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あの”4つの輪”が変更された!? アウディの新しい”フォーリングスは、より純粋でシンプルにそして一貫性を追求

フォーリングスは、アウディにとって何を意味するのか? デザインとブランド戦略の担当者に聞く

アウディは、スローガン「Vorsprung durch Technik (技術による先進)」を具現し、革新的なモビリティを追求する。アウディはその象徴である「フォーリングス (4つの輪)」にその先進的なデザインを常に表す。今回、車両の特徴を示すエンブレムが全面的に見直された。これに際して、デザイナーのアンドレ ゲオルギ氏とブランド ストラテジストのフレデリック カリッシュ氏が、新しいフォーリングスはアウディにとって何を意味するかについて語った。

アンドレ ゲオルギ氏は自動車工学を学び、トランスポーテーションデザインを専攻して、2つの学士号を取得。20年以上前にアウディAGでキャリアをスタート。エクステリアデザイン部門を担当したのち、ミュンヘンのデザインスタジオでプロダクトデザイン責任者を務め、2017年からインテリアデザインを担当。インターフェイスチームを率いて、フォーリングスのリデザインを統括した。

フレデリック カリッシュ氏は工業デザインを学び、アウディAGのデザイン戦略部門でインターンシップからキャリアをスタート。ブランド戦略の学位取得後、外部の企業に所属して、アウディAGデザインストラテジー部門の仕事を担当。2011年、ブランドストラテジストとしてアウディAGに戻り、デジタルビジネスストラテジーチームを経て、2019年にブランドストラテジストとなり、現在は既存および将来のモデルライナップのネーミングおよびモデル識別戦略を担当。

【写真4枚】アウディの哲学、そしてコーポレートアイデンティティとは? 

――フォーリングスは、アウディブランドを識別する最も重要な要素の1つです。なぜ今回変更を加えたのでしょうか?
フレデリック カリッシュ氏(以降カリッシュ氏):先進的なプレミアムブランドとしてアウディは、高品質なデザインと細部へのこだわりをもつ現代的なお客様をターゲットにしています。今日のブランドの表現と製品デザインにおいて、プレミアムな品質を的確に表現する基本的なトレンドは2極化しています。つまり、非常に大胆で派手なデザイン、もしくは、控え目で純粋かつクリーンなデザインのどちらかです。

アンドレ ゲオルギ(以降ゲオルギ氏):純粋さを求める後者のアプローチは、アウディの哲学により近いものです。1つ明確に言えることは、力強いブランドはその製品の根底にある本質的な価値と控えめな要素によって、お客様の支持を得ているということです。アウディは、常にそのような製品を提供しており、現在は、さらに一貫性のある製品を生み出しています。アウディの哲学とは、あらゆるディテールに意味があり、その目的を果たしているということです。

製品では、すべてのモデルのフロントとリヤに装着されているフォーリングスが、そのクルマを一目でアウディと認識できる重要な要素になっています。私たちはお客様に、デザインと製品そのものを通じて、アウディの品質について語っていただくことを望んでいます。新しいフォーリングスの形状は以前とほとんど変わりませんが、2D(2次元)を採用したことにより、よりモダンでグラフィカルなイメージに変わりました。

――モダンでありながら、流行にとらわれない。それがアウディの主張です。しかし、現在は2Dロゴがトレンドのようです。このデザインは、今の時代をどのように反映しているのでしょうか?
カリッシュ氏:2016年に、デジタル化の結果として2Dのフォーリングスが生まれました。これは、基本的にデジタル媒体に適した方法でフォーリングスを表現するためです。2Dディスプレイに3D(3次元)のロゴを映すことは、アウディの技術的および美的要件を満たさないと考えました。そこで、3Dのように見えるロゴをつくることにしました。アウディのブランドロゴは非常にグラフィカルです。これは、2Dの状態でも美しく見える点で優れています。そして、すべてのお客様とのタッチポイントで一貫したブランドプレゼンスを実現するために、デザインチームと連携して、車両につけるフォーリングスをあらためてデザインし直すプロセスを始めました。

ゲオルギ氏:エクステリアに2Dロゴを採用したモデルは、2019年に初めて登場しました。その後、2020年の初めに本格的な採用が始まりました。私たちのビジョンは、コーポレートアイデンティティを、先ほど説明したデジタル領域から車両にも適用して、すべてのモデルがひとめでアウディと分かるように標準化することです。将来的には、雑誌、スマートフォン、屋外広告、そして車のどこでも同じようにフォーリングスが見えるようにしたいと思っています。

――デザイン面では、具体的に何が変わったのですか?
ゲオルギ氏:アウディの車両につくロゴは、3つの要素で構成されています。クロームメッキは使用せず、コントラストの高いブラックとホワイトの外観から構成されています。浮き上がるような印象を与えるホワイトのリングが、ブラックのガラスボディに埋め込まれているかのように輝きます。ロゴを視覚的に明るくすることにより、ホワイトのフォーリングスにフラットでプレミアムな外観を与え、細部まで3Dに見えます。

――配色だけではなく、素材も新しくなっていますね。それについても詳しく説明していただけますか?
ゲオルギ氏:現在のクロームリングは高い品質を表しており、その素材だけがそのメッセージを伝えます。しかし、私たちはこれに変わる「新しいクローム」を見つけたと確信しています。新しいブラックとホワイトのリングが生み出すメッセージは、私たちのコーポレートアイデンティティを明確に表現しています。リング周囲の細いブラックの縁取りは、ボディカラーやラジエーターグリルの色に関係なく、一貫してプレミアムな外観を演出しています。

また、お客様は、新しいブラックのフォーリングスを選択することもできます。このバリエーションでは、白い部分を、光沢のある黒のように見えるダークグレイに置き換えます。

――今後すべてのニューモデルに新しいフォーリングスがつけられるだけでなく、車両に装着されるモデルエンブレムのスキームもアップデートされます。何故ですか?
カリッシュ氏:2020年に私たちのチームは、ブランド戦略とコーポレートアイデンティティを見直しました。この作業は、車両につく2Dフォーリングスのビジョンを含む、新しいモデルネーミング戦略につながりました。アップデートされたモデルエンブレムは、アウディの新しいブランド戦略に沿ったものです。つまり、より控えめで洗練されたものであることを意味しています。

ゲオルギ氏:モデルエンブレムがよりプレミアムになっただけではありません。また、インテリアとエクステリアのフォントも標準化しました。将来的には、私たちのモデルは「Audi Type (アウディタイプ)」として知られるアウディ独自のフォントのみを使用します。これにより独自性や品質を損なうことなく、基本的なトーンが大幅に控えめなものになっています。

このたび、車両のBピラーに、モデル名、バリエーション、テクノロジーを示すモデルネームをつけることにしました。2分割されたこのハイグロスブラックのモデルネームは、すべての車両に同じデザインを採用しています。Bピラーに装着することにより、乗降時に常に乗員の視界に入ります。Bピラーのレタリングは、「トーン オン トーン」と呼ばれる同系色を重ねる手法で刻印されています。

カリッシュ氏:控えめなモデルエンブレムは、車両のデザインのさまたげになることなく、現代の先進的なお客様にも受け入れていただけると思います。

ゲオルギ氏:このモデルエンブレムと車両のデザインは、アウディの新しいブランドポジショニングとともに、ひとつのユニットとして機能するようになりました。

LE VOLANT web編集部

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