コラム

西日本JRバス、V12エンジン搭載いすゞガーラV12のさよなら乗車会を開催

西日本JRバス京都営業所で廃車になってしまうガーラV12

2020年2月15日(土)、西日本JRバスが“さよならコラボ企画第2弾! 641−8953号車いすゞガーラV12さよなら乗車会”と題するバスツアーを開催しました。
募集時に告知されていたツアーのメニューは以下の通りです。

当日の主役であった“いすゞ・ガーラV12(KC-LV782R1)

・西日本JRバス京都営業所から、廃車になってしまうガーラV12(型式KC-LV782R1)と京阪京都交通が保有する日野セレガ“K235“の2台に分乗して出発
・奈良交通平城営業所で貴重な三扉車の試乗、連節バス“イエローライナー華蓮”の撮影会
・西日本JRバス大阪高速管理所で三菱ふそうトラックバス製エアロキングならびにスカニア製ダブルデッカーの撮影会
・バスを乗り換えて京都営業所へ戻って解散
・ツアー参加特典として、記念マグネットステッカーと記念乗車証をプレゼント
と、かなり”ごった煮感“あふれるバス三昧の一日。ツアー代金は1万1000円(昼食弁当、記念品台込み)で、3000円の追加料金で1人2席占有も可能というもの。このツアーには77人が参加。1月10日の発売開始即完売するほどの人気だったそうです。

京阪京都交通所有の“日野・セレガ”K235。中部地方のある事業者から移籍してきた車体で日ごろは学校輸送などで活躍している。

京都営業所でいきなり撮影会

さて当日ですが、主役である641−8953の横にはたまたま641−8954と高速路線仕様のガーラ641-5971が並んでいたことや、通常は教習車としてしか使われなくなっているため路上では目にする機会が非常に少ないツーステップ前後扉路線バスも駐車していたため、参加者は駐車場内あちこちで撮る、撮る、撮る! 車体全体だけでなく、銘板、方向幕など細部もしっかり記録する人もいました。

手前から641-8953、641-5971、高速路線用のガーラV12。

型式、車体番号や製造年月などが刻まれたドアステップ横の銘板もバスファンには重要。

今は教習車として使われ、路線にはめったに投入されない三菱ふそうトラックバス製KC-MP717M前後扉車にも注目!

奈良交通平城営業所では試乗も

奈良交通全体で11台、平城営業所には1台しか残っていない貴重な日野ブルーリボン三扉車と、ネオ三扉車とも言えるスカニア製連節バス“イエローライナー華蓮”の撮影会も開催。三扉車は撮影だけでなく路上試乗もできました。それも5回も。しかも途中で乗り降りができたため、実際に三扉車が運行しているような景色の中での撮影もできました。さらに、三扉車が試乗に出ている間の営業所内ではせっかくだからと“イエローライナー華蓮”の構内試乗もサービスしてもらえました。

奈良交通平城営業所では“イエローラーナー華連”連節バス、同営業所には1台しか残っていない日野・ブルーリボン三扉車の撮影会。

撮影はこれで終わりません。同営業所に所属するこれまた貴重ないすゞ・キュービック長尺前中4枚折戸車、まだ新しいものの退役が近いいすゞ・エルガミオCNG車の撮影もできました。

残存9台のいすゞ・キュービック・ワンステップKC-LV280Q前中4枚折戸車。出口・入口表示幕が生きている貴重な個体。

さらにサプライズとして奈良交通路線バスに使用されていた方向幕販売もあったのですが、それが発表されたのは平城営業所に到着する前の車内。「え〜お金持ってきてないよ〜」「近くにATMかコンビニはないのかな?!」と、声が上がりみなさん若干興奮。

三扉車には街路試乗もできた。全5便全て異なる方向幕が表示されるサービスも。

ただ、方向幕が使われなくなってから数年経つし、スルっとKANSAIバスまつりでももうほとんど売り物がないという状態であることを知っている私は大して期待していませんでした。

この車両の営業路線ではないもののこのような場所が三扉車の主戦場。

しかし実際には、平城営業所、北大和営業所、奈良営業所で使われていた幕、一本の中に富雄循環路線と大台ヶ原急行が同居しているという珍幕(遠く離れた別の営業所だから)もあるし、前横後の幕がセットで揃う幕もあるしと好き者にはたまりませんでした。それにしても、ないはずのものがなぜここにあるのか?出し惜しみしていたのか?疑いの目で担当者に訊くと、「いえいえ、営業所内での片付け中にひょっこり見つかることもあるんです」とのこと。油断できません。

