自動車型録美術館

フェラーリ250SWB・250LM/レーシングカーとプロダクションカーの境界が曖昧だったよき時代のカタログ【自動車型録美術館】第7回

第7回フェラーリ250SWB・250LM/FERRARI 250SWB & 250LM

レーシングカーにもカタログが存在します。今回は250SWBと250LMです。

250SWBと250LM、どちらもカタログの構成はよく似ています。いずれも二つ折4ページで、エンジンが写真で紹介されています。また、ファイナル違いによる各ギアの到達速度が掲載されているのも共通点です。

250LMについての個人的な話

わたしが250LMのことを真剣に知ったのは、かなり長じてからでした。八丁堀にあったコジマという玩具店がプロデュースした1/43のモデルカーを通じてです。もちろん、それまでもコーギーやポリトーイなどのミニカーメーカーによる250LMと接してはいましたが、コジマのモデルが登場するまで、その本来の美しさを認識するには至らなかったのです。

250SWBのカタログにはこのように7種類のファイナルによる各ギアの到達速度が記載されています。言語はイタリア語のみで、他国言語の記載はありません。サイズ(縦×横)275mm×180mm 4ページ。

実車を観る機会にも恵まれました。御殿場にあった個人コレクションや、山中湖方面の個人コレクションで実車と接した時には、体が震えるような思いがしました。

250LMのカタログもご覧のように構成は250SWBの場合とほとんど同じです。ただし、こちらのカタログには少なくとも3種類の仕様違いが存在していると思います。

250SWBについての個人的な話

250GTベルリネッタSWBは、残念ながらまだ実車をじっくり眺めたことがありません。それでも強く魅かれるのは、一枚のリソグラフと、そして一台のモデルカーに因ります。一枚のリソグラフとは、やはりコジマで扱っていた吉田秀樹さんによる250SWBのこと。思い切りよくリアエンド部分だけを描いたもので、250SWBの魅力が凝縮されています。

写真は1963年のルマンでしょうか。

モデルカーは、野村勲さんによる1/43の250SWBで、現在でも、野村勲さんが仕上げた250SWBを超えるモデルは存在しないと思っています。野村さんの解釈による250SWBも、やはり後ろ姿が素晴らしいのです。

250LMのカタログにも4種類のファイナル違いによる各ギアの到達速度があります。イタリア語のみの250SWBに対し250LMでは英語と仏語が加わりました。サイズ(縦×横)275mm×180mm 4ページ。

書籍、モデルカー、雑誌、等々、実車以外にも自動車趣味のたのしさはたくさんありますが、メーカーの手になるカタログもいいものですよ。

Text:板谷熊太郎 /Kumataro ITAYA カー・マガジン459号(2016年9月号)より転載
CAR MAGAZINE編集部

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