国内試乗

【比較試乗】「ルノー キャプチャー vs フォルクスワーゲン Tクロス vs プジョー 2008」欧州コンパクトSUVのベストチョイスはどれだ?【PR】

パフォーマンス、スタイリング、コストバリューがハイレベルでバランスする欧州ブランドのコンパクトSUV。各社、渾身のモデルをリリースするが、フルモデルチェンジを受けたルノー・キャプチャーは、ワンランク上の完成度を誇る。ユーザーたちからの熱視線を大いに集める話題のモデルとなりそうだ。

扱いやすさが際立つTクロスと2008

2代目となるルノー・キャプチャーが日本導入となり、Bセグメントの欧州コンパクトSUVが充実してきた。キャプチャーの直接的なライバルは初代登場の時期が近く、2代目がひと足先に上陸しているプジョー2008だろう。フォルクスワーゲンTクロスはこれが初代で発売は昨年1月。日本でもスマッシュヒット中だ。今回は各ブランドの最量販モデルになりそうな3台を比較試乗する。

(左奥)PEUGEOT 2008 GT Line、(右手前)RENAULT CAPTUR INTENS Tech Pack。

まずはフォルクスワーゲンの安定した実力を物差しとするべくTクロスのステアリングを握った。同社のデザインは直線基調で生真面目なイメージがあるが、“T”がつく新しいSUVは随所に差し色が使われていて遊び心がある。エンジンはもっとも排気量が小さい直列3気筒1Lターボ。SUVボディには心許ない気もしていたが、低回転域のトルクが充実していて街中では不足を感じなかった。ただし、高速道路で追い越しをかけたときやワインディングロードなどではもう少しパンチが欲しいと思わせるシーンもある。

(左手前)RENAULT CAPTUR INTENS Tech Pack、(右奥)VOLKSWAGEN T-CROSS TSI 1st。

また、いかにもドイツ車らしいがっちりとしたボディに引き締まったサスペンションで硬質な乗り味をみせる。低速域で路面の荒れが気になったり、大きな入力では突き上げ感があったりもするが、速度が上がれば上がるほどにビタッと安定感が増していく。高速巡航が得意なのだ。コーナーではリアのスタビリティが高く、そのうえで舵を効かせて曲がっていく感覚なので安心感がある。多少無理をしたところで平然と受け止めてくれる懐の深さが持ち味だ。

VOLKSWAGEN T-CROSS TSI 1st/全長は4115mmと3台の中では最もコンパクトなサイズながら、大きなドアによって、乗員のスムーズな乗り降りを実現。WLTCモードはキャプチャーとほぼ同数値の高い燃費性能を誇る。

2008は、ヘッドライトがライオンの3本爪、その下のデイタイムライトは牙を表現し、幾何学模様を組み合わせた個性的なデザインが特徴。 3D iコクピットと呼ばれるインテリアも個性の塊だ。

VOLKSWAGEN T-CROSS TSI 1st/試乗車はオプションの18インチタイヤを装着。

Tクロスから乗り換えるとまずは乗り心地の良さに嬉しくなった。低速域ではわずかにゴツゴツすることもあるが、17インチの小さなタイヤを履いていることもあってソフトタッチなので不快さはない。目地段差などの大きな入力もしなやかにいなしていくが、それでいてフワフワとしているわけではなく、ボディの上下動を素早く収束させるのが巧みだ。

PEUGEOT 2008 GT Line/3Dで情報を見やすく表示する最新世代のメーターパネル「3D iコクピット」を備え、お馴染みの小径ステアリングホイールはスポーティなドライブを演出。また、一般的な立体駐車場を利用できる全高となり、シティコミューターとしての利便性は高い。

コーナーではプジョーらしい俊敏な動きをするが小径ステアリングによる効果もあるのだろう。あまりに小径なので、なんだか運転しにくいと敬遠する人もいるが、先代モデルに比べると格段に自然な操舵感を得ていてワインディングロードではノーズを思うように動かせるようになった。

PEUGEOT 2008 GT Line

直列3気筒1.2Lターボは実用域のトルクに厚みがあり、実に扱いやすい。中・高回転域のパンチもそこそこに効いていて必要十分以上といったところだ。

乗り味もルックスも上質な新型キャプチャー

フローティングルーフとなだらかなルーフラインでエレガンスを表現しながら、ボディサイドは抑揚が効いていてアスリートのよう。優雅でいて活発な印象を受けるという、独特のセンスを感じさせるのがキャプチャーだ。驚きはインテリアの質感の高さ。とくに、e-シフターと呼ばれるセレクターやその周辺は見た目が美しいうえに操作感も心地いい。タッチパネル式のセンターディスプレイ、整然と並べられたスイッチ類、エアコンのダイヤルなどは機能的。誰もが素直に美しいと感じ、直感的で使いやすいインテリアだ。

RENAULT CAPTUR INTENS Tech Pack/高いアイポイントやタッチスクリーンの操作性など、ドライバーオリエンテッドなコクピット。センターコンソールやドアパネルなどには高品質な素材が採用される。ラゲッジスペース容量はクラストップの536Lを確保。

