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国内石油元売り3社が苦境に

備蓄原油の評価損で赤字に。 原油価格の動きに翻弄される

ENEOSホールディングス(旧JXTG)、出光興産、コスモエネルギー・ホールディングスの石油元売り3社が、2019年度決算(2019年4月~2020年3月)で揃って赤字に後退。出光は昭和シェル統合により売上高が前年度比プラスとなったが、あとの2社は減収で、最大手のENEOSは純利益が1879億円と大幅な赤字、出光も229億円、コスモも281億円とそれぞれ赤字に転落する。
その最大の要因は原油安にあり、備蓄している原油の評価損が大きく響いている。2018年度決算でも原油価格下落により減益傾向となってはいたが、2019年度の下落率はそれ以上に大きく、さらに新型コロナウイルス流行による世界的な石油需要の減少が追い打ちをかけてしまう。昨年5月時点ではENEOS以外は増益予想だったが、原油価格の下落と新型コロナに翻弄された形だ。
一時期は1バレル当たり20ドルを切っていた原油価格(ニューヨーク原油先物価格)も、ここにきて40ドル程度まで戻しているが、需要増がなかなか望めない状況は変わらない。
一方でガソリン市販価格は期待していたほど下がらず、ちょっと原油が上がっただけで上昇傾向に転じてしまい、さらに元売り企業の業績悪化が今後どう響いてくるか気になるところ。値上げで売上増を確保するのか、値下げで消費増を狙うのか、そのあたりもしっかり見ていく必要がありそうだ。

ルボラン2020年8月号より転載
田畑修

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