新しいエアサスは驚異の完成度
まず乗り込んだのはパナメーラ・ターボ。目の前にあった911譲りの5連メーターがなくなり、中央にあるタコメーターを残して左右それぞれ2個は液晶モニターにデジタル表示されることに。さらにダッシュボード中央には「ノーマル」「スポーツ」など、走行モードの変更や高級オーディオの操作をスマートフォンのように行なえる、12.3インチの巨大なタッチディスプレイが。そんなアナログからデジタルへの宗旨替え(?)にちょっと戸惑いながらも、高級車ではスタータースイッチをプッシュしてエンジンに火を入れることがほとんどになったいま、パナメーラは変わらずキーのグリップ部を模した平たいレバーを左手で時計回りにひねるという、911譲りの伝統の“儀式“が残されているあたりにちょっとホッとする。
走り出してまず気がつくのは静粛性の高さだ。空力性能がいいから風切音はそもそも発生せず、タイヤからのロードノイズや車外の騒音、エンジン音や排気音などが効果的に遮断されている。「4ドアのスポーツカー」を標榜していた先代は、これらの音が演出としてそれなりに耳に入ってきたものだが……。乗り心地も素晴らしく快適。新型にはターボに標準、その他のモデルにオプションの新しい減衰力/バネレート可変式エアサスペンションが用意されているのだが、ノーマルモードでクルーズしているとそのゆったりとした足さばきにうっとりさせられてしまうほどだ。
そしてミュンヘンの街中を抜け、いよいよアウトバーンへ。ここで走行モードをスポーツに変更する。ちなみにパナメーラもほかのポルシェ車の例に漏れず、あまた用意されているオプションの有無で走りが全然変わってくるのだが、今回の試乗車にはすべてエアサスペンション、後輪操舵システムのリアアクスルステアリング、ダッシュボード上のストップウォッチを含むスポーツクロノパッケージ(走行モードに「スポーツプラス」と20秒間だけブーストアップ可能なスポーツレスポンススイッチが追加)、スポーツエキゾーストシステムが装着。コーナリング時のロールを抑制するアクティブスタビライザー搭載車は台数が少なく、今回は試すことができなかった。