参加者は三扉車から見える景色も楽しんだ。

ずっと動画を撮っている猛者も。運転担当は三扉車愛溢れる中本好信運転手。

最後部座席からのこの眺めが連節バスのハイライト。

もうないと思われた方向幕の掘り出し物も発見!京都府内の路線ではあるが同志社路線は平城営業所も担当している。

間違いなくこの日限りの景色。

大阪高速管理所で新旧ダブルデッカーの共演

これだけ充実していると奈良交通のイベントかと錯覚してしまいますが、あくまでも西日本JRバス主催のツアーです。次の目的地は大阪高速管理所。数年後にはなくなってしまうであろう三菱ふそうトラックバス製“エアロキング”と新鋭スカニア“InterCity DD”の見学撮影会です。並んでいる状態で比較してみることなど通常はできないので、みなさん車内に乗り込んでじっくり比べていました。エアロキングが3列シートのプレミアムドリーム号用、スカニアが4列シートの高速路線用だったので単純に比較はできませんが、それでも富山(エアロキングの生産工場だった)とヨーロッパの香りの違いは体感できました。

新鋭スカニア“InterCity DD”(手前)と三菱ふそうトラックバス製“エアロキング”(奥)を並べて見て撮れる機会も貴重。

京都営業所に戻りシメにまた撮影

営業所に戻って解散! かと思いきや最後にまた撮影です。記念品として配られたさよならツアーのマグネットを車体に貼り付けて撮影したり“幕回し”を撮影したりと参加者のほとんどがなかなかバスを離れず別れを惜しみました。ちなみにこのバスはツアーの翌日にはナンバーを外され廃車になるため、廃車回送でしか路上を走ることはありません。そう思うとしんみりします。オドメーターの数字は597,193.3でした。でも思ったより少なかったですね。

60万キロを刻んだ運転席。思いのほかきれい。

コの字型にアレンジできるシート。サロンと呼ばれる部分。ビール片手に旅を楽しんだ光景が目に浮かぶ。45度にも固定できる。サロン部分は回転のためシートピッチが広めでおトク。シートバックに灰皿が備わるのも時代を感じるところだ。

“幕回し”が撮れるのもこのようなイベントの特典。廃止された行先や予想外の行先が現われると歓声が上がる。

V12サウンドももう聴けない。

「せっかくなので奮発しました!」という特製弁当は参加者にも好評。

このツアーのどこに魅力を感じ、何が目的で参加したのか?

撮影だけでなく最後にV12エンジンの迫力ある音を堪能するなど盛りだくさんで楽しみいっぱいのツアーでしたが、実は最初から疑問がありました。それが参加した理由でもあるのですが。さよならガーラV12と言いながら車種も多いしメーカーもバラバラだったので、いったい何が目的で参加しているのか?興味のないバスがあってもいいのか?と。なぜならバスファンは、ボンネットバスが好き、ブルーリボンが好き、キュービックが好き、ダブルデッカーが好き、奈良交通が好きなど、縦線か横線か斜め線かあるいはピンポイントなものです。しかしこのツアーはどれにも当てはまらない。披露宴のビンゴゲームに例えるなら、穴はたくさん開いているのにどの筋もリーチ止まりという感じ。
気になったので、何が主目的でツアーに参加したのかを添乗員さんに車内で挙手アンケートを取ってもらいました。結果は、メインイベントであるガーラV12と奈良交通三扉車が半分ずつくらいでした。隣り合わせになった参加者に訊いてみたところ、KC-代(型式の排出ガス記号)までのバスが好きだから参加したとのこと。なるほど。確かに輸入車以外はKC-代でした。

京阪京都交通車の添乗員を務めた西村さんはツアー終了の挨拶で、利用者減少のためやむなく廃止される路線があることについて触れました。「一ヶ月に一度でかまわないから用事もないのにバスに乗って下さい。それが意外に路線維持につながりますから」と。京都の亀岡や園部からの狭隘路線など、特徴ある路線もあるそうなので機会を見つけて乗ってみようと思いました。

ツアーの仕掛け人である西日本JRバス株式会社 京都支店 企画科担当科長 濱本浩司さん(左)は、「バスにはあまり興味ないんですけど。せっかくなのでいろんなバスを楽しんでいただこうと思いまして」と。なかなかいい企画をなさいます。バス2台分77人が一瞬で集まったという実績が物語っています。今回の企画が交流飲み会の勢いで決まったことはナイショだそう。同 営業部 バス旅創造課 藤井貴大さん(右)は、「バスが大好きでこの会社に就職しました。ツアーの添乗をするために机拭きや掃除などなんでもしました」と、おっしゃるほどのバス好きの方。

大田中 秀一

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