2020年2月はルノー・クリオがトップに躍り出る。3月のランキングも大きく変動
ちょっと前の話ながら今年2月、欧州の新車販売に異変が起きた。英国に本拠を置く調査会社、JATOの集計によると2月の欧州新車ランキングで常勝フォルクスワーゲン(VW)・ゴルフが2位に後退。代わってルノー・クリオ(日本名ルーテシア)が首位に立った。続く3月は新型コロナウイルスの影響で欧州の新車販売台数がガタ減り(前年比52%割減)となり、クリオの台数も大幅に減ったことでゴルフが首位を奪還したが、1カ月のみとはいえゴルフの首位陥落は最近では見られないことだった。
8代目ゴルフのデリバリーが始まったばかりなのにどうして!? という気もするが、この傾向に関してはVW自身も数字を示しており、2019年のVWブランド車の累計販売トップはゴルフではなくティグアンだったと発表。SUVブームに後押しされたティグアンは欧州でもランキング5位に入り高い人気を得ているが(1位はゴルフ)、世界的にはティグアンのほうが多く、その年間生産台数は91万1000台に達したという。2020年は8代目となったゴルフがまた首位を奪い返すのだろうが、VW内でゴルフを脅かすのがポロではなくティグアンというところが昨今の状況を物語っている。
ところで新型コロナウイルス蔓延によるロックダウンが本格化した3月の欧州ランキングもイレギュラーな事態が目白押しで、2019年の年間ランキングでは25位にも入ってなかったテスラ・モデル3がいきなり2位に上がり、17位だったメルセデス・ベンツAクラスが5位に上がってくるなど大きく変動。先にも述べたように3月は欧州全体の販売台数が半減し、とくにイタリアが前年同期比86%減、フランスが72%減と大きく減ったことでコンパクトカーが激減。2月は首位に立ったクリオは4位に後退し、ポロやフォード・フィエスタも激減したことでテスラやAクラスが上位に浮上したと見ていいだろう。
欧州各国では4月もロックダウンが続いており、ランキングがどう動くか予測しにくいが、新車販売の減少幅を他国より小さい38%減に抑えた最多販売国ドイツでの需要回復がカギとなる。4月以降はゴルフが首位を守りつつ、メルセデスやBMW、アウディが上位に顔を出してくる可能性もありそうだ。