国内試乗

【国内試乗】「メルセデス・ベンツ Aクラス・セダン」こんなセダンを待っていた!

セダンのフォーマルさと、Aクラスの持つ若々しいイメージを融合させたコンパクトセダンが登場した。特筆すべきは、せまい街中であっても持て余すことがないコンパクトなボディサイズだが、「ハイ!メルセデス」機能や、最新の安全運転支援システムを採用するなどトピックも盛りだくさんだ!

コンパクトサイズでも上質なセダン

50歳代前半を迎えた同級生と近況報告なんかをしていると、クルマの話になることがある。そこでよく聞くのが「ほんとはこんなの必要ないんだけどね」という台詞だ。都内で暮らす彼らが欲しいのは、コンパクトなサイズだけれど見劣りしない上質なセダンだという。でもそういうクルマがほとんどないから、やむを得ずメルセデスのCクラスやEクラス、BMWの3シリーズや5シリーズに乗っている。いまやCや3でも全幅は1800㎜を超えていて、「大きすぎる」と感じるそうだ。

インテリアは現行Aクラスのデザインを基本的に踏襲。「ハイ!メルセデス」でおなじみの対話型インフォテインメントシステム「MBUX」を搭載する。

どういうわけか、人は全幅が1800㎜を超えると途端に左右方向のサイズを意識するようになる。1800㎜以下のセダンは輸入車だとアウディA3くらいしかなく、日本車のカムリ/レクサスIS/スカイライン/マツダ6(アテンザ)はいずれも1800㎜以上の全幅で、だからといってクラウン(1800㎜ちょうど)に手を出すのはちょっとはばかれる、というのが彼らの本音らしい。

コンパクトでありながら、前後のオーバーハングを切り詰め、ホイールベースを長く取ることで、大人4人が快適に過ごすことができる広い室内空間を実現。

こんな話をしょっちゅう聞かされていたものだから、個人的にはSUVの次に注目すべき市場は全幅1800㎜以下のプレミアムセダンだと勝手に思い込んでいる。Aクラス・セダンの日本導入が発表され、価格よりも先に調べたのは全幅で、「1800」の数字を見て拳を強く握った。ちなみにCLAも4ドアだが、アレは2+2のクーペだと理解していて、全幅は1830㎜もある。

長距離でも疲れにくい良好な乗り心地

ハッチバックのAクラスとボディサイズを比較すると、ホイールベースと全幅は同じで、セダンのほうが130㎜長く10㎜背が高い。全長の延長分は主にリアのオーバーハング部に充てられていて(ハッチバック=775㎜、セダン=905㎜)、その結果ラゲッジルームはセダンのほうが50Lも広い。形状もほぼスクエアなので、使い勝手も悪くないだろう。

エクステリアは、ラインやエッジを大幅に削減したデザインを採用。リアエンドにはワイドな印象を与える2分割型リアコンビネーションランプを装着する。

1.4Lの直4ターボを積むA180と2L直4ターボのA250があって、前者はFF、後者は4MATICの四駆となる。試乗車はA250だった。この4MATICはオンデマンドタイプなので通常は前輪のみを駆動し、状況に応じて後輪へ駆動力を配分する。224ps/350Nmは1.5トン台の車体を動かすには十分過ぎるパワーで、7速DCTとのマッチングもよく、低速域でも高速域でも力不足はまったく感じない。

トランク容量は420Lを確保、後席は4:2:4分割可倒式となる。

Aクラスのリアサスペンションは4MATICだとマルチリンクになる(FFはトーションビーム)。A250同士で比較すると、セダンはハッチバックと大きく違わない素直で安定感ある操縦性と接地感を有するものの、ボディの剛性感はセダンのほうがあり、ばね上がしっかりしている印象を受ける。キャビンと荷室の仕切るリヤのバルクヘッドがボディ剛性の向上にひと役買っているのだろう。

乗り心地もセダンのほうがいいように感じる。速度域を問わず、身体まで伝わる振動は同じように少なめで快適だ。プロペラシャフトによる床下からの振動も思ったほど気にならなかった。長距離でも疲れにくい良好な乗り心地と言える。後席には大人ふたりが長時間のドライブでも耐えうるスペースが確保されていて、着座姿勢も無理のないものだった。
取り回しのいいボディサイズと快適な乗り心地を持つAクラスは、A180なら300万円台に収まる。これなら同級生にも自信を持ってすすめられるだろう。

試乗車は2L直4ターボエンジンに 組み合わせたA250 4MATICセダン。このほかに、1.4L直4ターボエンジンのA180/A180 Styleセダンをラインナップする。

【Specification】MERCEDES-BENZ A180 SEDAN[A250 4MATIC SEDAN]
■全長×全幅×全高=4550×1800×1430mm
■ホイールベース=2730㎜
■トレッド=前1570、後1555mm[前1570、後1575mm]
■車両重量=1370㎏[1530kg]
■乗車定員=5名
■エンジン型式/種類=282/直4DOHC16V+ターボ[260/直4DOHC16V+ターボ]
■内径×行程=72.2×81.3㎜[83.0×92.0mm]
■総排気量=1331cc[1991]㏄
■圧縮比=10.6[10.5]
■最高出力=136ps(100kW)/5500rpm[224ps(165kW)/5500rpm]
■最大トルク=200㎏-m(20.4Nm)/1460-4000rpm[350㎏-m(35.7Nm)/1800-4000rpm]
■燃料タンク容量=43L(プレミアム)[51L(プレミアム)]
■燃費(JC08)=15.7㎞/L[12.9km/L]
■ミッション形式=7速DCT
■サスペンション形式=前ストラット/コイル、後トーションビーム/コイル[マルチリンク/コイル]
■ブレーキ=前Vディスク、後ディスク
■タイヤ(ホイール)=前後205/60R16[前後205/55R17]

■東京標準価格=3,440,000円[4,760,000円]

お問い合わせ

メルセデス・ベンツ日本 0120-190-610

 

フォト=宮門秀行/H.Miyakado ル・ボラン2020年1月号より転載

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