エンジンは直列4気筒1.3Lターボ。ルーテシア用ユニットと基本は同じだが、最高出力は23ps増の154ps、最大トルクは30Nm増の270Nmとなっており、SUVボディでもかなりの余裕がある。街中は言うに及ばず、高速道路でもあまりエンジン回転数を上げる必要がなく、ほとんどの場面を2000rpmで済ませてしまう。アクセルを強く踏み込めば勢いよく回転上昇していき、明らかに速い。パドルでダウンシフトさせたときのレスポンスやサウンドも痛快でホットハッチのようだ。それでいて常に上品なフィーリングがあるのは、最新の直列4気筒だからだろう。ダウンサイジング全盛のいまどきのBセグメントにはいかにも贅沢なユニットだが、WLTCモード燃費は3台ともほぼ横並び。排気量を落としすぎるとかえって効率が悪くなることもあるゆえ、適正なライトサイジングが望ましいと言われるが、キャプチャーはその典型だろう。

RENAULT CAPTUR INTENS Tech Pack

大径の18インチタイヤを履いてはいるが、低速域でのゴツゴツ感は最小限で、大きな入力に対してもいやな突き上げ感はない。しっかり感がありながらサスペンションがいかにもスムーズにストロークしている印象で上質な乗り味だ。コーナーではロールが少なくフラットな姿勢を保つが、突っ張った感じはまるでない。興味深かったのは、リアを踏ん張らせたうえでフロントのグリップなりに曲がっていくTクロスに対して、フランスの2台はもっと素直に4輪全体で曲がっていく感覚があることだ。

RENAULT CAPTUR INTENS Tech Pack

アウトバーンの国と、アルプスのワインディングロードが多い国との違いが表れているようだ。それにしても新世代のCMF-Bプラットフォームは以前よりも車格を上げる効果があるとみえて、あらゆる面で動的質感が高く感じられる。2020年、欧州のすべてのSUVのなかで販売台数No.1なのも納得だ。

RENAULT CAPTUR INTENS Tech Pack/ラゲッジ容量はクラストップの536Lを確保。

ハイスピード域が得意なTクロス、快適性と俊敏性を合わせもつ2008に対して、ニューカマーのキャプチャーは乗り味もルックスも上質で大人っぽい雰囲気を醸し出していた。先代は欧州でベストセラーの名を欲しいがままにしていたが、追いすがるライバルに対して、またしても高いハードルを設けてきたようだ。

RENAULT CAPTUR INTENS Tech Pack

【Specification】RENAULT CAPTUR INTENS Tech Pack
■全長×全幅×全高=4230×1795×1590mm
■ホイールベース=2640mm
■車両重量=1310kg
■エンジン種類/排気量=直4DOHC16V+ターボ/1333cc
■最高出力=154ps(113kW)/5500rpm
■最大トルク=270Nm(27.5kg-m)/1800rpm
■トランスミッション=7速DCT
■サスペンション(F:R)=マクファーソンストラット:トーションビーム
■ブレーキ(F:R)=Vディスク:ドラム
■タイヤサイズ(F:R)=215/55R18:215/55R18
■車両本体価格(税込)=3,190,000円

お問い合わせ
ルノー・ジャポン 0120-676-365

【Specification】VOLKSWAGEN T-CROSS TSI 1st
■全長×全幅×全高=4115×1760×1580mm
■ホイールベース=2550mm
■車両重量=1270kg
■エンジン種類/排気量=直3DOHC12V+ターボ/999cc
■最高出力=116ps(85kW)/5000-5500rpm
■最大トルク=200Nm(20.4kg-m)/2000-3500rpm
■トランスミッション=7速DCT
■サスペンション=(前)マクファーソンストラット、(後)トレーリングアーム
■ブレーキ(F:R)=(前)Vディスク、(後)ディスク
■タイヤサイズ(F:R)=(前後)205/60R16
■車両本体価格(税込)=3,019,000円

お問い合わせ
フォルクスワーゲン・グループ・ジャパン 0120-993-199

【Specification】PEUGEOT 2008 GT Line
■全長×全幅×全高=4305×1770×1550mm
■ホイールベース=2610mm
■車両重量=1270kg
■エンジン種類/排気量=直3DOHC12V+ターボ/1199cc
■最高出力=130ps(96kW)/5500rpm
■最大トルク=230Nm(23.5kg-m)/1750rpm
■トランスミッション=8速AT
■サスペンション(F:R)=(前)マクファーソンストラット、(後)トーションビーム
■ブレーキ=(前)Vディスク、(後)ディスク
■タイヤサイズ=(前後)215/60R17
■車両本体価格(税込)=3,410,000円

お問い合わせ
グループPSAジャパン 0120-840-240

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是非ご覧になって下さい。

フォト=神村 聖/S.Kamimura ルボラン2021年4月号より転載
石井 昌道

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