サウジアラビアの砂漠が闘いの場に。アフリカ、南米を経て初の中東開催に
かつてはパイオニアが冠スポンサーとなり、多くの日本人が参戦するとともに三菱パジェロが総合優勝するなど日本でも身近な存在だったダカールラリー(パリ-ダカールラリー)。政情不安などで発祥の地であるアフリカから南アメリカ大陸へとフィールドを移したのは2009年のことだったが、それから11年を経て2020年は中東のサウジアラビアを闘いの場とすることが決まった。
主催団体であるASO(アモリ・スポーツ・オーガニゼーション)は2020年の第41回ダカールラリーの開催概要発表の場としてサウジアラビアの首都リヤド近郊のアル・キッディヤを選び、サウジでの開催をアピール。同国西側の紅海に面したジッダを1月5日にスタートし、スペシャルステージ的なプロローグランをこなしてから北上。アル・マディーナや北部のタブークを経由してネフド砂漠を南下し、中間地点となる首都のリヤドで休息日(1月11日)を過ごす。後半は南部の広大なルブアルハリ砂漠を走り、西側を回って1月15日に発表会の場となったアル・キッディヤにゴールするルートを予定している。
総走行距離は9000kmにおよび、高原地帯の不整路や広大な砂漠地帯を巡るダイナミックなルートが想定される。また、今や高層ビルの立ち並ぶサウジの大都市リヤドと、観光地としても人気のある美しい砂漠の対比など、メディアが喜びそうなシチュエーションも揃っており、国際モータースポーツイベントとしてのアピール度が高まることは確実。欧州やアジアにも近いだけに観光を兼ねたギャラリーの来訪も期待できる。さらにサウジアラビア一国での開催となるため、競技中の通関の手間などが省けるメリットもある。
パリをスタートして地中海を渡り、サハラ砂漠を走ってセネガルの首都ダカールをゴールとしたことでその名となったダカールラリーだが、もう開催地域にその片鱗はない。ただ、世界有数の砂漠で、砂丘やワジ(枯れ川)を縫ってパリダカマシンが走るシーンを再び見ることができるのは嬉しい。
南アメリカとはちょっと違った雰囲気となりそうな気配の2020年のダカールラリー。南米ペルーで開催された昨年は南アフリカのトヨタチームが四輪総合優勝を果たし、日本でもニュースとなったが、サウジでの開催により再び日本でも人気が出ることになるのか!? 来年年明けの開催を楽しみに待つとしよう。