このジムニーJA22が力量を発揮するのはクロカンステージだ
失礼ながらACRのJA22の1G状態の停車姿勢を見ると、確かに余裕なロードクリアランスを確保しているものの、驚くほどの走破能力は期待できなかった。なにせ平成9年製の古参車両だ。コクピットのヤツレ感も中々のもので、逆の意味で凄みを感じる。が、オンロードを少し走らせてみると、見た目と異なる、新しい考えのサスペンション能力の片鱗を見ることができる。若干、エンジンパワーの不足を感じるが、それも245/75R16の大径タイヤによる抵抗の大きさに起因するものと理解できる。そうしたことで、走り出しこそ鋭い加速はないものの、そこそこの速度に乗ると、フットワークのよい走りを展開してみせる。低フリクションを追求したサスペンションアームによるしなやかな動きと、吟味されたショックアブソーバーの働きは、中速コーナーを安定した姿勢で走り抜けて見せるのだ。
このJA22の力量を発揮するのは、深いモーグルやロックセクションの通過だ。長いストロークを終始有効に使い、そのボディは常に水平に近い姿勢を保とうと努める。3インチアップのSFIIコイルスプリングと計算しつくされたローフリクションロングリーディングアーム、ハイアングルLFロングトレーリングアームの組み合わせが、驚異のロングストロークを実現。フロントTRD改、リアAPIO改のショックアブソーバーが、レベルの高い安定性を担保する。
そのサスのスムースな動きにACRのコダワリがある。それは、ピロボールの積極的な採用など、徹底した摺動抵抗を減少させる作業を行っていることだ。それにしても、オープンデフでありながらその走破能力の高さには驚かされる。