている英国人アーティストのデビッド・グウィサーである。彼はこれまでにも数々の有名なレーシングカーのカラーリングを担当してきた実績を持つ。
今回のアートカーでは、蓄光塗料を用いた革新的な手法が採用されている。深みのある黒のベースコートの上に手作業で複雑なマスキングを施し、白や青、緑、紫に発光する特注の顔料が重ねられた。日中は目を引く高コントラストでグラフィカルな外観を見せる一方、夜間には自ら発光するキャンバスへと変化するという、二重のアイデンティティを持った仕上がりとなっている。イベント当日は、グウィサー本人によるライブ制作も実施され、リアルタイムでアートワークが完成していく様子が披露された。
自動車デザインと現代アートが交差する一夜
この展示イベントは、自動車を単なる移動手段ではなく、アイデンティティや文化を表現する芸術的な媒体として捉える「CART Department」との協力によって実現した。会場では、アーティストのグウィサーや同団体創設者のラリー・ウォッシュ、さらにはポップカルチャー評論家のカルロ・マコーミックを交えたトークセッションも行われている。
光をテーマにした対照的な2台の展示は、ベントレーが目指すラグジュアリーの新たなビジョンを示すものだ。最先端の素材科学と職人の手作業による芸術性を掛け合わせることで、自動車デザインと現代アートの間に新たな対話を生み出すことに成功している。電動化という変革期においても、ベントレーの妥協なき美学と卓越した技術が息づいていることを証明する一夜となった。
【ル・ボラン編集部より】
伝統のダイヤモンドグリルに最先端の光を宿した初のBEV「トルカル」。1920年代の意匠をデジタル技術で再解釈するアプローチには、温故知新を極める英国名門の矜持が滲む。すでに最新世代のPHEVモデルにおいて、重量増を逆手に取った前後重量配分の適正化により、巨躯を忘れさせる軽快な回頭性と極上のフラットライドを見事に両立させてきたベントレーである。完全電動化を果たしたこの新型車もまた、静謐な空間とドライバーズカーとしての濃密な対話を高次元で融合させているに違いない。
【画像5枚】NYの「CART Department」で初公開!ベントレー初のEV「トルカル」とアートカーの共演を見る







