




























ロータス初のPHEV「エレトレX」の詳細スペックが判明
ロータスは2026年10月22日、ブランド初のプラグインハイブリッド(PHEV)ハイパーSUV「エレトレX」を欧州本土で発売し、その詳細な技術仕様を公開した。すでに同年6月に概要が発表されていた同モデルだが、今回の発表では独自の「X-Hybrid」システムの具体的な駆動制御ロジックや、WLTP認証に基づく確定スペック、さらに右ハンドル仕様の導入時期など、その全貌が明らかになった。
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車速85km/hを境にシリーズとパラレルを緻密に使い分ける「X-Hybrid」の制御ロジック
ロータスの「Focus 2030」戦略におけるマルチパワートレインアプローチの要となるエレトレXは、欧州市場で初となる独自の「X-Hybrid」アーキテクチャを採用している。今回新たに判明したのは、その緻密な駆動制御のメカニズムだ。このシステムは70kWhの容量を持つ900V・11C高放電バッテリーと、フロント310kW(422ps)、リア390kW(530ps)の最高出力を発生するデュアル永久磁石モーター、そして出力150kWの車載発電機を駆動する排気量1974ccの2.0Lターボエンジンで構成されている。
特筆すべきは、エンジンが単なる発電機にとどまらない点だ。車速が85km/h未満の領域では、電気モーターのみが車輪を駆動するシリーズ方式として機能する。シングルスピード・トランスミッションの採用により変速ショックやタイムラグは一切なく、純粋な電気自動車(BEV)そのものの走行感覚を提供する。一方で、内燃機関の効率が最も高まる85km/h以上の高速域では、エンジンが発電を行うだけでなく、直接フロントアクスルを駆動するパラレル方式としても機能する仕組みとなっている。
さらに走行中のエネルギー回生だけに頼らず、高速巡航中であっても150kWの車載発電機が継続的にバッテリーへ電力を補充するため、バッテリー残量が10%の状態であっても0-100km/h加速3.5秒というパフォーマンスを維持できる。ドライバーは静音・ゼロエミッションの「Pure EV」、バッテリーを優先使用する日常向けの「EV Priority」、そして目的地到着後のために任意のバッテリー残量を温存できる「Hybrid」という3つのパワーモードからエネルギーの使い分けを選択可能だ。
最高出力952psと最大120kgの軽量化を実現。「ロータスDNA」を体現する確定スペックとシャシー性能
欧州での発売に伴い、WLTP基準による正式な認証数値や詳細な車両諸元も公開された。電気のみでのEV航続距離は最大305km(H550は300km、H1000は305km)となり、52Lの燃料タンクと組み合わせた総合航続距離は最大1200kmに達する。充電性能も極めて高く、最大436kWのDC急速充電に対応し、450kWの充電器を使用すれば約9分でバッテリー残量20%から80%までの充電が完了する。11kWのAC普通充電では7.2時間で0%から100%まで充電可能だ。また、最大6.0kWの外部給電(V2L)機能や最大2250kgの牽引能力も備えており、全長5103mm×全幅2019mm×全高1636mm、ホイールベース3019mmという堂々たる体躯ながら、最小回転半径は5.9mに抑えられ実用性も確保されている。
ラインナップは2種類で、エントリーモデルの「エレトレX H550」は最高出力405kW(550ps)、最大トルク935Nmを発生し、車両重量は2550kg、0-100km/h加速は4.9秒、最高速度は210km/hとなる。フラッグシップの「エレトレX H1000」は最高出力700kW(952ps)、最大トルク935Nmを発揮し、車両重量は2615kg、0-100km/h加速は3.3秒、0-200km/h加速は11秒、最高速度は230km/hに達する。ボディフレームや電動ドライブシステム、バッテリーベースプレートの軽量化により、BEV版の「エレトレ900」と比較して最大120kgの軽量化を果たした。
足回りにはフロントにダブルウィッシュボーン、リアにマルチリンクサスペンションを採用し、5段階・最大75mmの車高調整が可能なデュアルチャンバー・エアサスペンションと、最短2ミリ秒で応答するデュアルバルブ・アダプティブ・ダンパーを組み合わせる。さらにH1000には、10ミリ秒で応答し最大1400Nmのトルクで1Gあたりのロール角を1.5度未満に抑える48Vアクティブ・アンチロール・コントロールや、412mmのスリットローターを備えたブレンボ製6ピストンフロントブレーキが搭載され、100-0km/h制動距離は33.9mという優れたストッピングパワーを実現している。
タイヤは専用開発のピレリ「P Zero 5 LTS」が装着される。空力面でもアクティブグリルシャッターや、Aeroモード時に空気抵抗を2.7%削減しブレーキ時には最大120kgのダウンフォースを生む4ポジションのアクティブリアスポイラーが採用されている。
進化したデジタル体験と約9万6990ユーロからの欧州価格。日本導入の鍵を握る右ハンドルは2027年夏へ
エクステリアは前後のスタイリングやエアインテークが刷新され、インテリアには新色のシトリン・イエローとマラカイト・グリーンが追加された。室内にはUnreal Engine上で動作する15.1インチのmini-LEDディスプレイや助手席・後席用タッチスクリーン、出力2160W・23スピーカーのKEFオーディオシステムを装備する。最新の「Lotus Hyper OS」ではAndroidデジタルキーの対応拡大や、寒冷時の充電を最適化する手動バッテリープレヒーティング機能が追加されたほか、展開式LiDARや7つのHDカメラ、4Dレーダーなど計30個のセンサーとNVIDIA Thorコンピューティングによる高度な運転支援システムも搭載されている。
エレトレXは現在、ドイツやフランス、イタリアなど欧州本土の主要市場で販売が開始されており、ドイツでの価格はH550が9万6990ユーロ、H1000が11万9990ユーロに設定されている。また、英国市場向けの納車については、右ハンドル仕様の型式認証(ホモロゲーション)を経て2027年夏に開始される予定であることが新たに明かされた。これにより、同じく右ハンドル圏である日本市場への展開に向けた具体的なタイムラインも見えてきたといえる。
【ル・ボラン編集部より】
過去のBEV版「エレトレ」の試乗では、2.6トン超の巨体を感じさせない意のままの操縦性が、新世代ロータスの底力を痛感せしめた。今回のPHEV化は単なる市場への現実的妥協ではない。1200kmに及ぶ航続距離の安心感を得ながら、大容量バッテリーから小型ユニットへの換装等によってBEV版比で最大120kgもの軽量化を果たした点にこそ、創業者チャップマン以来の哲学が宿る。車速85km/hを境にEVの滑らかさと内燃機関の効率を緻密に使い分ける制御は、長距離ツアラーとしての懐の深さと、物理法則に挑む俊敏なハンドリングを高次元で両立させるための必然の選択なのだ。
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